ようこそ、ライス・ファクトリー★米工房へ!
米工房★ライス・エッセイ
風の旅人★原田圭一さん
2004年7月14日(水曜日) 〜






▼バックナンバー
第一巻;2003年7月13日〜9月20日
姫路の風の旅人「タマネギもニンジンも、かけがえの無い生物であることに何等変わりありません。」




『風の旅人★エッセイ』

2004年夏 ★ 姫路〜北海道 風の旅人親子 北海道バイクツーリング2004夏!
第一章 「今年は、めっちゃ変な旅支度?!」

<〜2004年8月29日、自室にて〜>

「ビュー、ヒュー!」
昨日から強風が吹き荒れ、青空と曇り空が目まぐるしく変化する。大型台風16号の接近による影響で、雨こそ降っていないけど、お世辞にも出歩きたい気分には成れない週末の天候・・・・。
「ハァ、折角の休日やっちゅうのにぃ・・・」
如何にも面白くない態度を隠そうともせず、憮然と自室の机に腰掛けながら、恨めしそうに窓の外に広がる空を見上げていた私。でも、視線を落とし、机の上に置かれたパソコンの画面を観ていたら、自然に顔が綻んで行くのを感じた・・・・。
そこには、今年の夏に訪れた北海道で撮った写真が映し出されていたから。そう、毎年必ず行く、大好きな父と巡る親子二人のバイクツーリング。欠かさず撮り続けている夏の旅で、気に入ったシーンを私はパソコンの壁紙として楽しんでいた・・・。
「ぷっ、くっくっく!」
不意に笑いがこみ上げてきた。今年の北海道の旅を思い出す度に、楽しかった事とかの感想より、如何しても笑いが先に出てしまう。此れまで4年連続4回も北海道バイクツーリングを行ってきた私達。今年は5年連続5回目と成ったんですけど、それまでと全く様相が異なる、不思議な旅となったんですよ。「変」と言った方が正しいかもしれないなぁ(笑)。恐らく、こんな事を、北海道を目指したライダーで「成功」させた者も他には居ないでしょうし・・・て、言うか、「そんな物好きな奴なんて他に居るかぁ!」て、ツッコミを受けること必死やね(笑)。他にも色々有りまして、イベント性に富んだ今年のツーリング。初体験の出来事、そして、決死の輸送劇等(笑)。全ては、旅の準備期間中に送られてきた、ある一通のEメールから始まりました・・・・。

それじゃ、夏の思い出を振り返って行きましょう・・・・。

<〜カミキリムシ、求む?!〜>

7月14日、夜・・・。何時も通り仕事を終えて自宅へ帰って来た私は、先ず自室へ篭り、パソコンへ送られて来たメールをチェック!これ、日々の習慣なり!冷蔵庫で冷やして置いた発泡酒「北海道○搾り」をグビグビ飲みながら一通一通目を通していた時、最後のメールに思わず「ブフッ!」と酒を噴出しそうになった。他のメールとは一線を引く、明らかに「可笑しい」「変」なメール。だって、件名は「カミキリムシ、求む!」と書かれていたんやでぇ?それって如何言うこっちゃ?!件名を見ただけで「?」マークが頭一杯を占拠(笑)。とにかく、メール本文を読んでみる事にした・・・。

メールの送り主は、久保さんと言って北海道旭川市の西隣、雨竜郡沼田町て所で、米工房というお米屋さんを営んで居られる方。今から2年ほど前、私がインターネットで北海道産のお米(きらら397)を通販対応してくれる北海道の農家やお米屋さんを検索して出てきた情報の中に、この米工房が在って、ここのお米を買い始めた事がきっかけで親しく御付き合いするようになってね。昨年夏に初めて沼田町も訪れ、ご本人とも御会いし、楽しい会話を交わしました。そして、その後も、こうして日々メール交換を続けているんやけど・・・・。今回届いたメールの内容は、ざっとこんな感じ。

「こんばんわ、沼田町の久保元宏です。私の知人が、カミキリムシのコレクターになってしまいました。もし、お近くにいたら、お分けください。生きていたら、お菓子の箱にでも入れて、死んでいてもOK。どうにかして添付のムシケラを逮捕したいのですが、ぜひ協力してください。本人は還暦を過ぎた、詩人です。よろしくお願いいたします」

「ハァ、マジかぁ?」と思わず洩らす。メールを読み終えた第一声、感想が此れ(笑)。当メールには、おそらく参考資料としての意味やろうね。計14枚、十四種類に及ぶカミキリムシの写真も添付されていたし、私を含む、20人以上の複数相手へ同メールが送られていたことも、宛先のアドレス表示情報で判明。送り主である久保さん自身がカミキリムシを欲しているのでは無く頼まれたと言う事も。それも、私の父と同じ還暦過ぎの御方から。それにしても、なんだかなぁ・・・(笑)。「ふぅ」と溜息を付きながら天井を見上げつつ、明日にでも直接久保さんへ電話を掛けて詳しい事情を聴いてみることにした。

「カミキリムシの件やけど、アレってマジっすか?」
次の日の夕方、姫路市の勤務先から携帯電話で沼田町の米工房へ連絡を取ってみたんやけど、想像通りの答えが受話器の向こうから返ってきた・・・。
「ええ、そうなんですよ♪」笑い声を含ませながら、久保さんは事情を説明してくれた。

「カミキリムシ捕獲」を頼んできた人はJR札幌駅から車で5分の位置に在る、ホテル「ドラール」オーナーの坂本公雄氏。久保さんとは親しい間柄で、当ホテル経営の1Fに在るギャラリー「どらーる」で開かれた展示会で、坂本氏と談笑する久保さんの写真が過去メールで送られてきた事もあり、私も全く知らない方ではなかったけど・・・・。何でも、聴くところによると、以前ニセコで偶然捕まえたルリボシカミキリに魅せられて以降、カミキリムシ収集に填まってしまったとか・・・(笑)。人気のあるカブトムシとかクワガタだったら、昨今ペットショップとかでも売られているから、どうしても自身で捕まえられない場合は「最終手段」として、財力が在る方は高価な昆虫をお店でゲットと言う反則技(笑)もある。でも、カミキリムシやろ?昆虫とは言え、アレって普通、「害虫」扱いされる筈やで(笑)。夏場に良く見かける昆虫では在るけど、カブトムシやクワガタに肩を並べるどころか、蝉より遥かに人気の劣る生き物。当然、買い求める客なんて一部の熱狂的なコレクター意外存在しないから、通年ビジネス的にも成功する筈も無くて扱う店も勿論無い(笑)。コイツはイチジクの葉を好んで食す性質で、姫路にはイチジクを栽培する農家や家が昔から沢山在ったから、夏のイチジク畑へ出向けば、色んな種類のカミキリムシと出会う事が出来た。私は結構この虫が好きで、子供の頃日課としていた「蝉取り」の合間に畑へ忍んでは、カミキリムシを良く捕まえて遊んでいました。だってコイツには面白い特徴が在ったから。「キィキィ」てね、口から大きい声を出して鳴くのよコイツ。それを観て喜んでいた私ら子供達は、カミキリムシの事を「きぃきぃ」と呼んでいました。大人になり、社会人として働き出してからは夏に昆虫と戯れる事も無かったし、増してやカミキリムシなんて久しぶりに聞く言葉やったね(笑)。要は、私を含む知人達にカミキリムシを集めて届けて欲しいと。それも、出来れば生きた状態で。しかも来月、8月に北海道へツーリングにやってくる私には、勿論捕獲した「生きたカミキリムシ状態」で直接持って来て欲しいとの事。あのね、オレは何しに北海道へ行くと思ってるんや?(笑)。「御願いしますねぇ〜♪」と、めっちゃ軽いノリで頼み終えて電話を切った久保さん。まぁ、良いけどね(笑)。其の場の気分に流されて何と無く引き受けちゃった私。始めは「どうせ、死んでても良いんやろ?」てな気分で引き受けたんですけど、それじゃ流石に芸が無いとこだわり始め、如何にして生きた状態で北海道へ持ち込むか真剣に思案し始めたドアホな私。これが本当は冗談で、真に受けたのは私以外には他に1人居ただけだったと、北海道上陸後に知る事と成る(笑)・・・・。

<〜カレンダーは遂に8月、そして愛車はリニューアル〜>

それから、アッと言う間に時間は流れて、カレンダーは8月に突入。その間に我がバイク、カワサキZZ−R1100D6の車検整備と北海道ツーリングに焦点を合わせた「強化策」を行う。さて、ここがポイントです!その強化策とは如何に?・・・・。

「パニアケース」って、脱着式の収納ボックスのフルセットを車検整備と平行して取り付けを行ったんです。GIVI(イタリアのメーカー)製でバイク後部のセカンドシート真後ろにトップケース1個。同じくバイク後部の両サイドにサイドケース各1個。計3個の構成でフルセットと成るんです♪。トップケースがサイドケースより大きくて52リッターの大容量。例えるなら、フルフェイスのヘルメットなら2つ入り、更に小さな手荷物位も収納出来る広さを誇るケースです。サイドケースも40リッターの容積を誇り、これが左右に1ケースづつ装着されます。当然、各ケースの装着金具も含めてフル装着状態だと、ケースに物を積み込んでいない状態でも結構バイクの重量が増えます。しかも、後部寄りに・・・・。実際、バイク屋で車検整備&パニア装着を終えた連絡を受けて引き取りに行った時、整備を担当してくれた店員のお兄ちゃんに「バイクの重心が結構後ろ寄りに変化していますから、走る時は注意して下さい」と言われた。重い物を積んだ時は「ウィリー」し易いから、特に注意してとも言われた。「ウソーン!オレのバイクがチョロQにぃ?」なんて冗談を飛ばしながら店を出るまでは良かったんだけど(笑)・・・。でも、バイクを受け取って店を離れ始めたら正直冗談では無くなって・・・。そう、依然とは全くの別物になっとるやんコイツ。大人1人分位の重量が増えた訳でも無いし、ましてや装着したケースは殆ど「空」の状態。しかし、バイク屋で言われた通り、バイク全体の重量バランスが以前の前寄りから後ろ寄りに少し動いただけで物凄く違和感を感じてしまう。車検時に前後のタイヤを新しい物に履き替えて、タイヤの慣らしが終わっていない事も、この「リニューアル」したZZ−Rの特性を掴み辛くしていた・・・・・。

「クッソー!めっちゃ乗り辛いやんけ!」
装着仕立ての新品タイヤは、最低百数キロ位は低速で丁寧に走って「鳴らし」を終えないと、タイヤが持つ能力が十分に発揮されない。要は、それまで「本気」でバイクの走りを試す事は出来ない訳で、街乗り時速40〜50kmのペース、忍耐の時間となる。僅か十数キロのバイク屋から自宅までの道程が、普段忘れる程走り飽きた地元の市道が、私をノロノロと走るへタレなキャラへ「退化(笑)」させた。今まで何度もタイヤは履き変えてきたから、決して新品タイヤに戸惑うなんて事は無い。原因は全て、バランスが変わったZZ−R其の物に在った訳で、ブツブツ文句を言いながら自宅に帰った。

「まぁ、要は慣れや。時間が解決してくれるやろ♪」
長年乗り続けているバイクで在るから、端から見ても破綻の無い走りは出来ていたと思う私(笑)。ある程度、今回の追加装備でバイクの「乗り味」が大きく変わる事は想像していたもん。ほぼ、予想していた通りの答えが出たって感じかな。ライダーにとって、普段ベストと思えるバイクのバランスを合えて崩すなんて事は普通しないと思う。私にとっても、普段のスッピン状態で乗るZZ−Rが最良の重量バランスと考えていたから。今回の改造でバランスが悪くなったと感じた事や、パニアケース装着によって更に横風や風圧の影響を受けやすくなったことなど、不満を挙げたら切りが無い(笑)・・・・。

では何故、デメリット承知で、走行性能を落としてまでコイツの装着に踏み切ったかと言いますと、単に「楽」をしたかった。何が楽かと言うとね、旅の荷物運びがスッゲー楽に成るのよホンマ。去年までは、毎回登山客が背負うようなでっかいツーリングバックや荷物の束をバイクのシートに高々と積み上げて走っていた。紐やバンドでバイクのシートに括りつけてね。そして、北海道行きに使うフェリーの上下船時や宿泊先を出入りする時など、朝晩最低2回は荷物の積み下ろし作業が発生する訳。バイクで走っている時に荷物が落下しない様に確りと固定しなけりゃならないし、また折角固定した荷物を解いて宿泊部屋等に運ばなきゃ駄目やしね。その作業が毎回面倒くさかったのよ!(笑)。そう言った「問題(笑)」を全て解決してくれたのがGIVI様のパニアケース。冒頭にも書いたけど、この「脱着式」てところがミソなのよ。だって、要はバイクに海外旅行へ行く際に使うような大きいトランクケース3つが「ガチャ」とワンタッチで脱着可能になった訳っすよ!。それも雨の浸水も無い防水設計と来たもんだ(笑)。ケースの開閉も専用のカギで開閉作業を行うようになっているし、防犯対策もバッチリさ。今までは単に荷物を括りつけていただけだったから、盗難被害を考えて、荷物を積載したままでバイクから長時間又は見えない場所へ離れて移動することは難しかった。でも、今年からは違うぞ!大金約14万円弱をつぎ込んだ装備は伊達やないっちゅうねん!(笑)。見た目からして、今までとキャラを一新し、迫力を増した我が愛車の姿に満足しつつ、この積載力を高めた重装備を活かす「ツーリング大作戦」立案に没頭していった・・・・。

<〜旅立ちまで残り2日、そして、遂に例のブツがぁ?!〜>

8月5日(木)、7日夜の旅立ちまで残り2日。普通なら「うわぁ、いよいよやなぁ」とか「めっちゃ嬉しい♪」とかアホみたいなハイテンションで騒いでいた筈やのに・・・・。いや、誤解の無い様に言うて措くけど、本当は嬉しいのよ(笑)。だって年に一度の北海道ツーリングやもん!嬉しくない訳が無いでしょ!(笑)。では何故、奥歯に物が引っ掛かった様な物言いをするかと言いますと、実は未だ例のブツを「捕獲」出来ていなかった訳っすよ。カミキリムシ君を捕まえろと、先日北海道の友人から頼まれた話が在ったよね。もう、如何しましょう(笑)。簡単に捕まえられると踏んでいたのに、意外にカミキリムシが見付からへん。近所のイチジク畑や公園の緑地帯とかも探し回ったけど居なかった。それどころか、今時分多くいて大合唱で泣き続ける蝉の姿も例年と比べたら妙に少ない。どうも今年の梅雨らしい梅雨が無く、「酷暑」な気候と先日立て続けて近畿地方を襲った台風の影響によるものらしく、昆虫其の物が異常に少ない。仕事が引けた夕方から夜8時台位まで、愛犬ハスキー(♀)の散歩を兼ねて藪蚊と格闘しながら今日まで「きぃきぃ様」捜索を続けて来たけど収穫は「ゼロ」。「ハァ」と溜息を付きながら、北海道沼田町の友人へ捕獲が失敗に終わった時の「言い訳」文句を考え始めている私でした(笑)・・・・。

明けて次の日、8月6日(金)昼の出来事。限られた時間の中で、他に思い付く場所が無いか、あーだこーだと会社の昼休みに考えていた時、同僚が私に声を掛けて来た。「圭ちゃん、見せたいモンが在るねん!」と彼は言い、会社の事務所に居た私を社の製造工場へと引っ張り出した。「何やろう?」と思いながら彼の後に付いて行くと、昼休みの休憩を取る他の同僚の所まで移動し、そこに据え付けてある作業台に置かれていた15センチ角位の小さなダンボール箱を掴んだ。空箱みたいやけど、元々はステンレスの小さな六角ボルトが収められていた箱だ。「ハイ」と言って私に手渡す彼。「何コレ?」と言って同僚に尋ねると、良く見りゃ分かると一言。そう言われてもう一度受け取った箱を見てみる。軽い、やっぱり六角ボルトの空箱や。アレ?待てよ、箱の周囲がガムテープでピッタリ塞がれている。それから箱の中央部だけ開閉出来る様な蓋に細工してあって、蓋が勝手に開かない様に、輪ゴムで留めてあるやんけ?これって如何言うことやねん?・・・・・。

箱から視線を上げて更に質問しようとした時、箱から「カサカサ」と何かが動いた様な音と僅かな振動が響いた。「此れって、ひょっとして例の奴なのか?」とドキドキしながら箱の蓋を開けてみると、其処には子供の頃から見慣れた、間違い様の無い黒い体に黄色い斑点模様の「キボシカミキリ」と呼ばれる虫が一匹居た。実は、自分一人だけではカミキリムシが旅立ちまでに十分捕獲出来ない可能性もあると考え、会社の同僚や友人知人にも応援を頼み込んでいたのさ(笑)。ヤッター!自分で捕まえた訳やないけど、とにかく貴重な一匹ゲットや!

何処で捕まえたのか訪ねたら、会社から歩いて5分位の距離に在る農家のイチジク畑だそうな。ちょっと入り組んだ場所に在るし、普段私も往来する事の無い場所なのでノーマークだった所。糞、迂闊やったなぁ(笑)。聞けば、未だ何匹か居るそうで、明日虫籠を準備して、会社のお昼休みに更なる捕獲増を同僚達の手を借りて狙う事にした。会社がお盆休みに入る前日、8月7日は北海道へ旅立つ私にとってもカミキリムシを捕獲出来る最後のチャンス。無事成功を祈って私はこの日眠りに付いた(笑)。

<〜カミキリムシ大量ゲット?!そして、次なるステップへ!〜>

いやぁ、昨日と違って気持ちの良い朝ですなぁ♪(笑)。もう、既に一匹でもゲット出来ていると在って、めっちゃハイテンションな私。バカ丸出しってところかしら(笑)。遂に8月7日(土)を迎えた私は、漸く此処に至って北海道ツーリングに出掛けられる今の自分に酔える事が出来たのよ〜ん♪(笑)。さぁーて、最後の仕上げと行きますかぁ!

土曜日だし、オマケに世間もこの日から御盆休みって会社が結構在るから、取引先からの電話とかも皆無と来たもんだ。おかげで、私の優秀なオツムは仕事そっちのけでカミキリムシ捕獲ばかりを考え中(笑)。そして、時は進んでお昼休みに突入・・・・。

早々と昼飯を胃袋へ流し込んだ我等「カミキリムシ捕獲大作戦」一行は、今から向うイチジク畑で待ち構える捕獲妨害最大の敵、藪蚊対策に備えて虫よけスプレーを肌が露出している腕や頭部周辺中心に入念に吹き付ける。昨日カミキリムシを捕獲してきてくれた同僚が会社から帰宅する途中で100円ショップに立ち寄り、虫籠を購入してきてくれた。虫事態は素手で捕獲可能なので虫取り網は不要。後はこれを持って、イチジク畑へ潜んで行くだけや。既に虫籠の中には前日捕まえた(捕まえてもらった)先客が居る(笑)。一匹だけじゃ寂しいもんなぁ。一杯仲間を捕まえてやるから、大勢で賑やかに北海道を目指そうや!気合全開!!捕獲大作戦スタート!!!

「・・・誰も居て無いな・・・」
イチジク畑まで来てから周囲を見渡す。何と言っても人様の畑に許可も無く勝手に「2日連続」入り込む私達。多少なりとも良心が痛む(笑)。それに、三十路を迎えた大人3人が人気の無いイチジク畑に気配を殺して作業着姿で虫取りに勤しむ風景はやっぱり「変」としか言い様が無いし・・・。まぁ、ここまで来て止める訳にも行かないしね(笑)。畑に農家の人が居ない事を確認した私達は、イソイソと中へ忍び込んで行った・・・・。

「・・・アッツイナァ・・・」
「あっ、一匹見つけた♪」
「ヨッシャー!こっちも捕まえたでぇ♪」
短い昼休み、限られた時間の中でテンポ良く同じキボシカミキリを捕まえて行く。イチジク畑に入ってから僅か5分ほどで4匹の捕獲に成功。これで先の分と合わせて5匹となった。未だダメや、もっと欲しい。もっと捕まえて措かないと安心出来ない・・・・。虫取りに集中しながら、実はこの時、昨晩から「虫を如何に生かした輸送環境を作り出すか?」を考えていた。これから捕まえたキボシカミキリを手渡すまでの行程を想像してみると、捕まえた虫全てが生存する可能性は限りなく低く思えたから。今回バイクに装備したパニアケースに、この虫籠を入れて届けるつもりなんやけど、暑い夏場、上からは直射日光が。そして下からは道路からの照り返しとバイク自身から発散される排気熱とに晒されて、パニアケース内は相当な温度に到達する。だって、コイツは別にクーラーボックスって訳やないから(笑)。それ故、少しでも多くのキボシカミキリを準備して、北へ持ち込む虫が生き残る確率を高めたかったんや。しかし、そうは問屋が卸さないってのが世間の決まりみたい。欲張っては見たものの、結局この後は収穫ゼロやってね。昼休み終了と同時に、この5匹で捕獲大作戦は終了しちゃいました(笑)。協力してくれた同僚達に何度も礼を言いながら、ふと、北の空を見上げて溜息を付く私。自身で持ち込む手段としては、他に有効な手段は無いし、中々頭の痛い問題やでぇ・・・・如何しよう?(笑)。周りの手を借りて、苦労してやっと捕まえたんや。出来れば全て生かした間々の虫を北海道へ持ち込みたい。「兵庫県姫路市網干区大江島産の活キボシカミキリ、直行バイク便で御届けに上がりました♪」と思いっきりボケをかましてやりたいしね(笑)。人口密度を増した虫籠に彼らの主食「イチジクの葉」を数枚千切って入れてやり、捕獲に付いては一応の成功を見た事に満足して会社へと引揚げていった私達でした・・・・(笑)。

<〜いざ行かん!5年連続5度目の北海道へ!〜>

午後4時過ぎ、普段より早めに会社を閉じて夏期休暇に入った私と父。父も私と同じ会社で私が所属する部署の担当長。そう、直轄の上司。公私共に頭の一生上がらない「鬱陶しい」じゃ無かった「尊い(笑)」存在。このオヤジ様と2000年夏から始めた北海道バイクツーリングなんですけど、元々はオヤジが還暦を迎える2000年を祝しての旅でした。その一年目、道南中心で巡った北海道の魅力に、北の大地をバイクで駆ける楽しさに親子でスッカリ填まってしまった(笑)。もう、旅の途中から次の年の予定を留守番役の家族(母達)に何の相談も無しに計画(笑)。ここから、今までへと続く北海道バイクツーリングがスタートしたのです。一年に一度の贅沢。賭け事も互いにしないし、タバコも吸わない。酒は・・・其れなりに、否、結構飲むけど(笑)・・・。他に贅沢事と呼べるような事は一切していない。夏の旅に焦点をあて、コツコツとバイクの維持費や旅費を稼ぐ為、仕事に打ち込む日々。そして迎える喜びの日・・・・。

「オイ!先にシャワー浴びとけや。ワシはその間に自分の荷物をバイクへ積込んで置くから」と言いつつ、オヤジは自宅のガレージから愛車ハーレーダビットソン・ソフィテールデュースを引っ張り出す。そして、昨夜着替え等を詰め込んでいたツーリングバックを手馴れた手付きで紐やバンドを駆使し固定し始めた。私は言いつけを守って風呂場へ直行。だって、言われた通りにしないと後で不機嫌になって怖いのよ(笑)。さて、冗談は置いといて、先にシャワーを済ませた私は準備を済ませたオヤジと入れ替わる様に外に出て、ガレージから愛車カワサキZZ−R1100D6を出して来た。もう、コイツと付き合いだして8月で6年が過ぎて7年目へ突入。今までも、そして此れからも、自分に一番合うバイクやと惚れ込んでいる宝物。今年、更なる魅力を高めて新鮮度を盛り返した姿に喜びつつも、例の「虫」輸送問題だけが残ってしまった。パニアケースの内、バイクの左右に装着するサイドケースには旅の着替え等、衣料品が中心に詰め込んである。そして、最後のトップケースには、雨合羽やバイク旅の模様を収める撮影機材(デジタルビデオカメラやデジタルカメラ等)。そして、ある食材がビニール製の小さな簡易クーラーボックス内に詰めて収納されていた。その食材とは如何に?実は、今年の春、鳥取県に在る日本酒の蔵元「諏訪酒造」で、見事な琥珀色に輝く「諏訪泉 純米古酒1986」と言う貴重な御酒(300ml)を4本ゲットしていて、その内の2本が簡易クーラーボックスの中身と言う訳。米工房もインターネット上にホームページを開設していて、そこで私、ライターっぽい落書き事をさせて頂いておりましてね(笑)。この諏訪酒造ネタを大々的に取り上げてもらって久保さんと盛り上がった事が在ったんですよ。そこで私が「今年北海道へ行く時、この18年熟成古酒を土産で持って行くから一緒に味わいましょう」なんて言った訳。そして、それを今、実行に移そうとしてるのさ(笑)。日本酒(清酒)って飲み物は本来、品質管理に気を配らないと行けないデリケートな品。直射日光を避け、温度変化が少ない涼しい冷暗所で保存するのが望ましい。特に吟醸と呼ばれる日本酒最高峰は冷蔵庫で保管するのがベスト。今回、輸送する酒も長年徹底した品質管理によって生み出された奇跡の一品。それほどの酒が北海道で味わう前に質が落ちたりしたら台無しや。だから長年愛用している1リッターのペットボトルなら4本収納可能な簡易クーラーボックスに保冷材と一緒に古酒を詰め込む。そして保冷力が切れる前に、旅の途中でコンビニやスーパー等を見つけては、氷袋を買ってクーラーボックス内の冷媒として定期的に入れ替え、保冷力を維持する作戦や。ウン?ちょっと待てよ?クーラーボックスって、未だ半分位隙間が空いていたよな?

ふと思い付く事があって、トップケースを開いて更に中に詰まれていたクーラーボックスを開いて見る。確かに未だ半分位の空きが在る。ここに、それまで外に出した間々だった虫籠が入るか如何か試して・・・・入った(笑)。何と、ピッタリ上下の隙間無く収まるじゃないですかぁ?!それに、酒瓶2本にも全く影響無いぜ♪これは、ひょっとして旨く虫を生かせて北海道へ持ち込めるかもしれない。でも、1つだけ気になる点がある・・・。それは、確かに虫を異常な暑さから守る事は出来るかも知れない。けど、逆に冷えすぎる環境に耐えられず、直ぐに死んでしまうかも知れないってことや(笑)・・・・。

妙案と一瞬思えたんだけど、ちょっと考えが甘いかなぁ(笑)。でも、それ以外に手は無いだろうし、考えている時間も今は無い。幸いと言っては可笑しいけど、樹脂や発泡スチロールで出来ている本格的なクーラーとは比べ物にならないほど保冷力が弱く、隙間だらけで冷えが外部に漏れっぱなしな私の簡易クーラーボックス。恐らく、それほどクーラー内部は低い温度にならないと思うけど、念のため直接保冷材に虫籠が触れない様、薄いウレタンシートで更に虫籠全体を包み、直接掛かる保冷力を弱める工夫を施す。後はキボシカミキリの生命力に賭けるだけ・・・・。祈るような思いでトップケースの蓋を閉じ、鍵を掛けて準備完了!母が用意してくれた夕食を手早く済ませて、私達親子は午後6時過ぎに自宅を出発。いよいよ、今年の北海道バイクツーリングが始まる!今まで体験した事の無い、初めてのおバカな試みも含んだ旅が(笑)。期待と不安を同じ位に感じながら、我等親子は北へ進路を取った・・・・。

<〜新しくなった物は、私のバイクだけとは限らない?〜>

近畿地方の「北の玄関口」、京都府舞鶴港を目指す親子ライダー。毎年ここから新日本海フェリーが運航する「舞鶴⇔小樽航路」を利用して北海道上陸を果たしている。自宅を出て市道を北上してから山陽道・姫路西ICへ。そして大阪方面・東行きに入って直ぐの白鳥PAで一万円分のハイカ(ハイウェイカードの略)親子分と氷袋を購入。自宅に在った保冷材の量が余りに少なかったので、この氷袋はクーラーボックスの保冷力強化を狙った物。そして、再び舞鶴港目指してツーリング再開。山陽道・姫路東ICから播但連絡道路へ移り、更に北上。ここから急激に空模様が悪化して、雨合羽を装着する間も無く土砂降りの雨に打たれる(泣)。幸い雨の区間は短く、そこから数キロ走った播但道・福崎南IC直前で気紛れな雨から開放されるも時既に遅し。私自身は雨合羽の機能も兼ねたツーリングジャケットを着ていたので助かったけど、オヤジ様は限りなく普段着に近い状態。つまり、タップリ濡らされたって訳(笑)。ここから中国道・福崎ICへ移動する前、「びしょ濡れやけど、如何するの?」とオヤジに訪ねたら、「走りながら乾かす!(怒)」と憮然とした態度で答えてきた(笑)。まぁ、これから日が落ちてくるとは言え蒸し暑い関西の夏。ここから百キロ以上離れた舞鶴港まで移動する間に、もう一度雨に会うこともなければ走行風で乾くと思うし、風邪を引く心配も無いでしょう。バイクって乗り物は、ライダーの心理状態とかで動きが車以上にハッキリと現れる乗り物ではと日々感じている私。だって、明らかに不機嫌となったオヤジ様の走りは、雨に濡らされる前より荒っぽくなっていたんだもん(笑)。笑いを堪えながらオヤジ様を先頭に二台の「親子鷹」は中国道を東へ進んで行った・・・・。

中国道・吉川Jctから舞鶴道へと移った私達。三度北上しながら舞鶴港を目指してバイクを駆る。スッカリ日は落ちて周囲は闇に包まれている。都会を流れる高速道路と違って、山奥を走る高速道路はトンネルとインターチェンジ並びにサービスエリア周辺以外で照明は殆ど無い。頼りになるのは自分の車のライトのみ。普通車、つまり四輪車の場合だと、少々暗くても十分な明かりを照らし出すヘッドライトを装備し、雨に降られてもワイパーで視界を確保出来るなど特に慌てる心配も無い。けど、バイクは違う。私達親子が乗る大型バイクは未だ車並みの照射力を誇るヘッドライトを装備しているから良いとか言われるけど、やはり4輪車の明るさには勝てないし、夜間の雨走行では特に劣る。ひたすら真っ直ぐな道が続く北海道とかを走るなら良いけど、ここは狭苦しい関西の山奥。快適な環境など望みようも無い(笑)。曲がりくねった高速コーナーが連続する舞鶴道は、昼と夜とで全く印象が異なる。けど、もう何年も昼夜を問わず走り続けている道やから慌てる事も無いもんね。まぁ、無理はしないで気楽に行ったろ。そう心で呟きながら、兵庫県と京都府を跨る闇の舞鶴道を北上して行った・・・・。

舞鶴道・西紀SAで休憩中、進行方向の空模様を見て雨合羽装着を始めたオヤジ様。播但道で降られた後は、ここまで雨に遭わずに済んだ。でも、ここから先がどうも怪しい(笑)。オマケに雷もゴロゴロ言って稲光も見えたりしてる。雨より雷の方が断然怖いに決まっているし、食らったら間違いなく死ぬで(泣)。それに考えてみたらバイクは雷を呼び寄せる「金属の塊」やん。都市部なら他に幾らでも雷が引き寄せられる構造物が有るから、走行中の車やバイクへ雷が落ちるなんて事は殆ど無いけど。郊外の、しかも山奥の何も無い開けた道を走る私達ライダーなんて、雷の格好の餌食と成る可能性が高いやんけ!(怒)。「もう、勘弁してくれぇー!」て叫びながら、覚悟(?)を決めた私達は再び闇の舞鶴道へ。西紀SAを出て北へ数キロ走ったトンネルを抜けたら再び雨のゾーン、例の雷が鳴っていた雨雲の下だ。オヤジ様、読みが当たって服が再び濡れずに済んだのが嬉しいのか、バイクの走りが軽快に成って来たぞ!(笑)。その後、空がピカって光る度に心臓をドキドキさせられながらも何とか無事に走り抜いて、舞鶴道・舞鶴西ICを出た私達は舞鶴市内へと移動して行った。

舞鶴市内を北へ、舞鶴港フェリーターミナル方面へバイクを進めて行く。時刻は午後8時を過ぎたところ。そろそろ、港に私達親子が乗船するフェリーが入港した位じゃないかな。次第に他府県から訪れた、乗船目的と思われるバイクの集団と合流して行く。気分も港が近付くにつれ、次第に高まって来たぁでぇ!

「嗚呼、楽しみやなぁ。'新型'フェリーを拝めるのが♪」
そうや、大事な事を言い忘れてるやん(笑)。今年の7月から、舞鶴⇔小樽航路の運航フェリーが全て一新されたんです。それまで片道約30時間掛かっていた乗船時間が20時間に。10時間もの短縮化を図った新型高速フェリーに入れ替わったんです。従来、3隻で運航シフト(らべんだあ、ニューあかしあ、しらゆり)を組んでいたのも、新型2隻(はまなす、あかしあ)のフェリーで済むとの事。つまり、コストダウンってヤツやね。その分、運賃が安くなって…なんて事は無く。逆に高速化した分、高くなってしもうた(怒)。まぁ、それでも列車や飛行機よりグっと安くて済むし、年に一度位しか利用しないんだから文句も言えんわ(笑)。一人ブツブツ言って妙に納得しながら走っている内に、今夜の目的地が目の前に迫ってきた。北の玄関口「舞鶴フェリーターミナル」に到着や♪

ターミナルの岸壁には、夜目で見ても分かるほど眩く光る白い大きな船体が停泊している。私達親子が今夜乗る新型フェリー「あかしあ」だ。同時就航した「はまなす」とは、船名が違う以外は全て同じ仕様の姉妹船。今回は旅の行程上、往路と復路、どちらもあかしあに乗船する事となった。未だフェリーが着いたばかりか、小樽から乗船して来た旅客の下船が始まったところへ私達親子が到着したみたいや。フェリー会社係員の誘導に従い、バイクを自動二輪乗船待ちブースへ移動させる。既に何十台ものバイクと車が今夜の乗船に備えて待機していた。その最後尾二列に親子二台、仲良く駐輪する。バイクから降りてヘルメットを脱ぐより先に確認したのは虫達の様子。正直、俺は何をやってんだろうって思いもしたけど(笑)。とにかく、急いでトップケースを開けて、更にクーラーボックスを開いて虫篭を除くと…・あっ、生きてる(笑)。5匹とも元気に動いてる!ヨッシャー!ここまでは大成功や♪家を出る時、乾燥してしまったイチジクの葉に代えて、キャベツの葉を千切って虫篭に入れて置いたのも良かったのか、キボシカミキリが結構食べてくれていた。エサの葉が乾燥をするのを防ぐのと、虫が飲み水を得られるようにと、フェリーターミナル内のトイレへ直行。手洗い用の水道を利用して虫籠内を軽く湿らしてやる。トイレに入ってきた他のライダー達から送られる物珍しそうな視線を背中越しにビンビン感じながら、ジッと恥ずかしさに耐え(笑)、再びオヤジが待つバイクの所まで戻って行った・・・。

新日本海フェリーの場内アナウンスより、乗船開始は午後10時頃からと告げられた。時計は午後9時になったばかりで、未だ1時間も先のことや。「ふぁ、この待ち時間が退屈やなぁ毎回」と親子でボヤキながらも、一縷の望みを賭けて、キャンセル待ちをしているライダー集団の方を見たら、内心ニンマリとしてしまった(笑)。この時期、北海道行きの乗船チケットは、ちょっとした「プラチナチケット」と化す。御盆休みを活用した北海道ツーリングは、ライダー憧れの旅で有り、関西から快適且つもっとも安く付く長距離フェリーの移動は、北を目指すライダーが一番最初に考える手。しかし、一日たった一便しかないし、一隻当たりに積載出来る台数も限られていますから競争率も半端じゃありません。私も毎年、自分が乗船する日の乗船券が発売開始される日の前日から徹夜で此処、舞鶴フェリーターミナルに陣取り、往復の券をゲットしている位ですから。通常、電話で予約するのが普通ですが、発売日の午前9時からの受付で先ず電話が繋がる事はありません。開始から遅くても10分前後で完売しますから、それ以降繋がっても無駄な足掻き。諦めて希望日を変えて再挑戦するか、希望日にキャンセルが出ることを願って、乗船券がゲット出来ていない状態でも私達親子の様に何時でも北海道へ行ける準備を整えて舞鶴港までやってくる上記のようなライダー達も多く居る訳です。気持ちは分かるけど、私に言わせれば「努力が足りねーよ、オメエらわ」ですね。努力を怠らなければ、私の様に毎年狙った日に北海道を目指す事も可能なんだし、当ての無い旅計画はするなってぇの!(笑)。

妙に勝ち誇った気分(笑)でトップ・ケースに虫籠をしまった後、フェリーターミナル売店で買った御茶のボトルをグィっと飲み掛けた時、私達親子が並ぶバイクの列の最後尾、十四、五台後に見覚えの有る銀色の大型スクーターが一台入ってきた。「オイ?アレって確か、お前が言っていた人と違うか」とオヤジ様も気付いたらしく私に尋ねて来た。多分、合っていると思うよと答えながら、私は例のスクーターに近付いて行く。そして、私がスクーターの前に立つのと、そのライダーがヘルメットを脱ぐのがほぼ同時だった。お互いに「ひさしぶり!」が第一声。そう、やっぱり知り合いだった。彼は同じ姫路市の人で、50歳半ばを越えた熟年ライダー。御世話になっているバイクショップも一緒(笑)。お店では一度も御会いした事は無く、一昨年、この舞鶴フェリーターミナルで一緒に徹夜で並んで意気投合。この時は残念ながら、互いの乗船日が異なっていたので一緒に北海道を目指す事は在りませんでしたが、白髪のパンチパーマにサングラスと言う非常に「怖い」じゃなくて「迫力」の在る容姿(笑)と、見た目とは全然違う気さくなキャラが印象的で良く覚えていたんです。彼も私の事を良く覚えていてくれて、今年の乗船日が一緒だと言うこともあり、再会を楽しみにしていたんです。

「自分、オヤジさんと一緒やと言うてたな?」
「ええ、あそこに居りますよ。ほら、あのハーレーに腰掛けている人です」
そう言って、前の列にいるオヤジを指差す。彼は私のオヤジとは初対面。今のうちに挨拶しとくわと言いながら、私と一緒に前の列まで進む・・・。

「いやぁ、どうも初めまして。お父さんの事は息子さんから良く聞いています」
「こちらこそ、息子が御世話になったそうでありがとう御座います」
ここから世間話を軸に、バイク談義スタート(笑)。乗船時間までの良い時間つぶしが出来ました。さて、話し込んでいる内に時間は一気に過ぎて行き、遂に乗船開始を促すアナウンスが流れました。急いでお互いのバイクに跨りエンジン・スタート!

「キュキュキュ、ブオォォォオオン!!!」
魂の咆哮・・・。北を目指す私の嬉しさが排気音と成って表現される♪
「キュキュキュ、ドド、ドド、ドド!」
対照的な一定のリズムで刻まれる重低音。
騒々しい私(笑)と違って、物静かな父の内なる熱意が周囲に発散されるかの様だ。
高鳴る鼓動と共に我々親子はヘルメットを装着。二台のバイクは導かれるままに、新しい大きな船体の懐へ吸いこまれて行った・・・・(了)。

(・・・第二章「行くぜ!北の大地へ!」に続く・・・)



<〜第一章の御話〜>

毎年、夏の親子(父と息子)バイクツーリングに向けて準備を進めていた7月中頃、私の元へ届いた在る一通のEメール。
差出人は北海道の友人からで、その内容は「カミキリムシを生きたまま、捕まえて、直接、北海道まで届けて欲しい」と記されていたから、さぁ、大変!(笑)。
そう言いつつも、旅立ちの日までに、楽々達成出来ると思って引き受けたら・・・・。

その後、全くカミキリムシを捕まえる事が出来ず、無常にも時間は過ぎて旅立ちの日まで残り2日と迫った其の時、協力を頼んでいた会社同僚等の助けを得て「キボシカミキリ」を漸く一匹ゲット!更に、旅立ち当日に4匹追加ゲットに成功する。これで、如何にか面目躍如となった御調子者の私は、虫を快適(?)に輸送する手段も編み出し、全ての旅準備を終えて自宅を出発。京都府舞鶴港から新日本海フェリーに乗船し、北海道の南方面玄関口「小樽港」へ向け、北へ進路を取った・・・・。

では、その後の私達はと言いますと・・・。
第二章「行くぜ!北の大地へ!」の始まりです♪



第二章 「行くぜ!北の大地へ!」

<〜新造フェリー、あかしあの魅力に浸る〜>

乗り込んでみた最初の印象は「広くて綺麗」の一言に尽きる。そして、快適そのもの。それまで利用してきたフェリーが大昔の代物と言い切れる位、何もかもが違い過ぎ。車両甲板からして、その設計思考が利用客に圧迫感を極力与えない空間設計、配色が施されている感じ。それに、各階の移動にエレベーターが備え付けられていたことも有り難かったね。なんせ北海道行きは旅行荷物が多い。貴重品や着替え等、必要最低限の荷物はバイクから降ろして船室まで持ち込まないといけない。私は若いから良いとしても、年老いたオヤジには重労働やもん。平坦な場所を歩く際は我慢出来ても、上の階を移動するには階段しかなかった(一部、エスカレーターが付いたフェリーも在った)ので、正直辛かったんです。私達が駐輪した車両甲板は最下層(1階)。フロント(受付)が在るのは4階と船内案内図に提示して在り、荷物を持って4階フロアまでエレべーターで移動。そして、4階フロアに出た私は思わず唸っちゃいました・・・・。

「凄ッゲー!まるで最新のシティホテルみたいな趣きやなぁ♪」
そう、それまでの、何処か従来の国内定期航路のフェリーって言う「脂臭さ」が抜けて、デザイナー志向のスッキリとした空間が、4階から6階までを吹き抜けとした開放感が私達を出迎えてくれました。また、フロア中央部を仕切りのない洒落た螺旋階段で6階まで結んで在って、こう言う演出って非常に大事やと思う。このフェリーを利用するお客にとって、忘れがたい印象を与えることに繋がると思うから。このフェリーを利用するのは特別な事なんだってね。そして、また乗りたいねと思わせたら新日本海フェリーの勝ちってところでしょう。まてよ、だったら私達親子って、年中負けっぱなしな訳?(笑)。お粗末様でした(^0^)。

フロントで船室のチェックインを済ませた私達は、その後、同フロア内の売店を経由して予約していた船室へ移動。オヤジ様に快適な船旅を満喫して貰う為に、毎年「特等ツイン洋室」を苦労してゲットしています。各フロアから廊下を隔てる扉も、それまでの糞思い鉄の扉からガラス張りの自動ドアに「進化(笑)」。もう、至れり尽くせりって感じやね。流石に部屋カギは最新のホテルに在りがちなカード・キーでは無かったので、ちょっと残念かな。でも、電子ロックって、こう言う船舶向きでは無いかも。揺れや振動の多い外洋航路の長距離フェリーでは、緊急時に故障で開閉出来なくなったら命取りに成りかねないから。要は昔ながらのアナログ・キーで十分だし、家電音痴なオヤジ様も操作を失敗せずに済むから安心安心(笑)。では、早速部屋へ入ってみますかね・・・・。

「うわぁ、めっちゃ涼しい♪」

部屋は十分な位、空調が効いていて快適そのもの。なんとオート・エアコン付で、冷暖房、温度設定、風量風向がタッチパネルで操作可能となっているじゃありませんか。以前就航していた同航路のフェリーの船室より確実に広くなっているし、デザインも現代的で、シンプル且つ飽きの来ないタッチで纏め上げられているやん。部屋に備え付けられたテレビでは、随時船内放送として現在「あかしあ」が居る場所がひと目で分かるようにナビゲーション画像が流されているチャンネルが有った。GPS機能を使った当サービス。これだけでも、あかしあが21世紀に成って誕生した最新鋭の旅客船だって気がするわ。後は二人分のベットとユニットバス&トイレ。こちらも使い勝手の良い最新鋭設備。これで冷蔵庫が備わっていたら完璧なんですけど、これに冷蔵庫が付いた部屋が特等の上、スイート船室となる訳です。違いは其処だけなんですよ(笑)。でも、その装備の差が料金1万円の差を生んでいるとしたら、皆様は如何しますか?それでもスイートを選びますか?私は選びませんけどね(笑)。無駄と思える出費は少しでも抑えるに限ります。それに、男2人でスイート船室利用なんて気持ち悪いっす!(大爆笑)

荷物を運び終えた我等親子は交代でシャワーを浴び、売店で買った北海道限定ビール「サッポロ・クラシック」で乾杯。これも毎年楽しみにしている行事。そう、船に乗り込んだらサッポロ・クラシックで今年も旅に出られる祝杯を親子で交わすってね。いやぁ、蒸し暑い関西の気候を走り切って、タップリと汗を流した後に飲むビールの美味しい事。もう、この1杯の為に生きているって感じやねぇ!(笑)。アッという間に500mlのビール缶を飲み干した私達は、2本目に手を付けた頃、「ブオー!」と言う大きな汽笛が鳴り響いた。そう、出航を告げる合図や。時計を見ると日付の替わった9日の午前0時半、いよいよ北海道へ向けての船旅が始まります。我等親子は、再び乾杯しながら、未だ眠りに付かずに旅立ちの余韻に浸っていた・・・・。

翌朝、意外に船室内が静かで快適だったのと昨夜の深酒(笑)が利いたのか、親子共々目が覚めたのは朝8時近くに流された船内放送を聴いてからと言うより、起こされたって方が正解かな。だって、全く目が開かなかったんやもん(笑)。ふぁって酒臭い息を吐きながら顔を洗って身支度を整え、朝ご飯を食べに船内レストランへ移動。私たちの船室は最上階の6階に在り、レストランは5階に在ります。まだ半分以上眠った頭に鞭を打ちながら親子共々ドタドタと床を踏みしめるように歩いて行き、レストランへと入っていった。ここは個別メニューと言った物は一切無く、朝昼晩全てバイキング形式となっていました(夏季のみ)。入り口で大人二人分の料金を払い、互いに好きな物を選んで行く。味は申し分なく「美味い!」の一言。普段、仕事をしている日って、朝は飲み物以外取らない主義なんですが、遊びの時は別ですわ。別腹って方が分かりやすいかなぁ(笑)。朝から、タップリとエネルギーを「過剰補給」させて頂きましたよ〜ん♪(笑)。

その後、姉妹船「はまなす」と日本海上ですれ違う様を持参してきたビデオやデジカメを駆使して、例の大型スクーター乗りのパンチパーマオヤジと撮影合戦を甲板上で展開したり(笑)、あかしあ船内をウロウロと探索しまわったりと時間を過ごしている内にお昼となり、また5階へ戻って今度はレストランでは無くカフェテリアへ移動。このフロアには客室以外に上記の施設と大浴場が完備されているんです。我等親子は、昼はお安く行こうと醤油らーめんを注文。正直な話、朝から其れほど動きが無いので大して腹が減っていなかったのと、朝に食い過ぎたのが不味かった(T_T)。でも、この軽食コーナーのラーメンもバカに出来ない味っすね。前に就航していたフェリーで食べてた物と同じで美味しかったわぁ♪うーん、幸せ〜♪

その後は夕方、日が傾くまで部屋で来るべき北海道ツーリングに備えて体力温存。ベットで「惰眠」を貪り続けたバカ親子(笑)。夕食の準備が出来たとの船内放送で再び目覚めた頃はスッカリ日も落ちて、日本海は闇に包まれ始めていた。時刻は午後6時を回ったところ。眠っていた間に、あかしあは奥尻島を通過して積丹半島に迫っていた。何もせず、眠っていただけやと言うに人間って腹が空く生き物のなのね。親子して目覚めた最初に交わした「会話」は、必ずしも「口」から発せられるとは限らない訳で。何を食うかオヤジに訪ねようと、私が口を開きかけた瞬間「グゥゥウウウ」て周囲に響き渡るように胃が鳴った(恥)。すると、間髪措かずに、今度はオヤジが「ググゥゥウウウ」と胃を鳴らして「返事」をくれた。ここに「会話成立」を見た私達は、お互い無言でレストランへ向いました(大爆笑)。

朝と同様、気持ち良ーく夕食バイキングを堪能した我らは、次第に船内が下船に向けて熱気を帯びてくるのを肌で感じた。そして午後8時前、遂にフェリーは小樽港沖に到達。そこからゆっくりと、フェリー岸壁に接岸していった訳ですが、その間、我等親子はデッキに出て、小樽の夜景共々接岸風景を見たりカメラで撮ったりして楽しんでいました♪モチロン、パンチパーマオヤジと撮影対決「第二ラウンド」のオマケ付き〜♪

午後8時半頃、漸くバイクの下船指示が下りて私達は1階の車両甲板へ移動。興奮気味な他のライダーとは違って、私だけ別の意味で落ち着かなかった。だって、例のブツをバイクのトップ・ケース内に置き去りにしていたからさ(笑)。船室に持ち込んでいた私の荷物は、駐輪する際に隣のバイクの邪魔になるからと外しておいた左右のサイド・ケースのみ。まぁ、このケースに着替えなどの衣料品を詰めているんで、結局外して持って行かないと都合が悪かったんやけど。船が出港するまでの数時間は船室と車両甲板の出入りは自由。しかし、出航してしまうと、こうして下船の許可が下りるまで、船長の許可無く車両甲板へ出入り出来ないって規則があります。実は、船が出港してから、日中、車両甲板内は空調がされていない為に相当室温が上昇するって事実に気が付いた。とてもじゃないが、下船までに自宅から入れていった保冷剤や途中で買った氷袋なんて、小樽までどころか次の昼までに溶けてしまうやん。トップ・ケースは雨露を凌ぐ防水性は有るけど断熱性は無い。この中で更に保冷力の弱い簡易クーラーボックスに入れられたキボシカミキリ達と古酒の運命は・・・や、やばい。焦って、祝杯を挙げていたオヤジを部屋に残して車両甲板へ駆け出して行くも、時は既に遅かった。「ダメです!」と船員に車両甲板への立ち寄りを拒否されて、仕方なく、飲んだ暮れのオヤジが待つ船室へ引揚げました(笑)。だから、舞鶴を離れてから今に至るまで、コイツらも無事北海道へ渡る事が出来たのか中身を確かめる事が出来なかったんです・・・・。

駆け寄るようにZZ−R1100D6に戻り、サイド・ケースの装着を後回しにして大急ぎでトップ・ケースを開錠。ケースの蓋を開いて、更に中に積まれた簡易クーラーボックスの外側に触れる。ウン?僅かに冷たさを感じるぞ?それに、露と思しき湿り気も残っている?「・・・これは、ひょっとしたら・・・」と僅かな期待を胸に、一気に中身を開いてみると・・・・。

「ウォオオオー!ヤッタァァァアアア!全部生きとるゾォオオオー!」

虫籠を取り出して覗き込んだ時、中のキボシカミキリ全てが元気良く動き回る姿が確認出来て、思わず歓喜の雄叫びを上げてしまった(アホ)。周囲のライダーから変な目で注目を浴びてしまっている事に、オヤジから声を掛けられて漸く気付き、物凄く恥ずかしい思いをしちゃいました(笑)。でも、嬉しいなぁ。雅か、全部生きた状態で北海道に持ち込めるなんて夢にも思わなかったわ。意外にもクーラーの保冷力と虫籠を包んでいたウレタンシートが功をそうして、保冷材も氷袋も既に唯の水に戻っていましたが、中は未だ涼しさを保っていたんです。古酒も冷たさを維持していたから品質を保持出来たと判断。オヤジも驚いていて、下船後、小樽フェリーターミナルに面したローソンで換えの氷袋を購入。家から持ってきた保冷材をここで捨てて保冷力を再充填。ここで、パンチパーマオヤジライダーとも「北海道の何処かで再会出来たらええなぁ」と会話を交わして御別れし、望んだ通りの結果が出て最高の北海道ツーリングが出来そうだと予感しながら、この日の宿「小樽グランドホテルクラシック」へ向けて港を離れた私達でした♪

<〜小樽グランドホテルクラシックは我等親子憩いの場〜>

午後9時を過ぎた頃、私達は人通りの絶えた重厚な建物が並ぶ一角に立っていた。かつて外国交易盛んだった頃の小樽で「北のウォール街」として一時代を築いた通り。洋風建築の銀行や商社として利用された建築物が並ぶ色内通りに、今回宿泊するホテルが在った。そのホテルの名は「小樽グランドホテルクラシック」。文化遺産として、史跡にも登録されている現役の歴史ある洋式造りの当ホテルを初めて利用したのが今から4年前の2000年。そう、北海道へ初めてバイクツーリングに遣ってきた時に泊まった記念すべき宿の一つが、このホテルだったんです(今年と違って、昨年まではフェリーの発着時間が異なっていたので、このホテルに泊まったのは旅の始めでは無く終わりって言う違いは有りますが)。

小樽が実際、北海道の旅の起点と終点を兼ねているし、到着した時間も時間だから、今から遠出する事もお勧め出来ない。結局、ここで一泊してから、次の日の朝に行動を起こす方が無難って訳。ほら、何しろ同行する御高齢なオヤジ様に配慮しなけりゃならないのが息子たる私の務めで御座いますから(笑)。マジな話、年老いたオヤジに無理はさせたくなかった。折角遊びに来ているのに、慣れない土地でリスクを犯してまで夜間に距離を稼ぐ必要は無かったし、何も急ぐ旅じゃない。落ち着いて、ノンビリと走りゃ良い。それが、親子一致した考えでした。

最初に利用した時に凄く落ち着きのある上品な佇まい。大人の宿として大変気に入った私達親子は、毎年夏に訪れる際に必ず泊まる「定宿」に決定。以来、今年で5年連続5回目の宿泊と成るわけで、港から宿までの道程も完全に頭に入っている。5年も通っていて、未だに道に迷うようなら救いようの無いドアホでしょう(笑)。北海道へ来る資格なんかおまへん。そないな人は、とっとと帰っておくれやす(何故に京都弁?)。ボケるのはここまでして措いて(笑)、ホテルに着いた私達はバイクを裏手にある駐車場へ廻した。私がチェックインを済ませている間にオヤジは荷物を借りた台車に載せて裏の通用口から宿泊部屋へ持ち込む準備を進めていた。もう、慣れたもんで、私が駐車場へ戻って来た時には、私の荷物をバイクから降ろすだけとなっていた。今まで、私も父同様、毎日発生する荷物の積み下ろしに閉口していたんですけど、今年はめっちゃ楽が出来るから嬉しい。冒頭でも述べた通り、トップ並びにサイド・ケース。ボタン一つの操作で、バイクの取り付け金具から脱着可能。一瞬で荷物の積み下ろし作業が完了(笑)。明日の朝は、これと逆の動作を繰り返せばOKって訳さ。いやぁ、高い金だして買った甲斐が有ったとしみじみ思ったね。先の虫が生きていた事も、当ケースと無関係ではないだけに、生きた「投資」とって、こう有るべきやと思い知った(笑)。しかし、喜んだのも束の間、一瞬の油断から大事なパニアケースを小樽グランドホテルクラシックの裏口玄関階段から落下させ、ピカピカだったケースにキズと凹みが・・・・(T_T)。台車に載せて、部屋へ運ぼうとした矢先、階段の最上部へ運んで一瞬手を離した時に荷物がバランスを崩し、オヤジや私のパニアケースが駐車場の地面へ・・・・。ええ、全てアタシが悪いのさ!クスン、使ってりゃさ、自然とキズ物になるとは言え、めっちゃ早過ぎるやんけ!(叫)。数分、其の場に立ち尽くして凹んでいた私でした(笑)。

部屋に荷物を運び終えてから、早速虫籠をケースの中から取り出して外の空気に触れさせてやる。虫籠に入れて置いたキャベツの葉が完全に萎びていたのを見て、部屋の洗面台に虫籠を持って行き、水道を使って湿らせてやった。それで虫の様子は如何かなって覗き込んでみると・・・・。なっ、何やっとるねんオマエらぁぁぁあああ?!

何と北海道へ持ち込んだキボシカミキリ5匹の内、4匹が交尾を始めているじゃありませんか!(笑)。
元気なのは嬉しいけど、何もそこまで「ハッスル!」するなやボケ!(笑)。ホンマ、この現場を目撃した私は、如何リアクションを取ったらええねん!(笑)。
「全く、困った奴等やでぇ」と大笑いしながらベットに転がり、明日に備えて親子共々眠りに付きました・・・・(了)。

(・・・第三章「直行バイク便のキボシカミキリ御届け編」へ続く・・・)


<〜第二章までの御話〜>

毎年、夏の親子(父と息子)北海道バイクツーリングに向けて準備を進めていた7月中頃、私の元へ届いた在る一通のEメール。
差出人は北海道の友人からで、その内容は「カミキリムシを生きた間々捕まえて直接北海道まで届けて欲しい」と記されていたから、さぁ、大変!(笑)。
そう言いつつも、旅立ちの日までに楽々達成出来ると思って引き受けたら、以外にカミキリムシを捕まえる事が出来ず、
無常にも時間は過ぎて旅立ちの日まで残り2日と迫ったある日、捕獲協力を頼んでいた会社同僚等の助けを得て「キボシカミキリ」を漸く一匹ゲット!
更に、旅立ち当日に4匹追加ゲットに成功する。
虫を快適(?)に輸送する手段も編み出した私は、全ての旅準備を終えて自宅を出発。
京都府舞鶴港から新日本海フェリーの舞鶴⇔小樽航路便に乗船し、20時間の船旅後、無事小樽の地を踏む。
カミキリムシが思っていた以上(?)に元気な姿で北海道へ持ち込めた事に驚きながらも素直に喜び、小樽の宿泊先ホテルで心地好い眠りに付きました・・・・。

では、その後の私達はと言いますと・・・。
第三章「直行バイク便のキボシカミキリお届け編!」の始まりです♪



第三章 「直行バイク便のキボシカミキリお届け編!」

<〜キボシカミキリ、北の大地を北上す!〜>

「あかしあ」で寝過ぎたのが災いしたのか、昨夜もオヤジと一杯飲んだ後に酒の力で直ぐ眠ったのは良いけど、予想より早く目が覚めてしまった様で、時計を見ると午前5時を少し過ぎたところでした。外は徐々に明るくなり始めていて、習慣付いて来たのか、目覚めて最初に起こした行動はキボシカミキリの生態観測。あっ、また交尾している(笑)。朝っぱらから脱力感を受けるような行為を見せるなよ・・・。もう、久保さんに見せたら絶対笑われる事間違いないわ(笑)。さぁーて、眠気覚ましに小樽運河でも散歩してくるか!

今年、北海道も関西同様「猛暑」に見舞われているって聞いていたけど、やっぱり気候は随分違うなぁ・・・。朝の7時から気温が30度、湿度も異常に高い姫路市と違って、小樽市の朝は涼しくて心地好かった。カラッとした気持ちよい浜風が、澄んだ空気が、そして今歩いている「小樽運河」と言う場所が、間違い無く北海道に居るんだって実感を噛み締めさせてくれた。早朝で、地元の人も殆ど歩いていない運河を1人歩く情景も悪くない・・・。そう思った矢先、またも胃袋が「グゥ」って鳴りやがった(笑)。どうやら、詩人の役回りは私に似合わないと体が教えてくれたみたいやね(笑)。食前の運動も足りたことやし、ホテルへ戻って美味しい朝ご飯を御賞味致しましょう〜と♪

部屋に戻ると同時に、オヤジさんも目を覚ましていました。時計は午前7時前、このホテルの朝食は7時半と一般のホテルより若干遅めだから、何時も先に荷物の積み込み作業を終わらせて措いて、朝食を取ったら直ぐにホテルを離れるのが私達のスタイル。少しでも時間の短縮を図ってツーリングに活かしたいのが本音です。全ての荷物を運び終えてバイクに積み込み出発準備完了!ホンマ、何度も言うけど、今年の荷物積み下ろしセッティングの楽な事♪これで、昨晩にパニアケースを落っことしてなけりゃなぁ・・・(笑)。傷付き、凹んだ「虎の子」を見る度に、昨夜の「悪夢」がエンドレスに頭を掠めてねぇ・・・クスン(T.T)。ええい、何時までも済んだ事を気にして如何するねん!「オヤジィー!朝飯食いに行くどー!」って気持ちを切り替える様に言って、一旦駐車場を離れてホテルのレストランへ。そして、期待通りの美味でボリューム抜群の朝食の登場にスッカリ気分も良くなったお手軽な私は、朝ごはんをタップリ胃袋へ仕込んで親子共々燃料満タン「強」!いざ、北海道ツーリング、スタート!チェックアウト後、アニマル浜口並みの「気合ダァー!」って叫びを、ホテル玄関口で発しながら(笑)、小樽グランドホテルクラシックを離れた我等親子は札幌方面へ向けて小樽運河を駆けて行きました(^-^)・・・・。

小樽から札幌自動車道に入り、後に道央自動車道へ。旭川方面へ向けて北上し、深川Jctから深川沼田自動車道を経由して暫定終点の沼田ICまで移動する。そこからR275を通って
沼田町内にある米工房を営む久保商店までが本日の第一行程ってな訳です。
店主の久保さんに例の交尾するほど北海道上陸後も「ハッスル!ハッスル!」な元気が有り余った虫達と古酒を無事送り届けるのが、今回のツーリングの使命って、ちょっと、何か北海道ツーリングの趣旨が全然違う方向に行っちゃって可笑しくないか?そう、自分に何度ここまでツッコミを入れて来た事か・・・(笑)。もう、ここまで来たら、それこそ成功させないと只の物好きで終わっちゃうわ。ホテルを出る直前、クーラーの中を見てみたら氷袋は未だ一晩で半分くらいしか溶けていなかった。ここから沼田町までは高速を使ったら1時間半位の道程。日差しの弱い朝の内は気温も低いから保冷力は十分維持出来るだろうし、何とか旨く行きそうや〜♪

イケる手応えを感じた私は、コンビニ等に寄らず、一気に沼田町を目指す事にしました。天気も若干雲が多いけど晴れているし、ツーリングには何の支障も無い状態。
互いに思いっきりバイクのアクセルを開く。「承知!」と言わんばかり、互いのバイクは瞬時に豪快な加速を始める。我が意を得たかの様に、重低音の雄叫びを上げて北の大地を蹴る鋼鉄の馬達・・・。ここはツーリング天国、日本中のライダーに愛されて止まない「聖地」。今、私達の聖地を巡る旅は始まった・・・と、例年通りのスタイルなら、格好良く詩人の境地に浸れたと言うのになぁ・・・(笑)。私の行っている「行為」が、そんな気分にさせてくれない。だって、やっぱり変やもん。ここまで来て「何を言う!早見優!(by 村上ショージ)(笑)」と言われそうやけど、オヤジも他人事やと思って全く放置状態・・・、困ったもんやわ。
OH! Yeah! ★ここはツーリング天国、日本中のライダーに愛されて止まない「聖地」。今、私達の聖地を巡る旅は始まった・・・、米工房へ!
ブツブツ言いながら走っていても道が全然関西と違って混んでいないもんだから、アッと言う間に札幌、江別とワープして行って、気が付けば道央自動車道を結構北上していた私達。深川Jctまで後僅かって所の砂川ハイウエイオアシスで一旦休憩。ちょいと小腹も空いた頃、視界に入った売店のメニューに「北海道ソフトクリーム」の文字が高らかに謳われているじゃありませんか♪これは、「私に食ってくれ」と言っているのと同じって言うか、単に食いたかっただけだったりして・・・(笑)。北海道に来たら、おやつにソフトクリームは外せないもんねぇ。ええ、親子して、遠慮なく完食致しましたよ−ん。うーん、やっぱり酪農王国。本場のソフトクリームは一味ちゃいまんなぁ。美味いなぁ♪感動した♪腹が減ったら、また食うでぇ♪(笑)。脱線も程々に、ツーリングを再会した私達の快走は、その後もドンドン続くでぇ〜♪(^-^)

<〜御注文の品、お届けに上がりましたぁ♪(笑)〜>

空は抜けるような青さ、周囲は大陸を思わせるような田畑の緑に覆われた大地。道央自動車道から深川自動車道へと移った私達の目の前に広がる雄大な景色に、思わず息を呑んで見惚れてしまう。これが北海道の醍醐味、求めていた癒しの世界なんだーて、清々しい風を体一杯に浴びながら実感しちゃう。風に運ばれて届く、草木の香りも好くて嬉しくなってくるねぇ。沼田方面から走ってくる車も背後から迫ってくる車も皆無で、これじゃ私達親子が貸し切って使っているみたいじゃん!(笑)。スッゲー、気分が良いなぁ!北海道最高!アクセル全開、一気に終点へ行っちゃいましょう!(笑)。親子共々、今だから言えるけど、この時「相当な速さ」で移動していましたホンマ。皆様、幾ら気持ちが良くて、起伏の無い直線道路だからって、ゆっくりと安全運転で走りましょう・・・て、全然言ってる側から説得力が無いって自分で分かっていますよ〜ん♪(笑)。

北海道らしい(?)ハイペースな長距離移動を堪能した私達親子は終点の沼田ICを出てR275を沼田町内へと入って行った。これまでの走行で結構バイクの燃料が減っていたので、米工房へ辿り着く前に沼田町内に入った直ぐのホクレンSSでガソリン給油を行う事にした。そう、ご主人様に遅れること約2時間後に、愛馬の朝ご飯となった訳ですね。まぁ、それにしてもブッ飛ばしたお陰で、こいつ等の大食いな事(笑)。北海道で給油するなら、それもバイクに限って夏の期間に給油するなら絶対ホクレンがお勧め!これは、北海道を走るライダーの常識となっているんですよー!

毎年7月から9月までの期間、北海道を走るツーリングライダーに対して安全運転を呼びかける「SAFETY SUMMER HOKKAIDO」と言うイベントを、ホクレンが運営する全てのガソリンスタンド(SS)で開催。全道各地のSSでライダーがバイクに給油時、店員が提示してくる「安全運転宣言書」にサインすれば、もれなく「キャンペーンフラッグ」を1本プレゼント。このフラッグも1種類では無く、全SS209箇所を大きく3エリアに色分け(道北エリア;青色フラッグ、道南エリア;黄色フラッグ、道東エリア;緑色フラッグ)されて居り、更に地域性を持たせた楽しい内容となっております。絵柄等、フラッグのデザインは全て共通ですので、違いは色だけとなっておりますが、道北エリアで貰えるフラッグだけ「特別な1本」が存在します。それは道北エリアのホクレン稚内SSでしか貰えない「最北端」の文字が刻まれた青色フラッグ。毎年キャンペーンが始まって最初にフラッグが無くなるのが当SS。給油後に手渡されるフラッグには年数(今年は2004)が入っているので、ツーリングライダーのコレクター心を非常に擽り、毎年北を目指す者なら、続けて違う年の最北端と書かれたフラッグをそろえてみたいと思うのが心情。でも、私が行く御盆休み頃なんかじゃ、完全に出遅れた状態ですから先ず手に入った事は無いですねー!チクショー、欲しいよー!(笑)

また、全道のホクレンSSで、5リットル給油するごとにもらえるスタンプを集めて応募すれば、抽選で素敵な特製グッズが当たるスタンプラリーも毎年用意され、道外から訪れる私達ライダーを絶対他の某大手SSへ給油させないホクレンの巧みな戦略(笑)が私達親子の旅を盛り上げるのに一役買っています。滞在期間中、何回も給油しますから、このフラッグが貰えるのは本当に楽しみなんですねぇ。このフラッグを旅の荷物に突き刺して、パタパタと靡かせながら走るのが北海道ツーリングスタイル。でも、フラッグを突き刺した状態で高速走行すると、折角もらったフラッグの生地が風圧でさけてバサバサに千切れてしまうと言うアクシデントに過去見舞われ、貰った数本パーにしてしまった悲しい思い出があります私・・・(T_T)。皆ね、一回でも痛い目に遭えば、次回からは丸めて荷物等に収納して大事に持ち帰るのよ(笑)。モチロン、今年最初に沼田町で貰った道北の青色フラッグは綺麗に丸めて、トップ・ケース内に消えて行きましたとさ♪ヨッシャー!先ずは1本目ゲット!

しかし、5リットル毎に押してくれるスタンプラリー用のシートは在庫切れでゲットならず。ちょっと残念やけど、肝心のフラッグが貰えたから御機嫌な我等親子♪ノー・プロブレム♪楽しみが次回に伸びただけやん。ほな、ぼちぼち行きまっか!

ホクレン沼田SSを出た私達は、そこから町内を移動して2分と掛からず目的地の久保商店へ到着。久しぶりやねぇ、そっかー、去年に初めてここに来てから、もう一年も経ったんやなぁ・・・。去年と全く変わらない表情を見せる沼田町、久保商店周辺。忙しなく町の風景が一変する私達関西の街と違って、ここを流れる時間はとても緩やかに感じるね。昼間でも町を歩いている人を探し回らないと見つけられないほど、人通りも疎らで静まり返った町中。都会の喧騒とは全く対極に位置していて、訪れた私の心をとても和ませてくれた・・・・。

「やぁ、どうもお久しぶりです!」

さぁ、どうぞ入って下さいと、我等親子のバイクの音を聞きつけるな否や、店の奥から店主の久保元宏さんが御登場。私も一年ぶりの挨拶を交わした直後、準備していた例の台詞を彼に向って言ってやりました♪

「御希望の活きたカミキリムシ、姫路からお届けに上がりました!」
それを聞いて、思わず吹き出すような笑いのリアクションを取った久保さん。言った私も大笑いしながら、トップ・ケースを開いて簡易クーラーボックスを取り出し、中に収めていた虫籠と古酒のビンを久保商店オフィスの机に並べた。「あっ、これは例の日本酒ですね」と先に古酒を手に取り確認した後、虫籠を手に取られて中のカミキリを不思議そうに眺められた・・・・。そして、ある事に彼も気付いてしまった(笑)・・・・。

「圭一さん、カミキリが何匹か中で"交尾"してるじゃないですかぁ?!」

いやぁ、もう笑うしかないでしょ(^0^)。北海道上陸時に虫籠の様子を確かめたら、この状態に突入してたのよって教えたら、更に大きな笑いを久保商店オフィスで生む事になりました(笑)。それから、このカミキリ達。実は北海道へ上陸する何日も前に、久保さんから直接札幌のドラールまで届けに行かれてはと如何でしょうとも言われていました。でも、私自身は坂本さんと全く面識は無いし、行き成り正体不明(?)な私が何の前触れも無く尋ねて行けば、吃驚されるんじゃないかって久保さんに言ったら「そこが良いですよ!絶対インパクトがありますから喜んで頂けると思いますよ!」と彼も言い出す始末・・・。もう、困ったお人やでぇ(笑)。でも結局、ツーリングコースや旅の都合上、札幌は立ち寄る事が適わなかったので、ここまでカミキリ達を運び込んで、後日、彼の手からキボシカミキリが生きている間に手渡して頂くように頼んで措きました。さてさて、今後の我らの行動は如何かと、今から沼田町を離れた後のスケジュールを久保さんに話し、2日後の夕方に再び沼田町へ戻ってくる予定を伝えて私達親子は久保商店を午前10時半に出発。再び親子、愛馬の騎手となってツーリングを再開したした(^-^)・・・・。

旭川方面へ向うと告げた私に久保さんは地元の人間が使う混まないルートを教えてくれました。何でも、地元ライダーが愛用するコースやそうな。それを聞いたら、走りたくなるのがライダーの性ってものですわ。無難な直線道路主体の国道ルートで旭川を目指すより、そっちの方が変化に富んでいて絶対好いだろうと勧めてくれた久保さんの言葉を信じて、私達は走ってみることにしたんですよ♪

久保商店前を通るR275を東へ、旭川方面へ進路を取る。沼田町から深川市へ入った直後で道道98号線へ。道の流れとしては交差点を一切右左折する動作無く、ただ道なりに真っ直ぐ進んで行くだけの簡単ルート!なるほど、コイツは中々イケるやん!先ずは、左右に広がる水田地帯を見ながら進む平坦な直線路在り。適度な高速コーナーも含まれている。その後、山越えをする峠道には、私の地元では馴染み深いヘアピンカーブの連続する狭路出現と変化に飛んだ内容で、地元のライダーに人気のワインディングロードって訳が良く分かりました♪夢中に成って走っている間にバイクはR12へと入る交差点に差し掛かっていました。そっかぁ、何時の間にか、私達って旭川市に入ってたんやねぇ・・・・(ボケ!ボケ!炸裂!)。

照りつける日差しを背に、私達は先を目指して北の大地を駆けて行きました(了)。
(第四章「北海道ラーメン紀行、そして十勝へ・・・」に続く)


<〜第三章のまで御話〜>

毎年、夏の親子(父と息子)北海道バイクツーリングに向けて準備を進めていた7月中頃、私の元へ届いた在る一通のEメール。
差出人は北海道の友人からで、その内容は「カミキリムシを生きた間々捕まえて直接北海道まで届けて欲しい」と記されていたから、さぁ、大変!(笑)。
そう言いつつも、旅立ちの日までに楽々達成出来ると思って引き受けたら、以外にカミキリムシを捕まえる事が出来ず、
無常にも時間は過ぎて旅立ちの日まで残り2日と迫ったある日、捕獲協力を頼んでいた会社同僚等の助けを得て「キボシカミキリ」を漸く一匹ゲット!
更に、旅立ち当日に4匹追加ゲットに成功する。
虫を快適(?)に輸送する手段も編み出した私は、全ての旅準備を終えて自宅を出発。
京都府舞鶴港から新日本海フェリーの舞鶴⇔小樽航路便に乗船し、20時間の船旅後、無事小樽の地を踏む。
カミキリムシが思っていた以上(?)に元気な姿で北海道へ持ち込めた事に驚きながらも素直に喜び、小樽の宿泊先ホテルで一泊。
次の日の朝、いよいよキボシカミキリをお届けする「本番」の旅がスタート!
幸い天候にも恵まれ、快調に北の大地を「爆走(笑)」した私達は、沼田町の久保商店(米工房)を訪れ、見事指令を果たす事に「成功」する(笑)。
旅の「おまけ」的仕事を達成した私達は、本来の北海道ツーリングへと戻って行きました・・・・。

では、その後の私達はと言いますと・・・。
第四章「北海道ラーメン紀行、そして十勝へ・・・」の始まりです♪



第四章 「北海道ラーメン紀行、そして十勝へ・・・」

<〜スキージャンプ原田選手の故郷はラーメン天国?〜>

「・・・あっついなぁ・・・」

R12へと出た私達は更に進路を東へ進み、旭川市内を通過して行く。それにしても、暑い。
可笑しいなぁ、私達ってば蒸し暑い酷暑の関西を脱出して北海道へ「避暑」も兼ねてのツーリングなのにぃ・・・。交差点の信号に捕まる度に、愚痴る軟弱な私が1人(笑)。
横に居るオヤジを見ると、ヘルメットから覗く顎に滴り落ちる汗が見えた。私も同様、被っているオヤジと同じSHOEIのジェットヘルメット内はサウナ状態。
瀧の様な汗を掻いて、溢れ出した物が顎から滴り落ちてバイクの燃料タンク上に小さな水溜りを生んでいた。もう、アタシ達の頭は脱水気味でクラクラよ〜ん・・・・(笑)。

カラッとした暑さ、過ごし易い夏の気候が何と言っても北海道の売り。でも、今年は何年かぶりの猛暑となって、北海道でも日中30℃オーバーの気温を叩き出す箇所が続出。日本海に近い沼田町や盆地の旭川市は気温だけでなく湿度が高いのも正直驚いた。だって、これじゃ私の居る姫路市と大して変わらへんやん。
何度も言うけど、私は避暑に来たんやぞー!(笑)。まぁ、先ほど別れたキボシカミキリ達にとっては、この気候は出身地と良く似てっから、シックリと馴染んで長生きに繋がるだろうし、結果オーライって所かも知れませんけどね(笑)。そんな事を考えながら蒸し暑い旭川市内を足早に通過し、R39へ移って旭川市郊外の当麻町へ出た。ここで道の駅「とうま」へ休憩とスタンプ帳を貰いに立ち寄る。こちらもホクレン同様、毎年北海道の道の駅が主催しているイベントでスタンプラリーが在ります。今年は全道82ヵ所全ての道の駅のスタンプを集めれば完全制覇(本当は7月上旬に新駅「とようら」がオープンして期間中に83駅となりますが、今回は82駅以上で完全制覇)となります。完全制覇を達成した全ての方には「完全制覇認定証」と「全駅制覇ステッカー」が貰えますし、他にも集めたスタンプの数に合わせて様々な商品が抽選でプレゼントされるなど、嬉しい演出が盛り沢山♪参加費は無料♪またまた、やってくれるでぇ北海道♪(^-^)

初めて北海道へバイク旅に来た時から毎年当イベントに参加しているけど、指で数えられる旅の日数位では全ての駅を回るなんて絶対無理ね。
それに、毎年「増殖」を続ける北海道の道の駅にも意義を申し立てたいわ!(怒)。何処まで、駅の数を増やしたら気が済むねん!(笑)。
絶対、地元民に対しては完全制覇を少しでも遅らせようと、道外から訪れる観光客には制覇其のものを諦めさせようとする作戦と見たでぇ!(笑)。
冗談はさて置き、北海道と言う、ある種の閉鎖的で特異な土地柄が生む環境が、このスタンプ・ラリーのゲーム性を非常に高め、毎年成功を収めている要因ではないかと分析します。だって、関西の道の駅でもスタンプラリーを行っている地域とか在りますけど、ここまで盛り上がっている所は在りませんもの。やっぱり、北海道って所は「特別」なんですよ〜♪

オヤジと私、二人分のスタンプ帳を施設の方から頂いて、早速、道の駅「とうま」スタンプをゲット!
こちらは有名な「でんすけスイカ」の産地と在ってか、スタンプの絵柄は「でんすけさん」キャラを使用した可愛い物(笑)。押し終わったスタンプ帳の絵柄を見て、思わず笑ってしまったわ。水分補給と喉の渇きを潤すために買った御茶のボトルを一気飲みした後、私達は次なる目的地へ向け旅を再開しました・・・。

石狩川沿いを流れるR39を東へ向う私達。二台の親子バイクは当麻町から愛別町、そして上川町へと進んで行く。都市部から広大な田園風景と次第に景色も移り変わり、今は山間部の谷間を流れる川に沿って左右に開けた農村地帯を抜けるルートを走行中。このルートを選んだのには、実は大きな理由が有ったのです。そう、ホクレンや道の駅に続く「北海道ツーリング第三のイベント」実行の為に、この道へ進んで来たのですから(詳細に付いては、この後の旅話で順に説明して行きますね♪)・・・・。

上川町へ入ったのは正午前、丁度お昼時となりました。大体予定通りのペースでツーリングコースを進んで来ましたね。
今日は、この後、帯広まで行って宿泊する予定なんです。残った距離も大した事無いし、今は目前の昼飯ゲットに燃えるのみ!(笑)。
この上川町は上川ラーメンと言って、ラーメン日本一を目指すべく町内一丸となって御当地ラーメン向上に力を入れている地域なのです。北海道と言えば札幌と函館、そして旭川ラーメンが有名ですけど、他にもこうして地域振興を狙った御当地ラーメンが存在するんだなぁ・・・。北海道に来るまで全く知りませんでした(笑)。
上川町内へ入ると、道路沿いに「上川ラーメン」を謳う幟を立てたお店が目に付き始め、思わず心を擽られたけど、ジッと我慢していた私。だって、既に「本命」のお店が決めて在ったんやもん!体は既に「パブロフの犬(笑)」状態。しかし、それを理性で抑えて凌いでいる内に、目的のお店が私の視界に入って来たぞ・・・。
「愛山渓ドライブイン」と赤い屋根に大きく白地で書かれた御店。そう、ここが、今日の昼食「上川ラーメン」を食べようと選んだ場所。そして、先に述べた北海道第三のイベントにも関係の有る大事な場所でも在ります。今はそんな説明より、いい加減腹が減ったんで中に入りましょう(笑)。腹の虫が収まってから、この続きを語って行きますから・・・・。

親子二人、店の入り口前に二台並べて駐輪し、暖簾を潜ってお店の中へ入っていった。地元のお客さんで中は既に満席に近い状態。運良くテーブル席が一組空いていたので、そこに私達親子が座る。テーブルに備え付けられたメニューを手に取り、お互い口にした台詞は同じ〜♪

「さぁ、"今度"は何ラーメンを食べようか?」

実は、ここに来るのは二度目なんです。2年前の夏に一度、このお店で私達親子は醤油味の上川ラーメンを初めて食べましが、その時に味わったラーメンの美味さと言ったら貴方、もう、感謝感激!涙ちょちょ切れですわ!(笑)。脳天を「ガツン!」と殴られた様な衝撃を受けましたね。めちゃくちゃ美味かったんです(^-^)。こちらのラーメンは各地で色々食して来ましたが、今のところハズレに当たった経験は有りません。ホンマにレベルが高いです。こちらと比べたら、如何に姫路のラーメン屋が救いがたいほどレベルが低くて不味い店が多い事に溜息が出てしまいます。こんなもんで良いねんと、勝手に客のレベルを見切って拘りや真面目な仕事振りを感じさせない適当なラーメンが日常平気で売られています。北海道の繁盛するラーメン店を営む店主の方が、私の地元の不味いと噂される店へ出向いて食べられたら「こんなラーメンで客から金を貰っているのか?!」と言うでしょうね(恥)。嗚呼、何で地元には、こんな美味しいラーメン屋が少ないねん(T_T)・・・・。

まぁ、故郷の愚痴も程々に、私達親子は揃ってシンプルに「塩ラーメン」を注文。メニューには他に味噌ラーメンや「ジャンプスキー原田ラーメン」なる物がデカデカと載っていました。そう、ここ上川町は全日本ジャンプスキー代表で1998年の長野オリンピック団体戦の金メダルを獲得するなど、目覚しい活躍で有名な原田選手の故郷でも在ります。お店にも、彼のサイン色紙が飾って在るのに気付きました。

{私};「そうか、原田さんも普段からコレを食べてるんやなぁ・・・」
{オヤジ};「それが如何した?」
{私};「・・・羨ましいなぁーて、思っただけや・・・」
{オヤジ};「それ以上言うたら、姫路に帰った時に凹むどオマエ」
{私};「・・・・(黙)・・・・」
言った其の場で凹む、ドアホな麺キチ・ライダーが1人・・・(笑)。

親子でボケ問答(笑)を展開している内に、厨房から美味そうな湯気を携えた二杯のラーメンが私達の前に現れました。
見た目凄くシンプルだけど、香り立つ湯気や雰囲気から先に味わった醤油ラーメン以上の期待が持てました♪即、運ばれてきた塩ラーメンに箸を付けてみると・・・。
「こ、これを待ってたんや!」と思わず箸を握らない左手でガッツポーズする私(喜)。美味い、美味すぎる!期待以上の出来栄えに感動すら覚えちゃう(笑)。
醤油や味噌と違って、スープの最後の味付けに塩しか使わない塩ラーメンは、余程肝心のスープに自信が無ければ出来ない料理。そして、最後に味を決める塩にも当然拘りが、自らが作り上げたスープに合う塩が何か分かっていないと話になりません。モチロン、麺やトッピングの具材に至るまで、要はバランスの取れた一品に仕上がっているかってことやね。見た目以上に料理センスが問われる一品。こちらは、正に其の王道を行った感じです。嗚呼、ここまで態々食べに来た甲斐が有ったよーん♪(^0^)

食べ始めたと思ったら、アッと言う間にラーメン鉢の底が見えて来て完食!一滴のスープも麺も残して居りません!これこそ、素晴らしいラーメンを作られた職人さんに対する最高の賛辞であります(笑)。大満足でお店のレジでラーメン二杯分の清算を行いつつ、私は在る一冊の小さなパンフレットを差し出し、お店の方に提示した。すると・・・。

「ハイ、"レッドバロンのフラッグ"ですね♪ちょっと待って下さいね」
そう言いながら、レジの横に置かれたダンボール箱から、ホクレンSSで給油後貰えるフラッグと全く同形、同寸法のフラッグを取り出して私に手渡し、提示したパンフレットを裏返して裏表紙の「層雲峡」と書かれて円で囲まれた場所に「04」と二桁の数字が入ったシールを貼ってくれました。お礼を言ってレジを離れた私と入れ替わって、今度はオヤジが同じ事を繰り返す。ここを食事以外の理由で立ち寄ったもうひとつの訳が分かりましたよね。これが北海道バイクツーリング第三のイベント「北海道ゲットフラッグツーリング2004」なんです(^-^)。

全国チェーンのバイク販売大手「レッドバロン」が夏の北海道をツーリングするライダー(レッドバロンでバイクを購入したユーザーのみ)を対象に、7/1〜8/31の期間内に北海道を走るとレッドバロンへ登録申請した相手へ、北海道ツーリング中でバイクに故障等のトラブルが発生すれば「無料」で車両等の引き上げやサポート作業に当たると言う、1999年から始めたキャンペーンを母体に、当イベントへと発展したのが北海道ゲットフラッグツーリングなのです。
参加方法は至って簡単。普段、御世話になっている地元(私の場合は姫路)のレッドバロン店へ出向き、お店に置かれた当イベント申し込み用紙に自身の旅の予定等、詳細事項を記入。書き終えたら、登録完了として御店から「エントリーマップ」と「エントリーステッカー」が手渡されます。このエントリーマップが先ほどレジで提示した物。表表紙を開くと、始めの見開きページで詳しいイベントの説明が書かれています。北海道各地に計10箇所(bP〜bP0)のフラッグポイント(例;愛山渓ドライブインなどの当イベント協賛店)を設け、各フラッグポイントを巡ってフラッグをゲットするラリースタイルのゲームです。また、こちらもホクレン同様(一部ではパクったって話ですが(笑))、フラッグポイント10個所を四つのエリアに色分け。道北は青、道北は緑、道央は黄、道南は赤とホンマに何処かと似た様な事をしていますよねぇ(笑)。まぁ、コレはこれで楽しめるイベントなので、細かいことは私気にしません(笑)。ちなみに、今貰ったフラッグはbVの層雲峡フラッグ。ここを出て更に東へ進めば北海道を代表する景勝地「層雲峡」が待ち構えています。このフラッグは、その地名とイラストが描かれた道央エリアに属する物。やっぱり、ホクレンのフラッグと混同しそうなほど良く似ているから正直紛らわしいわ(笑)。でも、こうして北海道の思い出となる旅のアイテムが増えて行くのはスッゲー嬉しい♪もう、幾らでも来いって感じかな(笑)。頂いた物は大事にするのがモットー。即、トップ・ケースに収納した後、店の表で記念撮影を済ませて出立の準備をしようかと片付け始めた時に「お久しぶりです♪」と背後から声を掛けられました・・・・。

振り返ってみると、小柄だけどコギャル並みに色黒く日に焼けた顔を持つセミロングヘアの女性ライダーが側に立っていました。一瞬「誰やねんオマエ?」って気がしましたけど、見覚えのある容姿に、過去の記憶が蘇ってきた!そうや、3年前にウトナイ湖で出会ったあの子と違う?うん、間違いないで!月刊『ツーリングGO!GO!』の女性編集者さんや♪

彼女は加藤智晴さんと言って、東京の三栄書房と言う大手雑誌出版社の月刊誌『ツーリングGO!GO!』編集部に所属している編集者。
雑誌のタイトルから想像出来る様に、ライダーが日本各地を円滑に旅が出来る様に応援する「バイクの旅本」を手掛けるのが彼女達の仕事な訳です。彼女と会うのは此れで二度目、その前は3年前に苫小牧市北にあるウトナイ湖畔のウトナイレイクランドって所の入り口でした。当時、北海道各地を編集部特製のワンボックス・カーで移動しながらツーリングライダー相手にイベントを展開していた彼女達に、そこで出会ったのが最初でした。ほんと、肌の色が日焼けでやたら黒くなっている以外は殆ど変わってないねぇ君ってば(笑)。同じ編集部の方と二人揃っての移動中、昼食にと愛山渓ドライブインへ入ってきたら、見覚えの在る親子とバイク、そしてこの時、私が頭に巻いていた「ツーリングGO!GO!特製タオル」を見て間違いと判断して声を掛けて来たんだそうな。正解、私もアンタを見て間違いねーと思ったもん!(^-^)

「ここって初めて入るんですけど美味しいですか?」と訪ねてきたんで「塩ラーメンがめっちゃ美味い♪」と教えて上げて、彼女達と入れ替わる様に其の場を放れて行きました・・・・。

加藤さんが別れ際に「また"今回"の旅もレポート書いて是非送って下さいね♪」と言っていたなぁーて思い出しながら、層雲峡に近付いて行く私達。そう、過去に何度か親子でバイクツーリングしたレポート(通称;ツーレポ)を送って、この雑誌に掲載して貰った事があるのです。こうして書いている旅話が正に其れって感じやけど、今回は正直な話、如何しようかなって考えているところ。まぁ、この旅が終わってから如何するか考えれば好いやとツーレポ話は暫く忘れて走りに集中する事にした私でしたが、その後、否が上でも走りに集中しなければ行けない「展開」に・・・・。

<〜我等親子旅に雨は付き物?土砂降りの大雪山系峠越え!〜>

層雲峡を訪れるのは先のラーメン屋同様、2年ぶりとなる私達。紅葉の名所としても名高い層雲峡ですが、秋の紅葉シーズンに親子揃って北海道へツーリングに来られる可能性は限りなく「ゼロ」に近いやろなぁ。無論、仕事の関係からですけど、贅沢を言っては切りが無いから諦めよっと♪うん?ちょっと待てよ?何か空の様子が変じゃねーか?・・・・

層雲峡に入った辺りから、空模様が可笑しくなり始めていた。旭川辺りに居た頃から若干曇り気味の天気やったけれど、山間部に来て更に悪化した感じがする。もう、何時振り出しても不思議じゃないって言ってる傍から、ポツリ、ポツリってヘルメットのシールドやバイクに雨の滴が・・・・。いよいよ、今年の北海道上陸後、最初の雨の洗礼らしい(T_T)。でも、まだ本降りから程遠く、通り雨程度と踏んで其の場を避けよう思った私達。この雨雲の下を早く走り抜ければ、この先天気の心配はしなくても良いかも知れないって甘い考えでいたんで、立ち止まって雨合羽に着替えず走り続けたんですが・・・・。

R39・R273の共用区間を経て大雪湖に辿り着く直前、小函トンネルを出た瞬間に世間は一変!バケツをぶちまけたような土砂降りの雨に遭遇してしまった!
もう、避ける間も無く大雨に打たれ始めた私達。早くしねぇと、ずぶ濡れになっちまう!(叫)。バイクを急いで停めて、大急ぎで雨合羽を荷物から取り出して着込む。
ふぅ、私もオヤジも其れほど服を塗らされる前に手が打てたぞ♪ヨーシ、ツーリング再開や!(^-^)

完全防水陣形(笑)を敷いて進軍を再開した親子ライダー遠征隊は、大雪湖からR273を帯広方面へ進む。大雨による視界の悪化で、進軍スピードも落ちに落ちと思った矢先、突然雨のゾーンが切れて路面はドライコンディション。空を埋め尽くしていた雨雲も切れ間が生じ、時折青空が覗き出す・・・。

「あっ、あのなぁ・・・。いや、嬉しいけど・・・」

正直、心は複雑よ。だって、雨合羽を着てから5分と経ってないのに、これって如何やねん?(笑)。「北海道の天気は、オレをおちょくってんのかぁ?!」と天に向って叫んだ私(笑)。あの土砂降りの雨が嘘の様に思えてしまう。幸い山間部は結構気温も低くかったので、コレだけ着込んだ状態でも暑く無かったから、一応「予防線」を張って雨合羽を脱がずにツーリングを続けました・・・・。

上川町から上士幌町を跨ぐ「三国峠」に差し掛かり、ここでデジカメ&デジタルビデオ撮影を展開♪綺麗なところやねぇホンマ♪
旅雑誌やテレビの旅番組で良く紹介されていたのを見て、是非訪れて見たかった場所なんですよー!ここを通り過ぎるライダーの姿とかもビデオで納められたし、好い絵が一杯取れて旅の嬉しさ更に倍増!天気が回復した御蔭だねって喜んでいたのも束の間、三国峠を下って暫くしたら、また雨の世界に逆戻りの私達・・・。もう、嫌や・・・(笑)。静まり返って冷たい雨が降る深い森を、ただ黙々と進み続けていたら「糠平温泉」と書かれた看板が見えて来た。この時、進むほどに霧が立ち込めて視界が良くなかったから気付くのが遅れたけど、左手に湖が広がっているのが分かりました。

「そうか、ここが"糠平湖"なんや。"タウシュベツ橋"が在る有名な湖」

タウシュベツ橋は廃線となった旧国鉄士幌線のアーチ橋。「めがね橋」とも呼ばれ、糠平湖と言えばコレと言われるほどに人気が高く、季節に応じて湖面から沈んだり出たりを繰り返す幻の橋(北海道の方には説明不要ですね(笑))。
そやけど、肝心の名所は、この天候で美しい姿を望めそうもなさそうやし、さっさと南に下って帯広を目指した方が良さそうやね。
そう決めた私達は糠平湖も温泉にも立ち寄らずに通過。長い森を抜けた先には、雄大な十勝平野が広がっていました・・・・(了)。

(・・・第五章「〜十勝・帯広の夜は"パン"で乾杯♪の巻」に続く・・・)


<〜第四章のまで御話〜>

毎年、夏の親子(父と息子)北海道バイクツーリングに向けて準備を進めていた7月中頃、私の元へ届いた在る一通のEメール。
差出人は北海道の友人からで、その内容は「カミキリムシを生きた間々捕まえて直接北海道まで届けて欲しい」と記されていたから、さぁ、大変!(笑)。
そう言いつつも、旅立ちの日までに楽々達成出来ると思って引き受けたら、以外にカミキリムシを捕まえる事が出来ず、無常にも時間は過ぎて旅立ちの日まで残り2日と迫ったある日、捕獲協力を頼んでいた会社同僚等の助けを得て「キボシカミキリ」を漸く一匹ゲット!更に、旅立ち当日に4匹追加ゲットに成功する。虫を快適(?)に輸送する手段も編み出した私は、全ての旅準備を終えて自宅を出発。京都府舞鶴港から新日本海フェリーの舞鶴⇔小樽航路便に乗船し、20時間の船旅後、無事小樽の地を踏む。カミキリムシが思っていた以上(?)に元気な姿で北海道へ持ち込めた事に驚きながらも素直に喜び、小樽の宿泊先ホテルで一泊。
次の日の朝、いよいよキボシカミキリをお届けする「本番」の旅がスタート!幸い天候にも恵まれ、快調に北の大地を「爆走(笑)」した私達は、沼田町の久保商店(米工房)を訪れ、見事指令を果たす事に「成功」する(笑)。旅の「おまけ」的仕事を達成した私達は、本来の北海道ツーリングへと戻り、旭川市を東へ通り抜け、先の上川町で美味な「上川ラーメン」を堪能。北海道ツーリングを引き立てる、ゲーム要素を盛り込んだ各種イベントもスタートし、旅の主役は「キボシカミキリ」から私達自身に返り咲き〜♪
三国峠、白樺並木が続く糠平国道を通って深い森を抜けた先には、広大な十勝平野が広がっていました・・・・。

では、その後の私達はと言いますと・・・。
第五章「〜十勝・帯広の夜は"パン"で乾杯♪の巻〜」の始まりです♪



第五章「〜十勝・帯広の夜は"パン"で乾杯♪の巻〜」

<〜夢と楽しみ膨らむ帯広へ〜>

十勝平野に旅の舞台を移してから、やっとこさ雨とは縁が切れたみたいやね(笑)。相変わらず曇っているけど、帯広へ進む度に青空が覗く回数が増えてきた。
それから、ホクレン上士幌SSで2回目の給油を行った私達。ここは道東エリアとなるそうで、頂いたフラッグは緑色。ホクレンのフラッグは2本レッドバロンは道央(層雲峡)フラッグ1本と順調に増える旅のアイテム。宿に着いたら、ゲットしたコイツらをベットの上に広げて楽しむでぇ♪(笑)。でも、上士幌SSでもスタンプシートは在庫切れで入手出来ず。今まで、フラッグは在庫切れ貰えなくても、スタンプシートが貰えなかったことなんて一度も無かったなぁ・・・。ホクレンのフラッグは給油の度に貰えているから我慢するかぁ(笑)。楽しみは又も先に持ち越しやね。そう思って上士幌SSを出た私でしたが、肝心のスタンプシートが貰えるまでには、もっと時間が掛かってしまうのです・・・・。

R241を帯広市目指して更に南下を続ける。上士幌町、士幌町、音更町と順調にコマを進めて行く中で、この間在った道の駅「かみしほろ」「おとふけ」にも立ち寄り、スタンプ2個をゲットする。それにしても、ホンマ、私達の旅は半分ゲーム感覚♪ですね。北海道をゲームフィールドに見立て、町から町へと巡りながら様々な人や物と出会い、必須アイテム(?)をゲットして行く流れなんかは正にRPG(ロールプレイングゲームの略)其の物って感じ。まてよ?RPGと言えば、主人公は旅の途中で出くわすモンスター等と戦って経験値を増やし、成長して行くんだっけ?ここには、そんなモンスターなんて・・・居たよ(笑)。本州には存在しない(正確には、もっと小さい奴は居る)強烈な日本最強の陸上生物が生息しているやん。『ヒグマ』っちゅう、お世辞にも愛らしさとは程遠い、体長は2メートルを優に超え、体重も軽トラックに近い重さを誇る『ビッグ・ベア』が棲む北の大地。森の中とかでチョッと休憩しようとバイクを路肩に寄せた時に「熊出没注意」を呼びかける看板を見付けてしまった私なんか、急いでバイクに跨り直して一目散に其処から離れていましたもん(笑)。いや、ホンマ、洒落にならへんから北海道って所は・・・・(T_T)。

音更町に入った辺りから、国道沿いの酪農色が少しづつ薄れ始め、次第に商店や住宅が軒を連ねる様に成り始めた。北海道有数の大きな街へ近付いて来ているのが見て取れる。「スーパーOKセンター」って大きなショッピングモール等が立ち並ぶ前を過ぎた辺りから交通量も急に沸いた様に多くなり、久しぶりの渋滞を味わった(笑)。何か妙に新鮮よ、渋滞が久しぶりなんて自分達の街(関西)じゃ考えられへんもん。ホンマに交通環境最悪でマナーの悪さも天下一品さ!関西エリアって所は!(^-^)。さて、ボヤッキーな発言は程々に、いい加減このダラダラした流れから脱出しましょう!車じゃ難儀しそうやけど、私達が『今』運転している乗り物って何でしょう?そう、バイクっすよ♪バイクに車の渋滞なんて関係ありませ〜ん♪(笑)。サッと素早く、親子同時のタイミングでバイクを道路の左端に寄せ、渋滞の列を軽快にパス!うーん、これこそバイクの醍醐味よねぇ♪へーんだ、羨ましいだろうドライバー諸君♪(笑)。その分、こっちはリスクを承知で『生身』を晒して走ってるねん!こう言った『ライダー特典』が無きゃ乗ってられるかぁ!(叫)。左手にガッツポーズを取りながら、右手のアクセルをクイッと捻ると、瞬時に渋滞の列をバックミラーのゴミにしちゃいました。そう、一気にぶち抜いて、私達親子が車列の先頭に立ったって訳やね。バックミラーに、めっちゃ小さく黒い点位にしか映らないほどの距離に車の渋滞を引き離したのさ♪ゴホン、えーと、一応誰の迷惑も掛けずに快調に抜き去りましたよ(笑)。ここで、交通ルールを遵守していたのかってツッコミを受けたら、「・・・・・」って不祥事を犯したお役人の会見みたいに沈黙を保つでしょう(笑)。ご、御免なさい!結構、すっ飛ばしていましたぁぁあああ!!!(反省)。「だって、前に車が居なくなって、めっちゃ真っ直ぐな道が続くもんやから、飛ばしたくなったんやもん!」と素直に答え過ぎたら「開き直りかぁぁあああ!!!」って怒られそうやしねぇ・・・(T_T)。まぁ、良いさ。これが北海道マジック。無意識に、自然にハイ・ペースで走っている自分が居る。車もバイクも皆同じ、スピードメーターを見て、制限速度を遥かに超過(?)している事に気付いて吃驚ってヤツなのさ。爽快に走れる様に、北の大地が、雄大な自然が魅せる『魔法』に私達が掛かっているのかも知れませんね(^-^)・・・・。隣に並び走るオヤジさんを見ながら、ふと、そんな思いが過ぎった頃、目の前に『帯広市』と書かれた標識が現れた。遂に帯広市に到着だぁー!

今回で3年連続3度目の訪問と成る帯広は、世界中から注目を浴びる『一大イベント』開催を来月に控え、それまでと違った町の雰囲気を醸し出していた。何故なら今年、この帯広を舞台にフォーミュラレース最高峰『F1』と肩を並べる、もう一つの自動車レース最高峰『世界ラリー選手権』が日本初開催される事になったから。9月3、4、5日の3日間、帯広市郊外の公道を使った特設コースで勝負を競います。F1の様に、世界中の各サーキットを規定周回数の中で、レーシングカー同士が抜きつ抜かれつを繰り返すのと違い、ラリーは飽くまで世界の開催国『公道』を使った各設定コースを相手に、一台毎にレーシングカーが走行時間測定『タイム・アタック』にチャレンジ!最も速く走り抜いた事を示すコースレコード『トップ・タイム』を叩き出し、高記録を積み重ねた者が勝者の道を歩む事となるのです。それから、F1と一番違うところは、ラリーは自動車メーカーの市販乗用車(2000ccの4WDターボ車等)がレーシングカー・ベースに使われているってところかな。まぁ、単に市販車ベースってだけで、共通点は概観位な物。実際は、F1と同じで一台一億円以上(※ワールドラリーカークラスの場合)するそうだから、中身は全くの別物。でも、大切なのは『イメージ』なんだよね。自分が普段乗っている自動車メーカーの同じ車種が、ラリーカーとして参戦していたら気に成るでしょう。車好きなら、嬉しくてたまらないさ♪ラリーの魅力は、超一流のドライバーの走りが公道開催と言う利点から、沿道で、身近で観戦できると言う以外に、『自分の車が使われている』と言う『親近感』が人気に拍車を掛けているのです♪

『ラリージャパン2004』と呼ばれる当レース。私も車の免許を取った頃から大のラリーファン!そして、世界ラリー選手権に毎年フル参戦を続けている日本の自動車メーカー『スバル・ワールド・ラリーチーム』の大ファンなのよ♪大のスバル好きで、今まで乗り継いできた車も皆スバル(笑)。今は『スバル・インプレッサWRX』って、スバルがラリー参戦用ベース車両として使っている自社の車種に乗っています(^-^)。
『スバリスト』って、私みたいなスバル愛好家の車好きの事を世間で呼ぶそうですが、私にとっては最高の褒め言葉やねぇ〜♪(笑)。車はスバル、バイクはカワサキ。乗っている本人も『個性的』やから、釣り合いが取れて好い感じやおまへんか♪(笑)。

夢にまで見た母国での世界ラリー選手権開催。出来れば、私個人としては来月に帯広へ来たかったわ(笑)・・・。でも、当日は仕事が山ほど有るからコッチへ来れる可能性は限りなく『ゼロ!(泣)』。嗚呼、アタシは何て運が無いんやろう・・・。また、何時もと同じで、後日"ラリー開催後"の録画ビデオ等を空しく"時間差"を噛み締めながら『結果』の分かった内容をテレビ観戦するしか方法が無いのか・・・(T_T)。溜息を付きながら、帯広市内の交差点で信号待ちをする私でした(辛)。

さてさて、マニアックな車話はコレ位で措いといて、今日は別に少しでも開催地に居る余韻を味わいたくて、物好きに態々小樽から帯広を目指して来た訳では無いのよ。ウッ、完全には否定出来ないけどね(笑)。とにかく帯広へやって来たのは、訪ねたい御店と御会いしたい人達が居たからさ♪そう、偶然出会ってお付き合いが始まった『ますやパン』の方達に・・・・。

<〜帯広の老舗パン屋『ますやパン』登場〜>

今から2年前の春、インターネットで夏の北海道バイクツーリングに活かせるグルメネタ探しに北海道・十勝情報を検索していたら、帯広に全国通販でパンを売っている店が在ると知りました。それが『ますやパン』だったのです。北海道産小麦『ハルユタカ』を使ったパンとか、食材産地に根付いたパン屋の特色を前面に打ち出した情報などが、ますやパンHP上に謳われていて、めっちゃ興味が湧いた私は、ここのパンを何種類か取り寄せて食べてみることにしたのです。後日、届けられたパンを味わってみると・・・、ウッ、美味い。めちゃくちゃ美味しい♪でも、何だろう・・・、妙に懐かしい。昔、子供の頃に味わった様な素朴な気持ちにさせられる不思議なパンでした。流石に北海道の帯広市から兵庫県姫路市までの送料は高かったけど、パン自体の価格がとても安いのに驚きましたよ。これほどの出来栄えなら、関西のパン屋やと、ますやパン価格の2割から3割り増しで売りまっせ♪(笑)。安くて美味いもんが喜ばれるのが関西の特徴やけど、きっちり『元』以上に儲ける事も忘れてないもんなぁ・・・(笑)。『儲かりまっか?』『ぼちぼちでんなぁ』が関西人の合言葉ですから(^-^)。

この出会いがお付き合いの始まりとなって、後日、私は直接ますやパンとメールや電話で連絡を取って、この夏の北海道ツーリング時に立ち寄る約束を交わしました。美味しいパンを作っている人達に会いたくなってしまったのです。私も一応物作りを仕事としているので、分野は違うけど素晴らしい出来栄えの品と出会えた時は、どんな環境で誰がコレを生み出しているのか。拘りの性分から『裏方』を覘いてみたくなるんだなぁ。ふふ、オヤジ様には、半ば強引に付き合って貰う事にしました(笑)。そして夏を迎えた我等親子は『北海道バイクツーリング2002』をスタートさせました!
この年は毎年恒例の小樽港をスタート&ゴール地点に『小樽⇔根室』を往復する現地3泊4日のバイクツーリング。初日、早朝4時(※)に小樽港へ着いた新日本海フェリーから下船した勢いで一気に根室市まで移動して1泊目。次の日の朝、納沙布岬(日本最東端)へ赴き、ここから折り返して途中『帯広』へ立ち寄った後、苫小牧市まで移動して2泊目。最終日は、支笏湖、ニセコパノラマラインを通って岩内へ。積丹半島を時計回りに周遊して、夕方小樽市へ戻って3泊目。翌日の朝10時(※)、小樽港から出航する新日本海フェリーに乗って関西(姫路市)へ帰還して行きました・・・・。
(※2004年7月1日から新日本海フェリーは新型高速フェリー就航に伴う運行時間短縮【30時間⇒20時間】に由って、フェリーのダイヤは現在変更されています)

ますやパンへは、北海道バイクツーリング2002『2日目』に帯広へ初めて訪れた時に立ち寄ったのです。本音を言えば、『ますやパン』へ行くだけが、初めて帯広へ立ち寄る理由だったんですね♪我ながら、物好きと言うか何と言うかねぇ・・・(笑)。
忘れもしない、この日は朝から冷たい雨が降り続いていてさ、折角初めて訪れた納沙布岬も若干霞が掛かっていたから、その先に在る『北方領土』も肉眼で見ることは出来なかったんだ。根室を離れた後も、ずーと冷たーい雨が時には強く、時には弱く、シットリと私達親子に降り注いでくれてね(辛)。「ホンマにコレが真夏の気候かぁぁあああ!!!」って何度ヘルメットの中から叫んだか・・・・(T_T)。真面目な話、段々その冷たい雨に打たれ続けて走っていると、私達親子の体力も削り取られていくから堪らない。特に高齢なオヤジには辛いさ。自分の我侭で、今日は帯広行きに付き合って貰っているって思いが有ったから、余計この時は申し訳なかったなぁ・・・。同じ北海道でも、別のコースを、オヤジが走りたかったかも知れない場所を目指していたら、少なくとも雨に遭う回数は減っていたかも知れないなって考えながら、横目でオヤジを見つつ走っていた私でした・・・。

R44を走って釧路市へ。ここからR38へ入って更に西を目指し、浦幌町、豊頃町を経て、帯広市の手前の幕別町で朝から散々我等親子を悩ませた雨から解放され、空は相変わらず曇り空やけど、道路は見事なドライコンディション♪丁度その時、バイクのスピードメーター横に設置してあるデジタル時計を見ると午後3時前。予定ではお昼頃に帯広入りする筈でしたが、雨の影響で相当遅れてしまった!幸い、前に走る車が居なかったので、隣に走るオヤジに『ペースアップ!』を指示して、親子ライダーは残った距離を一気にワープ!(笑)。爆音を響かせながら、二台のビッグバイクはJR帯広駅前に初めて登場したのであります♪

待ち合わせ場所は、ますやパン『ますや本店』でした。場所は事前に調べて把握していたので、それほど迷う事無く辿り着く事が出来ました。「思っていたより、割とコンパクトな店舗やなぁ」が、ますや本店を見た第一印象。さて、お店の中に入ってみるか・・・。オヤジを表通りに待たせて置いて、私は一人でパン屋の中へ入ってみる事にしました・・・。

『ウン?何やコレ?何が張って在るねん?!』

本店の自動ドア前に立つ直前、左扉中央部に張られていた張り紙を見て吃驚!だって其処には『歓迎いらっしゃいませ!兵庫県姫路市 原田様』って書かれていたんやもん!(驚)。雅か、こんな『小道具』を準備して待ってくれているとは想像していなかったわ(笑)。全く、今日一日、地元のお客さんがこの張り紙を見ていたのかって思っただけで、恥ずかしくなってくる。ウ、アカン、顔がドンドン赤くなってきてないか?(焦)。ガラス扉に映る自分の顔を見ると・・・、ゲ!やっぱ赤面してんじゃん!(笑)。
オ、落ち着け私(焦)。「すー、はー、すー、はー。ヨシ、深呼吸終了♪もう大丈夫♪」。思い掛けない出始めに、ちょびっとだけ「動揺(笑)」した私は心を沈め、冷静さを装ってお店の中へ入って行きました・・・・。

「いらっしゃいませ♪」

明るい笑顔と共に、元気一杯の声で出迎えてくれた店員の女性へ向って、表の張り紙男で御座います(笑)と伝えると、「お待ちしておりました。まもなく社長の杉山が参りますので、暫くお待ち下さい」との事。その間、対応して下さった女性店員さんから、本店売り場の説明等を含めて雑談する事数分、「どうも遠いところから態々起こし下さいましてありがとう御座います♪」と、作家・橋田壽賀子似で、ふっくらとした容姿の女性が若い女性スタッフ一人を伴ってご登場。この御方が、ますやパン社長の杉山輝子さん。一緒に現れた方が「ますや企画室」の田中洋子さん。そして、最初に対応して下さったのが、ますや本店の山田理才さん。「何処かで、お茶でもしながら座って御話ししましょうか」と杉山社長は仰って下さったのですが、今とは違って当時は荷物を括りつけて旅をしているスタイルでしたので、バイクから離れて何処か喫茶店にでも入り込んで御話するって訳には行かず、また夜までにこの日の宿である苫小牧市まで移動しなきゃ行けなかったので、結局ますや本店前の歩道で立ち話って事になりました。直接こうして訪れる前にもメールや電話で語った事。ますやパンのパンを味わった感想や自身の食に対する考えなど、オヤジも交えて色んな事を彼女達と話しました。杉山社長も、私から送られて来たメールや事前の電話で話した感想から「従来の御客様とは、ちょっと違う」と思われていたそうで、私本人と直接会って納得されたそうな(笑)。「そりゃ、パンを求めて態々兵庫県姫路市からやってくる変わり者なんて他に居ないでしょう(笑)」と私が言うと、「勿論それも有りますけど(笑)、本当の物の味が分かる御方だと感じました。こうして原田さんと直接御会いして、その考えが間違い無いと思いましたもの。それに、初めて会う方なのに、何故だか不思議な感じです。ずっと以前から御付き合いさせて頂いている様な感じを受けます」と、私と出会った感想を述べられました。実は、私も御会いしてから、こうして御話させて頂いている間に同じことを感じていたのです。まるで親戚のおばさんと会話している様な不思議な気分だなってね。本店の他に『ボヌールマスヤ』『いっぷくティー』『ますや音更店』『ジョリますや』『フォルトゥーナ』『ますや宅配』と帯広屈指の老舗パン屋店舗を束ねる女性社長とは到底思えないほど、そこらの主婦と同じ「普段着」姿で気さくな振る舞い。私みたいな素性の知れない(笑)、殆ど『一見客』と同じ者の来訪を心から喜んで下さった。会話を交わす内に、その飾らない素朴な人柄やパン作りに賭ける情熱など、真摯で直向な姿勢に触れて私は心打たれました。他のスタッフ方も明るく爽やかな方達ばかりで、益々ますやパンの事が好きになった私でした。そうして、御店の表で話し込むこと1時間強(笑)。時刻も午後4時半を過ぎた頃に「オイ、そろそろ苫小牧へ向わんと遅くなるど!」とオヤジが話の締めを行い、ますやパンのお三方に見送られながら来年の夏に再び帯広を訪れる約束を交わして帯広を離れた私達でした・・・・。

<〜二度目の"来帯"は失望を買っちゃった?〜>

「原田さん、今年は帯広を通過せず"宿泊"して下さいね!」

明けて2003年、杉山社長との会話のやり取りから出た台詞でした(笑)。私自身も「今度は必ず一泊しますから」と"当初"の予定では調子良く答えていたのですが・・・。米工房『久保商店』へ初参上となったこの年は、北海道を4泊5日で巡りました。

毎度代わり映えしないスタート地点(笑)&ゴール地点の小樽港から、初日は宗谷岬目指して『オロロンライン』を北上。途中、沼田町の米工房へ立ち寄り、親子共々『二度目』となる日本最北端の地へ関西のコテコテ親子参上♪そして、ツーショット撮影終了後にJR稚内駅前まで戻って1泊目。2日目は、R40を南下して先ず『サロベツ原野』を縦断する。幸い天候にも恵まれ、国道の左右に広がる雄大な北の自然の中を駆ける喜びに浸る事が出来た。人も車の往来も本当に少ない。周囲に響き渡る音や振動は、自らが駆るバイクから発散される排気音とエンジンの鼓動音のみ。そう、私とオヤジのバイクから伝わってくるものだけだ。これだけ、広大な場所をホンの一瞬でも私達だけが占有しているかの様な錯覚すら覚える。時折、休憩と撮影を兼ねてサロベツ原野内で立ち止まった時でも、聞こえてくるのは、風の音や日本海から伝わってくる波の音。それ以外は、偶に頭上を飛び交う鳥の囀りってところかな。本当に静だ・・・。静かで雄大な自然が、これだけ心を穏やかにしてくれるんだって気付かされた。如何に、普段の生活が『騒音と雑音』に溢れているのかって思い知らされる。言葉では無く、身を持って体験しないと分からない事って、きっとこう言う事を言うのだろうと、休憩した側に建つ『風力発電の風車』を見上げながら悟った私達でした・・・・。

その後も南下を続けた私達は、旭川市へ入る手前から『雨』の洗礼を受ける(辛)。いやね、南下する方角の空を見上げたら『デッケー積乱雲』が見えていたのよ。何かヤバそうな空模様やなーて思っていたら、名寄市辺りから雨が降ったり止んだりの繰り返しさ(辛)。お蔭でペースダウン。お昼前には、楽々旭川市に辿り着く予定が、遅れに遅れて午後1時半の到着と相成りました(泣)。そして『旭川ラーメン村』で多望の旭川ラーメンをお昼御飯としてゲット!ウーン、伝説の塩ラーメンと暖簾が歌う『さいじょう』って御店で、めっちゃ美味い塩チャーシューメンを頂きましたよ〜ん♪でも、旅を喜べたのは、ラーメン屋を出て暫くしたところまででした・・・・。

旭川市内は雨の悪夢(笑)から解放されていたのに、この日の宿「富良野」へ向い始めて郊外へ出た途端、再び雨の衣を纏う事に・・・。もう、ええっちゅねん!しつこいぞぉー!(叫)。折角、美味くて温かいラーメン食べて身も心も温もったっちゅうのに、北海道の天気の無粋な事!(怒)。美瑛、上富良野と美しい花畑が道路沿いに広がるも、鈍より曇って降り注ぐ雨が私達親子に立ち止まる気持ちを失わせた。だって、こんな天気じゃ、写真を撮っても仕方が無いし、雨でデジカメも壊れちゃうやん(T_T)。

こんな天気だから日が落ちるのも早くて、またペースも遅かった事も響いて富良野市へ入ったのは午後4時半を過ぎてからでした。内心、思いっきり焦りを感じて苛々していた私。だって、今日中に麓郷へ行って『北の国から』巡りをしたかったから。私、めっちゃ大ファンなんですよ♪『北の国から』の黒板純(吉岡秀隆)君と同年代って事も在りまして、自分の人生とダブらせて見ていた時期も在りました。田中邦衛さん演じる主人公の黒板五郎さんが一番好き♪次に、純と蛍かな(^-^)。テレビシリーズ、スペシャルシリーズ共にDVD全巻買いましたぜぇ♪遂に、憧れの舞台へ踏み込む私。でも、盛り上がっていたのは私だけ(笑)。オヤジは、全く興味が無い様で、私ほど北の国からを観ていないから、ネタを振っても全く返して来ないし無視されるしね(怒)。折角、富良野まで来たと言うのに、何さ?親子で、この妙な温度差は?勝手に舞い上がっているアタシがアホなだけかいな!(笑)。富良野市内は、町全体がロケ地。もう、走る度に「あっ、アソコはぁ!」とか「富良野神社見っけ♪」とか、首をグルングルン振り回しながらロケ場所を見つけては走りつつ叫ぶ傍迷惑な観光客と化した私(笑)。横にいたオヤジの視線の冷たい事。その頭の可笑しくなった者を見る様な視線をコッチヘ向けるのは止めろってぇの!(笑)。根っからのお笑いキャラだって事を重々自覚しながらも、何とか本日の閉館前に麓郷の『拾ってきた家』『五郎の石の家』へ辿り着き、憧れの世界に居る自分に酔う事が出来ましたよ〜ん♪嗚呼、これで雨が降って無かったら良かったのに・・・・(T_T)。まぁ、好いさ。ここに来れただけでも幸せさ♪石の家を出て再びJR富良野駅前まで戻った頃には、スッカリ日も落ち始めていて、急いで2泊目の宿『富良野プリンスホテル』へ向った私達でした・・・・。

明けて翌日、未だ若干曇り空だけど、朝からの雨には解放された私達は富良野から一路、帯広目指して移動開始。お昼時には帯広へ到着する予定でバイクツーリングを再開した私達。この日の昼食を、帯広のますやパンの方々と一緒に取る約束を交わしていたのです。そして、私達は昼食を食べた後、帯広を"立ち去り"、この日の宿『登別温泉』を目指します・・・と、アレ?確か最初は帯広に泊まるって言ってなかったっけ?ハハハ・・・・て、笑って誤魔化している場合じゃねーってぇの!(笑)。

そう、調子の良い事を言って最初は杉山社長達を喜ばせて置きながら、実はツーリングの日程を組み終わった直後、帯広は今回も『通過』だけとなる事実に気が付いちゃった(焦)。だって、私一人だけの旅じゃないもん!(開き直りか?)。オヤジ様の意見も有ってのバイクツーリングですもん。独り善がりな内容じゃ、面白くないですから。二人で走りたい場所や、ペース配分を日程に合わせて振り分けたら、偶々、帯広宿泊が今回も叶わなかっただけって・・・・。うーん、何や言い訳臭くなってきたわ(笑)。

そんな事で、一応、アチラにも宿泊出来ない旨を伝えて、今回は「お食事しながら歓談しましょう♪」って運びに成った訳っすね。思っていたよりも早く、午前10時には帯広市入りしていた私達。こちらからの希望で、ますや本店からボヌールマスヤで集合する事にしました。他の店舗も見てみたかったからです♪うーん、本店より店舗が大きくて、お店のデザインや雰囲気も随分違いますね♪パンの種類も豊富だし、本店に無い、イートインコーナーも在って好い感じ♪お店に着いてから、携帯で連絡を取って待つこと十数分。昨年と何等変わらない、あの御三方が車に乗ってご登場♪ボヌール店長さんへも杉山社長からのご紹介の元、ご挨拶を交わし、イートインコーナーで皆さんと半時間ほど話した後、これまた私の希望(笑)で、昼食の『ジンギスカン』を求めて『北海道ジンギスカン』まで移動。美味しいラム肉やマトンを頬張りながら、一時間余り雑談を交わした後、ジンギスカン屋の前で再び見送られながら帯広を去って行った私達でした・・・・。

<〜三度目の"来帯"は『御泊り勧告発令?』〜>

「"今年こそは"帯広を通過せず"宿泊"して下さいね!」

2004年初頭、杉山社長に「ハイ!」としか答えようの無かった私(笑)。そうだよね、だって本当は最初に訪れた年も帯広に泊まって欲しかったんだって仰って居られたものなぁ(笑)。そうでなかったら、落ち着いてお話しする事も叶わないってね。ホンマ、その通りやと私も思うもん。直接御会い出来ない間は、メールや通販のパン注文時の連絡等で交流を結ぶ日々。時を重ね、付き合いが長くなれば成るほどに、気持ちも変化が訪れ、今では遠く離れている家族の様な気持ちで接している時がある。何だか不思議だね。最近は、杉山社長から直接御電話を頂く事も多く成ったなぁ。歳は親子ほど離れているから、何時の間にか、私も彼女を「帯広のお袋さん」と慕うようになっていました(^-^)。昨年の夏、帯広から帰宅した直後に頂いた御電話から、大丸百貨店の京都店で8月下旬から9月上旬に掛けて行われる北海道物産展に、ますやパンも初出店する事になって、杉山社長のご長男が代表としてボヌールのスタッフ一人を伴って参加していると教えて頂き、私、モチロン北海道で一度も御会い出来ていなかったご長男とも『接触』を図り、自身を宣伝する事を惜しみませんでした(笑)。この物産展終了日に合わせて、京都の花屋から「お疲れ様でした♪」ってメッセージカード付きの花束を贈り、柄にも無く、めっちゃ気障な振る舞いをして杉山雅則氏(ご長男)の度肝を抜いた事も有ったっけ(笑)。「御客様に、こんな事をして頂いた事は今まで一度も無かったので凄く嬉しかったです」とお礼のメールを後日頂きました(^-^)。
姫路の風の旅人「ますやパンの愛称で親しまれている帯広の名店です♪」
今年の3月に、同じく大丸京都店で行われた北海道物産展にも再び出店されていて、雅則さんの他に、ますや本店の山田さんもスタッフとして参加していると聞いていたので、約半年ぶりに御顔拝見と彼女達に会いに行きました。「やぁ♪」って出店ブースの前に立った途端、山田さんがハイテンションなリアクション(驚きと喜びの両方)を返してくれて、こっちも嬉しいやら照れくさいやら(笑)。皆さん、引っ切り無しに訪れる地元客相手に忙しく対応されていたので、二言三言言葉を掛けただけで、適当に売られていたパンを見繕って購入し、姫路へ退散致しました。そう、地元で彼等と出会えたのは凄く嬉しかったけど本意じゃない。夏の北海道で「再会」するのが、帯広で共にノンビリと語る時間を過ごすが今年の目標、否、三度目の正直ってヤツかな。ちゃんと、オヤジ様ご承諾の元(笑)、2004年の北海道バイクツーリングは計画段階から「帯広宿泊」を第一前提として、次にこちらも通過だけとなった前年を反省し、米工房「久保商店」もゆっくりと訪れたい考えから、沼田町宿泊も決定。これらを軸に、日程及びツーリングコースを設定。途中で「カミキリムシ生捕獲&北海道へ生きた間々輸送指令」って言う旅の趣旨を根底から覆しそうな珍事乱入が有ったりもしたけどね(笑)。基本的に旅其の物は大きく予定を帰る事無くここまで来れました。

ボヌールマスヤに行くか、ますや本店に行くか。今年は、その時の気分で行き先を決めるアバウトな考えで帯広へやって来た私。まぁ、ますや本店の方が山田さん以外の面々とも接触が図り易いだろうから、取り敢えず本店へ行ってみるか!
R38との交差点を経て、JR帯広駅方面へ進む。毎年訪ねてくる度に思うけど、京都市以上に街の形が『碁盤の目』で、似た様な建物が立ち並ぶ状態だから、地図を見てもイマイチ特徴が掴み難くて疲れる。時々、自分が何処に居るのか分からなくなる事も過去在った。地名の標識を見て『西1条10丁目』と書かれていたって、サッパリ土地勘が無いから『?』って感じだしね(笑)。ホンマ、最初は結構其れなりに苦戦しました。今は、そんな事も無いけどね・・・て、言っている側から、ますや本店の在る南北の筋を間違えちゃって、ちょっとだけ(?)大回りして午後3時過ぎに到着しました(笑)。

『いらっしゃいませ♪お待ちしておりました♪』

私達の到着と同時に、本店の奥から山田さんが出迎えてくれました。何でも、大きいエンジン音が近付いて来たなぁーと思って店の外を覗いてみたら「やっぱり♪」だったそうな。御免なさい、相変わらず騒音を撒き散らす迷惑千万な親子です(笑)。山田さんから、ますや事務所の方へ私達が到着した連絡を入れて貰って、本店前で待つ事数分。あ、小走りで企画室の田中さんが近付いて来た。アレ?杉山社長の御姿は無いようやけど・・・・。

『原田さん!ボヌールへ行かれたのでは無かったのですかぁ?!』

ハァハァと走って来て乱れた呼吸を整えながら、久しぶりの挨拶も草々に彼女が口にした台詞。「エッ?」と思って訳を尋ねたら、杉山社長が私の携帯電話宛に午後から連絡を乞うメールを送られていて、今はボヌールマスヤで私達の到着をまっていると教えてくれました。急いで携帯を荷物の中から取り出してみたら、あっちゃー、ホンマや。メール着信が午後2時過ぎと午後3時半って『今』やんけ!(驚)
最初のメールは「午後3時頃にボヌールでお待ちしています」で、後のメールは「何時頃になりますか?」と書かれていて・・・。あっ、そうや!私、バイクで移動中は先ず携帯に電話を掛けられても出られない事が多いので、連絡事項が御座いましたらメールで送ってくださいと。交差点の信号待ちで停まった時や、休憩の折など頻繁にメール着信をチャックしますからって、自分で言い出して措いて此れやもんなぁ・・・(呆)。最初のメールを受けた時は、道の駅「かみしほろ」で買ったソフトクリーム食いながら休憩していた頃やわ(笑)。御免なさい、私、メール着信チェックをサボっていました(反省)。田中さんから再度杉山社長へ連絡を取って頂き、こちらへ戻られる間、私達はますや本店から北へ筋向いに在る『いっぷくティー』で待つ事に。田中さん達と雑談しながら待つ事30分。時計の針が午後4時を指そうとした時に「いやぁ、どうもご苦労様です♪」と言いながら「帯広のお袋さん」が見知らぬ男性を一人伴ってご登場。私もご挨拶を返しながら、つい隣の方が気に成って視線がそっちへ向いちゃった・・・(笑)。

「原田さん、この者はますや本店店長で、全店舗の総括も担当している野垣と申します」とご紹介下さいました。「貴方が本店の?」「はい、そうです。"やっと"御会いする事が出来ました♪」と笑顔で御答え下さいました。長身で、ちょっと渋めな容姿の野垣裕樹さん。2年前に初めて本店を訪ねた時は、市内へ配達業務に出られていたので御会い出来ず。昨年は集合場所をボヌールマスヤに変更したので、これまた会えず。山田さんは、田中さんが運転する車に「チョコン」と便乗して会いに来てくれたけどね(笑)。私達親子が御店を訪れるのを楽しみに、最初の年も外回りに出るギリギリの時間まで到着を待って下さっていたそうな。ホンマ、「三度目の正直」御待たせ致しましたって感じですねぇ♪ありがとう、野垣さん♪

杉山社長と野垣総括店長も新たに加わった『いっぷくティー"ますやの集い"(笑)』は、午後4時半過ぎまで続きました。その席で今晩、共に夕食を取りながら色々御話を楽しみましょうって話になり、その後、午後8時半を回ったら閉店後のボヌールマスヤへ移動して、店の駐車場に停めてある今は亡き、ますや先代社長が所有されていた『シトロエンの商用車バン』を活用した店舗宣伝ディスプレイ夜間照明『点灯式』を御命日の今日に合わせて午後9時から行われるとの事。私達親子にも良ければ、その間々御参加頂けたら嬉しいですと話されました。そんな、とても大切なイベントに、部外者の私達もお誘い下さるなんて・・・。勿論、喜んで参加させて頂きます♪このシトロエン、とても年代物の超貴重な車で、以前からその存在を杉山社長から教えて頂いていたから、車キチな私、是非見たかった事も理由のひとつ(笑)。真面目な話、本当なら御身内だけで、ひっそりと行われたかったのでは思うだけに、私達に気を使って下さった事がとても嬉しくて断る気持ちなんて微塵も湧かない私でした・・・・。

私達は、その後一旦解散して、午後6時に再び「ますや本店」へ集合となりました。今、この場には出て来れなかったけれど、私達に会いたいスタッフが他にも居ますので、夜の席での『面子』は結構揃えられると思いますよ(帯広のお袋さん談)との事。ハァ、なんだかなぁ(笑)。ニコニコ笑いながら、其の場を走り去ろうとする私達親子を見送る老舗のご一同。ここで例年通り(?)に「また来年♪」って去って行ったら、どんなリアクションを返してくれるかな?(笑)。「コラァ!」って思いっきり怒られるでしょうね。怖いもの知らずなボケは、考えない方が身の為でしょう(笑)。さてと、私達も宿のチェックインを済ませて、身支度を整えて『夜の宴』に備えますか〜♪

ますや本店前の筋をJR帯広駅方面へバイクを向ける。今宵の宿は、JR帯広駅前の『ふく井ホテル』。ますや本店からは、歩いて3分程度の距離に在る、同じ筋沿いのホテルです。どうせ帯広に宿泊するなら、お店に近い所で宿を取る方が何かと便利やしね。だって、歩いてパンを買いに行けるやん。それに、元祖豚丼の店『ぱんちょう』が目と鼻の先に在る(喜)。更に、このホテルはバイクを屋内の管理人付き駐車場に泊めさせてくれるので、盗難防止の観点からも好条件。また、車での宿泊は駐車料が発生するのに、バイクは『無料』だって。勿論、二台共さ。嬉しいじゃあーりませんか♪イエーイ♪文句無しに、本日のお宿に決定と成りました(^-^)

信号待ちに旨く引っ掛からなかった事も手伝って、クイっとアクセル一捻りの『ワープ加速』で瞬時にホテルご到着♪(・・・ぶっ飛ばし過ぎやで・・・)。突然、爆音と共に姿を現したビッグバイク2台に驚いているホテルの方々(笑)。こうすれば、お客が到着したって良く分かるでしょう。しかも、強烈な二人組がね(^-^)。ホテル職員さんの指示に従い、屋内駐車スペースへ移動。おや?今日の泊まり客で、私達以外にも『ライダーさん達』が居るみたいね。カワサキZZ−R400とスズキ・ボルティー250が駐輪していました。『今日は、ライダーの御客さんが多いね。この後に来る予約客が未だ居るから』ってホテル駐車場管理人のおじさんが教えてくれて、だから出来るだけ先に停めているバイクと幅を詰めて駐輪してって言われました。指定場所にバイクを移動後、そこに置いて在った台車を借りて、オヤジさんにバイクの荷物降ろしを任せている間に、私はホテルのフロントへ行ってチェックインの手続きを済ます。フロントから部屋鍵を預かったところへ、台車に二台分の荷物を載せたオヤジが合流。フロントと向かい合わせに在るエレベーターに乗って、宿泊予約したツイン洋室が在る6階まで移動。バイクから降ろした持ち物を全て運び終えた私は、思いっきりベットにダイビング♪(笑)。「ふぁー、今日も朝から良く走ったなぁ」って、大の字に寝転がりながら、空調の効いた部屋で先ずはノンビリ寛ぐ私〜♪

『オイ!そないに落ち着いとる時間は無いど!』

横で、私みたいに羽を伸ばす事無く、ライディングジャケットやGパンを脱ぎ、夜の席に着て行く私服と換えの下着の準備を黙々としているオヤジ。「時計を見てみろ」と、ベットの横に設置して在るデジタル時計を指差してから、シャワーを浴びにユニットバスへ消えて行った。K1でノックアウトされた曙みたいに、暫しベットの上で仰向けに潰れていた私(笑)は、ムクっと起き上がって時計を見ると・・・。

『ゲッ?もう午後5時半やんけ?!オ、オヤジィー、早く入れ替わってくれー!』

日中のツーリングに因る汗や埃まみれで体も臭く汚れているのに、シャワーも浴びないで出掛けるなんて今晩の集いで顰蹙を買っちゃうわ(笑)。待ち合わせ時間まで残り少ないし、何よりオヤジってば風呂やトイレに入ったら、やたらと時間が長いのよ(笑)。女性が風呂に入る時間が長いってのは、そう言うものだって思っているから何も感じないけど・・・。男が風呂に入る時間って、十数分も有れば十分でしょう。30分や1時間も必要か?何処を洗ってんだよ!(笑)。湯船にも、それだけ長く浸かってりゃ、のぼせてひっくり返ってるさ。扉の向こうから急かす事10分、ブスっと不機嫌な表情で「早く入れ!」と言いながらオヤジが出て来た(怖)。「ハイ♪ハイ♪」って、それ以上不機嫌になられたら困るので、大急ぎで入れ替わる。10分と掛からずに風呂と身支度全てを終えた私は、先に出掛ける準備を終えて待たせていたオヤジと共に、撮影機材と関西人な私的『夏の必須アイテム』を入れたタンクバック(バイクの燃料タンク上面に永久磁石の力で脱着出来るライダー定番グッズ)を肩から提げて、部屋から出掛けて行きました・・・・。

<〜一次会は『北の屋台』で「まいう♪」連発!〜>

ふぅ、ふく井ホテルに宿を取って正解やったとしみじみ思った私。もっと、離れた所に宿を取っていたら・・・・、否、考えないで措こうっと!(笑)。集合時間5分前に本店まで来てみたら、表で私服に着替えた山田さんが居た。「お疲れ様♪アレ?他のメンバーは?」と訪ねたら、一応仕事は午後6時上がりなので、それから本店前へ集まってくるとの事。山田さんは、今日に合わせて勤務シフトを早め(午後5時)に切り上げて頂いたそうで、私達がここに集まってくる前も、夜の席にと予約を入れて措いた御店の下見に動いていたそうな・・・。今も『また下見に行って参ります♪』って台詞を残して、ますや本店の向かいに在る『北の屋台』へ小走りで消えて行ったけど(笑)・・・。そんなに慌てなくてもって思ったけれど、まぁ、良いか♪なんだか彼女、凄く嬉しそうにしていたからさ、見ているこっちも楽しくなって来るじゃない〜♪(^-^)

午後6時を回り、山田さんが消えて(笑)から5分ほど過ぎた頃、杉山社長と田中さんが、面識の無い方達を連れて現れた。「原田さん、昼間に御話した、ますや宅配のスタッフです」と男性一人、女性二人をご紹介。順に名乗られて、ご挨拶下さいました。その時、男性スタッフの名前や声に聞き覚えが有って「ひょっとしたら、彼が例の?」って「質問」を杉山社長にぶつけてみました。すると・・・・。

『そうです。彼が原田さんと同じ関西出身のますや社員ですよ(笑)』

彼の名は「坂口 徹」さん。ますや宅配の主任を務めて居られます。今から2年前に、兵庫県が全国に誇る野球の聖地『甲子園』から帯広へ御家族共々引っ越されて、御仕事もますやパンへ再就職された御方。名前はともかく、ご挨拶された際に聞いた声、喋りで『ピン!』と来るものが有ったんだなぁ。通販でパンを注文した時に、注文確認のお電話を頂いた時に坂口さんとお話した時でも感じた事。その時は「関西出身のスタッフ」って情報は頭から欠落していたけどね(笑)。何て言ったら良いのかな?会話は一応「標準語」だったけれど、"関西人特有"の喋り方と言うか、声のトーンとか、同じ関西人の私だから気付く要素が在った訳ね。また、関西人特有の『会話の間』、通じ合う波長って言うのも在ってね。歳は10歳近く離れている方やけど、其の場から意気投合♪。もう、会話が弾む!弾む!(笑)

周りを置き去りにして、関西人同士でしか分からないコテコテな『御当地ネタ』トークを展開し始めた頃に、『ますや本店看板娘』な天然色一杯の山田さんが小走りで帰ってきた(^-^)。何々?予約を入れた御店の準備はOK!だって?ヨッシャー、それじゃ、ボチボチ行きましょう♪殆ど「パシリ(笑)」と化した本店娘先導の元、私達は夜の帯広を楽しむ一幕目の舞台『北の屋台』へと移って行きました〜♪

『・・・へぇ♪これが、あの有名な北の屋台かぁ・・・・』

夜の帯広を語る上で、テレビや雑誌の旅情報に欠かせない存在。CS放送「旅チャンネル」に『全国居酒屋紀行』と言う、グラフィックデザイナーが本業で、傍ら古き良き日本の居酒屋を求めて全国を旅する太田和彦氏が案内人の紀行番組が在ります。その太田先生が、前に北の屋台を取材した回を一緒に見ていた姉共々「行ってみたいなぁ♪」が本音でした。過去二回、帯広に足を運ぶも「通過」ばかりを繰り返していた御蔭で、こう言った美味しい場所を一杯取りこぼして来た私達。まぁね、旅の趣旨は飽くまで北の大地を駆けるバイクツーリングな訳で、こう言った場所には普通の観光旅行でも来れるから、何も焦って限られた旅の時間で無理に足を運ぶ必要も今まで無かった。理由はそれ以外に、こんな『展開』が無ければ、態々、大自然溢れる北海道に憧れて来ているのに、人や物が溢れる北海道の数少ない大都会のど真ん中に宿を取る事も無かったって話・・・。ホンの出来心から始まったお付き合いが、3年と言う月日の中で育まれて、ここまでの交流を生むほどに・・・・。本当にありがたいなぁ。只、北海道へ行って来ただけで終わらせたく無いって何時も思いながら旅を続けて来た。北海道だけに限らず、全国各地を訪ね歩く中で出会った人達と、心引かれた数多くの人達と出来れば末永く交流を結びたい。「あそこへ行けば、あの人に会える」「あそこには、めっちゃ美味い豆腐を作る名人が居る」と、色んな土地の、色んな仕事を持つ方達との触れ合いが凄く楽しくってさぁ♪それを求める気持ちが原動力となって、私をここまでバイクを駆らせて来たのさ♪

北の屋台は、工夫を凝らした多くの屋台による『まちづくり』が行われています。詳しい説明は省きますが、私達は、その中にある屋台『農屋(みのりや)』に御邪魔しました。十勝の4人の農家(畑作2名・畜産2名)が運営する屋台だそうで、お客様へ提供するメニューの食材は4人の生産物で調理されたものばかり。季節によって旬の味が楽しめますとの事(店主:加藤 和彦氏より)。

『先ずは乾杯♪』
『原田さん親子の帯広入りを祝して♪』
『ありがとう御座いまーす♪(^-^)』

一同、農屋の席に着いて祝杯を交わした後、オススメの品やら何やら一杯出てきた料理を楽しみながら話に華が咲いて行く中で、何と言っても注目を浴びたのは私達親子。この時期、北海道には道外から大挙してライダーがツーリングにやってくるし、日中、帯広市内を駆け抜けるバイクも沢山居る。だから、ライダーの存在其の物は珍しくも何とも無いと思うのだけれど、ここに集った方達は誰もバイクに乗られる方が居なかったって事も在って、非常に珍しい物を見る心境だったみたい(笑)。それに、父と息子、親子で毎年北海道へバイクツーリングに来ているってところが、特に興味を引かれたそうな。勿論、親子自慢のバイク達もね♪いっぷくティーで一旦解散直後、店の表に出た時に、野垣店長が表通りに停めていたバイクを見て、『うわぁ♪凄いなぁ♪ちょっと跨らせて貰っても良いですかぁ?』って仰ったから、『どうぞ♪』って言って差し上げたら凄く嬉しそうにオヤジのハーレーに跨っていたものなぁ。その時の笑顔って、子供が欲しかった玩具を手にした表情って言うか、正に大人が童心に返るって感じかな(笑)。ふふ、普段、バイクに乗っている私の表情も、きっと子供の様な笑顔に溢れているのかもね♪(^-^)・・・・。

お隣同士で、酒を酌み交わしながら関西人同士の盛り上がりは更に高まって行く(笑)。そこへ野垣さんや他の面々も加わりつつ、ベタな関西弁トークを展開。うーん、皆さんと料理の熱気も在ってか、何や蒸し暑くなって来たわ・・・。ヨシ!ここで『夏の必須アイテム』を使ってみるか!へっへー♪聞いて驚け♪見て驚けってんだ!
足元に転がしていたタンクバックの中から、この宴会風景を撮ろうと準備していたデジカメと一緒に、その曰く有り気な所持品(笑)を取り出し、顔の前まで持ち上げる。「ハァ、暑いなぁ・・・」ってさり気無い風を装いつつ、"片手"で「パッ!」って音を響かせながら、それを"開いて扇いで"見せた。すると・・・・。

『其れって、阪神タイガースの優勝記念X扇子じゃないですか!』(驚)
ふふ、予想通り(坂口氏)の反応(笑)。関西人の彼は絶対阪神ファンと踏んでいて、ここまでの会話で、お互い阪神ファンだって確認出来たから、コイツを披露するタイミングを計っていたのさ♪(笑)。驚かせてやったと喜んでいた私を見て、意味有り気な笑みを浮かべながら「原田さん、実は私も・・・・」と言いつつ、彼も自分の手持ちカバンから何かを取り出し・・・って、エッ?ウッソォォォオオオオ!!!!(驚)

何と、彼も所持していました『阪神タイガース特製扇子』。こんな偶然って有りかよー!
The tide is high! 男、星野仙一、栄光の背番号77が7回宙に舞う姿を・・・。
私みたいな優勝記念限定品では無く、タイガースショップ等で普段売られている物でしたけど、買われて時間が経過している様で新品に無い、使い込んだ味わいが出ていました。ちなみに私が持っている扇子。表は扇子中心部に、阪神タイガースのトレードマーク『虎』と『2003セ・リーグ優勝』を表す『X』を重ねた派手な絵柄が描かれていて、裏には、あの有名な阪神タイガース応援歌『六甲おろし』の全歌詞が美しい書体で綴られていまーす♪

「嗚呼、好いですねぇ♪」って、坂口さんも欲しそうにしていたけれど、これは私が『阪神タイガース優勝記念Xセール』で勝ち取った戦利品(笑)。譲る訳には参りません!(笑)。今の時点で私が知る限り、北海道に現存するX扇子は『2本』。1本は、モチロン私の持っているヤツ♪さて、もう1本は何処に在るのでしょう?気に成る答えは後日、旅の中で明かして行きましょう・・・・。

『お久しぶりです、原田さん!』

巨人ファンが多い北の屋台(今は日ハム"新庄ファン"の巣?)で関西人の男二人、何の躊躇いも無く優雅にコテコテな扇子で涼しさを味わっていた時(笑)、背後から声を掛けてきたカップルが居た。振り返ると、そこに立っていたのは杉山雅則さんと、隣の女性は・・・。はて?見覚えが無い方の様やけど・・・。こちらから訪ねる前に、雅則さんが「妻」ですってご紹介下さいました。そう言えば、先日、東京出身の方とご結婚されたって聞いたっけ。それなら、輝子さんと同郷って事になるのか・・・。ふふ、中々のべっぴんさんじゃ、あーりませんか♪

さてさて、夜の面子も充実ぶりを発揮し、話は尽きる事無く盛り上がって行きました。その中で雅則さんが、私から贈らせて頂いた花束の件を思い出されて、改めてお礼を仰ったり、その事を知らなかった人や知っていた周りから「凄い♪」とかって持て囃されたりして妙に照れ臭かったなぁ(笑)。その席で、雅則さんや坂口さんから耳寄りな帯広グルメネタも頂戴しました。「本場のジンギスカンは一味違うねぇ♪」って話をした時、何処のジンギスカンを食べたのかって聞かれたから、『松○ジンギスカン』って答えたら「未だ未だ甘い!」と、もっと美味しい店が在ると熱弁されちゃいました(笑)。「そのお店って何処に在るの?」って訪ねたら「良かったら、今から行きます?」って展開になり、私も瞬時に「行きます!」と其の場のノリで言っちゃいました♪(笑)。

『うん?あのコたちは何をしているの?』

杉山社長が不思議そうにコチラヘ視線を送っていた。つい先ほどまで陽気に語り合いながら盛り上がっていたのが一変し、オヤジを除く男衆が屯ってヒソヒソ話をしている風にしか、この時は見えなかったでしょう(^-^)。

杉山雅;『えーと、"有楽町"の番号って何番か分かります?』
坂口徹;『専務、分かりますよ。ここです』
杉山雅;『これですね。ヨシ!』
トゥルルルルル・・・・・

坂口さんから教えてもらったアドレス情報から、今、雅則さんが『有楽町』ってジンギスカン屋に電話を掛けて今日営業しているのか、営業時間は何時までとか確認を取っている。エッ?営業中だって♪でも、オーダーストップが午後8時半?今は『何時』だっけ?・・・。タンクバックの中から携帯電話を取り出して今の時間を見てみたら『午後8時半ジャスト!』・・・・終わった(笑)。私と雅則さんと坂口さんとで、めっちゃ行く気になっていたのにー!(叫)。ハァ、折角教えて貰ったけれど、楽しみは「次回」に持ち越しって事やねぇ・・・(T_T)。なんだかんだ言っている内に、結構程良い御時間と成った様で、北の屋台での一次会は幕を下ろし、私たちは二幕目の舞台『ボヌールマスヤ』へ移って行きました・・・・。

<〜二次会は帯広の夜空の下、過去と未来を結ぶ"光の式典"〜>

北の屋台からボヌールマスヤへと移って来たのは午後9時10分前位だったかな。店内は午後8時で営業終了後の店舗清掃に追われていた。ちょっとトイレを借りに中へ入った所へ、安原弘喜店長と一年ぶりの再会を果たす。「お久しぶりです♪ようこそ♪」って歓迎のご挨拶を頂きました(^-^)。そして、改めて今夜の『真の主役』が居る、表の駐車場へ戻って行きました・・・・。

夜目で見ても、その存在が際立つであろう「ピンク色」にペイントされたボディのシトロエン・バン。こうして、実車を見るのは初めてな私。オヤジは昔、若かった頃に見た事が有るそうな。午後9時に試験点灯するって話だったけれど、今も作業をしている業者達の状況を見てみたら、未だそんな時間に点灯なんてとても出切る様な雰囲気じゃない。だって、全然電気工事や照明の配置とか終わっていなかったら。これは、如何なっているのだろう?・・・・。

午後9時になっても、作業は終わるどころか照明も灯る気配を見せない。カチンと来た杉山親子お二人が、シトロエンを活用するプランをますやパンへ勧めた企画会社の担当者へ状況説明を求めて詰め寄った。それを遠巻きに眺めながら、私達は表に置いて在った椅子に腰掛けたりして暫く事の推移を見守りました。

『いったい如何なっているのです?午後9時までには十分終わっている筈でしょう!』

杉山社長に問われて、言い訳を繰り返す担当者。何でも、午後8時までには工事も終わっているから、午後9時の点灯式に十分間に合いますと彼等が言ったそうです。でも、現実は・・・・(怒)。帯広のお袋さん達が怒るのも無理ありません。でも、一番、杉山社長が気にされたのは、この場所へ共に足を運んでいた私達親子の存在。態々、遠いところから来て社の行事にも参加して下さった大切な御客様を、こんな事で待たせてしまうと言うのが我慢出来なかったそうです。明らかな手落ちの業者は確かに私やオヤジから見ても「お前等、素人ちゃうやろがー!」って思いましたけど(笑)。「ふぅ」って溜息を付きながら中々進まない作業から視線を外し、何気に夜空を見上たら・・・。

『うわぁー、綺麗な夜空♪星の輝きが全然違うなぁ♪』

空気が汚れて野外の照明で溢れた関西じゃ、地表からかなり高い位置まで白くボヤケて、そこから上も綺麗には見えない夜空。天井方向の星座や月がクッキリと拝める程度ってところかな。大阪や東京なんかの大都市だと、夜空の星より『街の夜景』の方が絵になるしね。でも、それって何か悲しいな。結局は、便利な都会の生活を得た代わりに、大切なものを失っているんだって事だもの。帯広に来て、否、北海道に来てその事を痛感した私。道内の方の中に、関西から来た私に向って「何も無いところでしょう」って言う人も居られます。それって違うでしょう?何も無いのではなくて、嘗て私達が住む土地にも在った、次代へ受け継いで行く確かなものが此処には在る。それは勿論、豊かな自然で在ると同時に、互いを無心で思い支えあう「生きた交流」が今も根付いている土地だと私は心から思っているから・・・・。

作業終了を待っていたら何時になるか分からないから、まぁ、納得は行かないけど『点灯式』が叶ったと言う"前提"で、未だ作業中のシトロエンを前にビールで「乾杯♪」を皆さんと交わしました。安原店長が作って下さった美味しいサンドイッチを酒の肴に、スッカリ出来上がっちゃった(笑)山田さんとボケ・トークを展開したりと、面白可笑しく時間を過ごしながら、今、こうして、こんな夜遅くの時間にボヌールで過ごす自分とオヤジが凄く不思議でならなかった。それは、私が普通に帯広で暮らしていたら、ますやパンを利用する数多い常連客の一人で終わっていたと思うから。山田さん辺りとは顔馴染みに成れても、恐らく幹部の方達とは全く面識も無い間々に過ごしていたんじゃないだろうか。ウン、きっとそうだったと思う。それが、普通なんだよ。地元で通うパン屋さんで、同じような交流が生まれる事は絶対あり得ないもんね♪まぁ、出会いがインターネットと言う、如何にも今時な情報アイテムだった辺りから普通とは違うし、自らパンを求めて帯広までバイクを自走してきたって超意外性の登場が、全ての始まりだったのかなって振り返りながら、何時の間にか『ますやパンの一員』として、彼等の輪の居心地の好さに浸っていた自分に気付いて、思わず笑ってしまいました(^-^)。

『午後10時頃に、漸く点灯出来るそうですよ』

そう、呆れた様な疲れた口ぶりで杉山社長は仰りました。やっと主役の晴れ舞台が観れるのか♪さぁーて、夜のカーテンに包まれたシトロエンが、灯す光に照らされて、如何言った風に映るのかな。期待を込めて、照明点灯の瞬間を見守りましたが・・・・。

『エッ?こんな感じで良いのかな?』

設置が終わった照明の配置は、明らかにシトロエンと言う車のキャラを活かせているとは言い難い中途半端な印象を抱かせた。大通りに面した、目立つ場所に居る車の存在感、折角の持ち味を全く引き出せていない。ボディの横に描かれた「ボヌールマスヤ」の看板はクッキリと照らし出されて目立つ所までは良い。しかし、それ以外の照明は散発過ぎて、側に寄らないと、この広告塔が何なのか相手に伝わらない。これじゃ、シトロエンを使う意味が無いじゃない。杉山社長が「如何思います?」って私に感想を求めて来られたので、今思った事を全て伝えました。正に、我が意を得たりだったらしく、感じた不満を担当者へ話されていました(笑)。その後、出来る範囲で試行錯誤を繰り返しましたが、もう夜も随分更けてしまいましたし、ご近所のご迷惑になっても後々響きますから、後日以降に改善するって事で今晩は作業終了と相成りました。「もう、折角、原田さん親子に来て頂いたって言うのに・・・」と口惜しそうに呟く杉山社長に、気にしないで下さいと。滅多に体験出来ない、貴重な一時を皆さんと過ごせましたからって良かったですよって、笑いながら話した私達でした・・・。

<〜三次会は、ますやパン『歌姫』が大熱唱〜>

『山田さん、この後、歌いに行かへんか?

ほろ酔い気分で、テンションが揚がった者同士。オヤジがボヌールに居た時に言い出した台詞に、ますや本店看板娘も意気投合♪(笑)。これに、私と雅則さんも加わったと言うか、済し崩し的にメンバー入りさせられたと言うか・・・。私はオヤジのお目付け役として、雅則さんはお客様を持て成さなければって御気持ちから同行されたんだと後で思った。ホンマ、親子共々、遅くまでご迷惑をお掛けしました(反省)。

ここで他の皆さんは帰宅され、明日の朝、帯広を離れる前に再びますや本店へ集まり、御別れのご挨拶を交わす約束をしました。それから、うちのオヤジの希望に由って、雅則さんに良心的な金額で歌や酒が楽しめるカラオケ付きのスナックを探して貰って、ふく井ホテルから近いテナントビルに希望通りのお店を見付け、お酒を飲まれていなかった雅則さんの奥さんに車で態々送って頂きました。歌は上手く無いですからって仰ってた雅則さんは別として『カラオケ好きで良く行きますよ♪』って言っていた山田さんの歌声には興味が有った私♪さて、彼女達の歌唱力や如何に!(笑)。その答えは直ぐに出た!いやぁ、日頃のキャラも好いものを持っている彼女だから、結構始めから期待していたけれど、好い意味で裏切られた!めっちゃ、パワフルな歌いっぷりで凄く上手い♪彼女の一発目、椎名林檎を聴いて圧倒された私達でした(笑)。普段の陽だまりの様な、ほんわかした雰囲気が一変しちゃって「君って何者やねん?」って言いたくなったほどやもん(笑)。ヨッシャー!私達も負けてられるかぁー!

姫路と帯広、南北対抗歌合戦の始まりだぁー!オヤジは、年代の相違を感じさせる『石原裕次郎』を軸とした演歌構成(笑)。私はSMAPの『世界に一つだけの花』、雅則さんは米米クラブの『浪漫飛行』と互いにカラオケ定番曲で無難に始めた(笑)。そうして、歌と会話を楽しみながら意外性一杯だった夜は更けて行きました。明日、早番の出勤だって彼女から聞いていたので、午後1時過ぎには『三次会』も幕を下ろし、テナントビル前で山田さんともお別れした後、私達親子は雅則さんがホテルまで態々一緒に歩いて送って下さいました。その帰り道で『今度は是非、別の季節に来て下さい。冬の帯広も好いですよ♪』って彼が言ってたっけ・・・。ホテルの部屋に戻って来て、其のままベットに転がりながら夏以外の帯広を訪れた私の姿を想像してみた・・・。うーん、新鮮味が溢れていて好いなぁ♪行き成り『冬』って言うのは温暖な気候で育った軟弱な私には辛いから(笑)、今度は『秋』ってのが良いかもね♪北海道の紅葉は、スケールも含めて凄いもんなぁ・・・。ヨシ!決めたぞ!今まで実現出来なかった秋の北海道ツーリングを今年絶対決行してやる。今から何とか仕事を調整すれば、早くなったフェリーの効果も相まって何とかなるさ!目指せ、秋の紅葉に染まる北海道へ・・・・。
横に成った途端、ベットの上で豪快ないびきを掻いて眠る傍迷惑なオヤジの姿に苦笑しつつ、自分も睡魔に誘われ夢の住人へと変わって行きました・・・・(了)。

(・・・第六章「〜道東・苦戦の網走激走編!〜」に続く・・・)


<〜第五章のまで御話〜>

毎年、夏の親子(父と息子)北海道バイクツーリングに向けて準備を進めていた7月中頃、私の元へ届いた在る一通のEメール。
差出人は北海道の友人からで、その内容は「カミキリムシを生きた間々捕まえて直接北海道まで届けて欲しい」と記されていたから、さぁ、大変!(笑)。
そう言いつつも、旅立ちの日までに楽々達成出来ると思って引き受けたら、以外にカミキリムシを捕まえる事が出来ず、無常にも時間は過ぎて旅立ちの日まで残り2日と迫ったある日、捕獲協力を頼んでいた会社同僚等の助けを得て「キボシカミキリ」を漸く一匹ゲット!更に、旅立ち当日に4匹追加ゲットに成功する。
虫を快適(?)に輸送する手段も編み出した私は、全ての旅準備を終えて自宅を出発。京都府舞鶴港から新日本海フェリーの舞鶴⇔小樽航路便に乗船し、20時間の船旅後、無事小樽の地を踏む。カミキリムシが思っていた以上(?)に元気な姿で北海道へ持ち込めた事に驚きながらも素直に喜び、小樽の宿泊先ホテルで一泊。次の日の朝、いよいよキボシカミキリをお届けする「本番」の旅がスタート!幸い天候にも恵まれ、快調に北の大地を「爆走(笑)」した私達は、沼田町の久保商店(米工房)を訪れ、見事指令を果たす事に「成功」する(笑)。旅の「おまけ」的仕事を達成した私達は、本来の北海道ツーリングへと戻り、旭川市を東へ通り抜け、先の上川町で美味な「上川ラーメン」を堪能。北海道ツーリングを引き立てる、ゲーム要素を盛り込んだ各種イベントもスタートし、旅の主役は「キボシカミキリ」から私達自身に返り咲き〜♪
三国峠、白樺並木が続く糠平国道を通って深い森を抜け、広大な十勝平野へ駆けて出して行く。来月、日本で初開催される「世界ラリー選手権」の舞台、そして今宵の宿地「帯広」を目指す私達。そこには、今から2年前にインターネットを介して知り合いになった老舗パン屋『ますやパン』が在った。その時から今日に至るまでのますやパンとの交流を過去のツーリングと共に振り返りながら、バイクは一路、ますや本店へ近付いて行く。そして、一年ぶりに老舗のご一同と再会後、彼等との楽しい「集い」は舞台を移しながら夜遅くまで続いて行った。忘れられない思い出と成って・・・・。

では、その後の私達はと言いますと・・・。
第六章「〜道東・苦戦の網走激走編!〜」の始まりです♪



第六章「〜道東・苦戦の網走激走編!〜」

<〜行き成り『朝』から大失敗のバカ親子!〜>

『アーアーー♪アアアアアーアー♪』(北の国から着メロ♪)

ベットの枕元、耳の側に置いていた携帯がボリューム最大で「さだまさしの音わーるど」を奏でた(笑)。その音に吃驚して「ガバッ!」って飛び起きたと同時に、携帯の着信音は途切れた。電話では無く、メール着信音だったみたい。完全に目覚めきっていない頭で、何気に「ボー」っと部屋の中を見回す。厚地のカーテンが掛かった窓辺からは全く明かりが漏れて来ていなかったから、未だ「夜」だと思った私は「全く誰やねん?こんな"深夜"にメールなんか送ってきやがってぇ!(怒)」って眠たい目を擦りながら携帯を開いて届いたメールを確認。ナッ、ナンデストォォォオオオ?!

『おはようございます。本店でお待』と短いメールが「午前8時18分着信」で、ますやパン杉山社長から『今』送られて来た・・・。エッ?午前8時18分って、マ、マジィ!(驚)。そんな馬鹿なって、ベットから飛び出して厚地のカーテンを捲ると、一瞬、目が眩むような強い日差しが部屋に射し込んで来た。そう、もう夜明けなんて過去の御話だった(笑)。このホテルの部屋のカーテン生地は全く光を通さなくて、更に窓枠を覆い隠す様に掛けられていた事が、外の変化を伝えて来なかったんだって「冷静」に分析している場合じゃねぇだろうがぁ!(焦)。普段の生活だったら、どれだけ前の晩に深酒しても、夜明けと共に日差しが部屋に差し込んで来て明るくなったら、自然と目が開く習慣が付いているっちゅうのに・・・。殆ど、鶏並みの感覚(笑)で毎日早起きしている自分らしくない失態を晒してしまったぁー!(恥)。全ては、このホテルのカーテンが悪いねん!(怒)。うわぁー、今は、そんなボヤキを言っている場合じゃないってぇ!(叫)。昨日の夜、本店へは何時頃お越しに成りますかって問われた時に、自分から本店の営業開始時間の午前8時に行きますって言った癖に・・・、ああ、もう、最悪や―!(>_<)

未だ隣で鼾を掻きながら、夢の世界に居座るオヤジに『コラァー!糞オヤジー!!』って叫びながら叩き起こす私!ホンマ、何で、こうなるのよ?全く・・・(T_T)

本来の予定では午後6時起きして、身支度と朝食を済ませてから、本日のツーリングスケジュールを親子で再確認した後、ますや本店午前8時集合に合わせてホテルを出立する筈だった。けれど、現実は・・・(泣)。親子共々、めっちゃ焦りまくりながら身支度と出立の準備を平行して行う。先に準備を済ませた私は、急いで杉山社長に携帯で連絡を取り、先ほど頂いたメール着信音で漸く目覚めた状況だって事を素直に打ち明け(笑)、大遅刻して皆さんをお待たせしてまっている非礼を御詫びしました。そして、予定より「1時間半」遅れの午前9時半頃に本店へ行けそうですと伝えて電話を切った後、昨日から借りた間々だった台車に再び荷物を積み込んで、大急ぎで宿泊部屋を飛び出て行く。先ずは全ての荷物を駐車場へ降ろして、何時も通りに積み込み作業を終わらせてから朝食を取ろう。そうだ、チェック・アウトの手続きも一緒に終わらせちゃえっと!少しでも早く、先ほど言った時間より前に本店へ行かなきゃ失礼や!

エレベーターで1階まで降りた後、駆け足で駐車場まで移動し、手早く「ガチャ!」「ガチャ!」「ガチャ!」っと、心地好い三拍子♪で自分の荷物(パニア・ケース)のバイク積み込み(装着)作業を一瞬で終えた私は、積み込みに時間が掛かるオヤジを残してホテルのフロントへ向い、チェック・アウトの手続きを済ます。それから、再び準備を終えたオヤジと合流して、上の階に在るホテル朝食会場のレストランへ移動・・・・。これまた「美味しい洋食メニューが食べられて幸せー♪」って浸る余裕の無い状況を、自ら生み出してしまった不運を呪いながら(笑)、殆ど流し込む様なペースで食べる。ふん!分かっちゃいるけどね、寝坊したアタシ達が全て悪いのさ・・・(T_T)

折角、朝から気持ち良い夏空を迎えられたって言うのに如何よ?この落ち着きの無い展開!(笑)。昨日の、ほのぼのとしたツーリングや宴会が嘘みたいやん。目覚めてから『ボヤッキー』が収まらない私は、結局2時間近く遅れてしまった帯広からの旅立ちが、今日のバイクツーリングスケジュールに如何響いて来るかも考えながら、ふく井ホテルを離れて、ますや本店へと向かいました・・・。

『御免なさいー!思いっきり寝坊しましたぁーー!!(恥)』

午前9時25分、ますや本店へ入店すると同時に私が発した(叫んだ?)台詞がこれさ(笑)。まぁ、皆さん、そんな私を見て気持ち良―く笑って下さったんで、取り敢えず「ホッ♪」としましたよ(バカ)。そうして、ますや本店前で、私達親子のバイクを囲みながら昨日の夜に集った面々が再び揃って御別れの挨拶を交わした後に記念撮影を済ませ、「また、来年も来て下さいね♪」って老舗パン屋御一同に手を振って見送られながら、私達は再び鋼鉄の愛馬に跨り「ブオオオオンーーー!」「ドドドドドーーー!」と二重奏を響かせつつ旅立って行きました♪

<〜雄大な緑の大地を駆け抜けろ!〜>

この時点では、秋に再び北海道へツーリングに来るって話は彼らに伏せていました。だって、昨夜、酒で酔った勢いで思い付いた事だったから(笑)。真面目な話、姫路へ帰ってから、仕事の予定とか込み入った問題をクリアしなきゃ駄目だしね。何より、過去一度だって実現出来ていなかった時期の、しかも『単独』での北海道バイクツーリング。会社の上司でも在り、父でも在るオヤジ様の許可を得る事が一番困難かも知れない(笑)。そう、昨夜の決意を彼にも内緒。未だ私の胸の内の秘め事ってヤツさ♪毎年夏のツーリングも、仕事の予定等を調整しながら進めているから、終わった夏から次の年の夏まで結局準備に一年掛かっている計算になる。お盆や正月と言った、長期の纏まった年次休暇が取れる時期でも無ければ、事実上、サラリーマンライダーは北海道へツーリングに来る事は不可能だって事も理由のひとつさ。まぁ。今流行(?)のフリーターって、私から言わせれば「無職のプー太郎(笑)」にでも成れば、御気楽極楽に観光客が大挙して押し掛けて来る時期を外して行けるかもしれないけれど、そんな地に足の付かない、一家を支える者が良い歳をして家族や周囲を無視した生き方は到底出来ないし、自分のキャラじゃない。今までの旅だって、家族を含めて周囲に理解して貰ってから続けて来た事。そうでなきゃ、幾ら定職に就いている身だって、やりたい事を行っているって部分だけは同じ♪でも本音は「私達親子をデタラメに生きている奴等と一緒にするなー!」って非常に強く思っていますけどね(笑)・・・。

今日の予定は、先ず帯広市を出てから東へ進んで『阿寒湖』を目指します。それから中標津の『開陽台』へ立ち寄った後、オホーツク海沿いへ出て北上し、『知床半島』を反時計周りで周遊してから、本日の宿が在る『網走』までの移動が、本日の北海道バイクツーリングと成っております・・・(^-^)

ますや本店の在る西1条の筋を北上。R38とのT字交差点を右折して東へ進路を取る。市内の国道は片側でも斜線が多くて幅も広いから、とっても走り易い♪但し、鬱陶しい位多い「大型ダンプトラック」さえ居なければって注釈付きやけどね!(笑)。もう、コイツ等が巻き上げる埃やドロが凄くってさぁ・・・。お陰でヘルメットのシールドは直ぐに透明感を失って「ホワイトアウト」に突入さ!(怒)。だからと言って、シールドを開けて、スッピンを晒して走ったりすれば、モノの5分と持たずに「目詰まり状態」で走行不能!リタイヤに追い込まれちゃう(T_T)・・・。それに、私達の視界を遮る存在は埃だけでは無いのよ。毎年、私達の視界確保を悩ませてくれるイチバンの『敵』は『虫』っすよー!特に酷いのが、農村部の酪農地帯を駆け抜ける時に「ベチャ!」「グチャ!」「ブチュ!」って、ねばっこい擬音や物が潰れる嫌な音と振動を伝えながら、ヘルメットに限らず体全体、バイクも含めて『カミカゼ攻撃!』を仕掛けて来る北海道の虫達(笑)。まぁ、厳密に言えば、本当は気持ち良く飛んでいる虫達のエリアへ、新幹線並みの速さ(?)で突っ込んで通過して行く私達の方こそが『神風ライダー!』(笑)なのさ。短い夏の北海道で、更に短い寿命しか持ち得ない彼らを『粉砕』(笑)しながら走る私達親子って、ホンマに罪深い生き物だよねぇ(T_T)・・・。「許せ!オマエ等の命、無駄にはしない!」って、偽善者ぶって走っていたら「ブチュ!」って、またや・・・(笑)。この地でツーリングを続ける間、エンドレスに繰り返される夏虫達との生死(?)を賭けた戦いに「負ける訳には行かないぜ!」って、アホな叫びを発する御主人と違って、心地良いエンジン音を奏でながら走り続ける鋼鉄の愛馬達は、私達が指示したツーリングコースに『文句』を言う事無く、黙々と消化して行く真面目っぷりを発揮。騎乗で『一人漫才』を展開している私とは大違いやね(笑)。「黙って走りに集中しろ!」って、逆にZZ−Rから威圧感を受けた私。ふふ、そうだよね。ヨッシャー、気合を入れ直して頑張るかぁー!

交通量が多くて少し走り難かった帯広市内から郊外へ移ると、周囲の景色も関西で見慣れている、立て込んだ住宅地や商業地の様な環境から一転、北海道らしい広大な牧草地や農地広がる十勝平野へと姿を変えて行った。北海道有数の大都市から離れる程に、次第に行き交う車の数も激減し、何時しか片側複斜線だった国道も片側一車線の対面通行になったけれど、相変わらず信号とかって無きに等しいし、車の流れとか速くて助かるから、何のストレスも感じる事無く池田町までハイペースで辿り着けました。池田町手前で、R38からR242へとルート変更した私達は、利別川を横に見ながら北上を開始!照り付ける夏の日差しに因って、この2日程でお互い露出した肌や顔が、結構赤黒く日焼けしたなぁ。アーン♪宿に付いたら、お肌の御手入れしないと、シミになっちゃう♪「(振付師の)カバちゃんみたいな事を言うなぁ!」ってツッコミは無しよ(笑)。額から汗を滲ませながら走り去ろうとした時、この地域が来月行われる「ラリージャパン2004」の特設コースが在る地域だって思い出した。チクショー、やっぱり観たいよなぁ(笑)・・・。先の本別町で、数える程しか無い信号機に運悪く捕まる度に、横に居たオヤジに向かって「ラリー観たいよー!観に行きたいよー!」ってボヤき続けたけど無視された・・・(泣)。ハァ、分かっちゃいたけど、日本初開催のWRC(ワールド・ラリー・チャンピオンシップ)は、今までと同じ、自宅で空しく録画ビデオ(DVD)観戦決定だぁ・・・(T_T)。開催地へ1ヵ月も前にフライング訪問した事になる私。この消化不良な気持ちは多分、一生消えないでしょう!(泣)。嗚呼、涙無しでは観れないラリージャパン2004の収録映像・・・。神よ!こんな私に幸あれー!(笑)

天気が良い事も有って、上機嫌で愛馬『ハーレーダビットソン・ソフィテールデユ―ス』を駆るオヤジ様と違って、JR足寄駅前からR241へと移って東へ進む私は何処か気分が凹んだ間々。私の『カワサキZZ−R1100D6』は元気其の物なんやけど、騎手の私は気分爽快って感じには程遠かった。何でかと言うとね、沿道にチラチラとラリーを成功させようって謳い文句が書かれた物が何度も視界に入ってくれば、必死で押さえている思いもぶり返すっちゅうねん!(笑)。頼むから、私を激発させないでー!(笑)。一人でのた打ち回りながらバイクを駆る私を、また「アノツメタイシセン」がオヤジ様から送られている事に気付いた(怒)・・・。コラー!真面目(?)に悩んでいる息子に向かって失礼やどー!(笑)。「只のアホじゃ!オマエわ!」って、目でモノを言うんじゃねー!(笑)。親子で、ちゃんと「ボケ」「ツッコミ」のパート分けが出来ている事に本人達は気付かない間々(笑)、更に交通量が少なくなった道を豪快に加速しながら、私達親子のお笑い北海道バイクツーリングは続くのでした・・・。

<〜ピースサインは、ツーリングライダーお決まりの挨拶さ♪〜>

足寄を過ぎて阿寒湖までの一本道(R241)に入った辺りから、次第に空も雲が多くなり、汗ばむ陽気だった気候も急速に変わり始めた。先へ進む度に、首筋や頬を掠める風が冷たくなり、湿度も上がって来たのか、徐々に湿り気を帯びた空気を感じるようになってきた。ふく井ホテルを離れる前に、部屋のテレビで観た天気予報は確か「今日の道東方面は曇りで、所により一時雨」って言っていたっけ・・・。うーん、不味いよなぁ・・・。今朝の遅れを少しでも取り戻したくて、帯広を離れてから此処まで一度も休憩する事無く走って来たんだけれど、今のペースでも残った距離を考えたら、正直な話、頭が痛かった。阿寒湖の後には、中標津の開陽台、そして知床半島と昨日より恐らく走行距離が多いだけでなく、ひたすら高速道路の無い地道を走るから時間も相当掛かる事が予想出来た。幾ら、高速道路並み(?)のハイペースで走れる北海道の地道で在ってもね(笑)。今から3年前の北海道ツーリング時に、オホーツク海沿いの海岸線ルートを走破した経験も在りますので、特に中標津から知床半島を巡るルートが今日のツーリングコース中、もっとも長く、そして走行時間が掛かるだろうって今更ながら気付かされた。今日一日天気が良くて、オマケに予定通りに出発出来たって「条件」が成立していてこそ、予定を立てた場所へ行けるだろうって読みだったのよ。過去形で語らねば成らない我が身が不甲斐無いけどね(笑)。とにかく、今は目の前に迫った阿寒湖の事だけを考えようっと♪(^-^)

気持ちを切り替える様に、右手のアクセルを「クィ」っと一捻り。コンマ数秒の間を置いて「ブオオォォォオオオオンーーー!」と迫力のある重低音を左右に広がる白樺並木の森林地帯に響かせながら怒涛の加速を開始して、アスファルトのオンロードを駆けて行くZZ−R!その動きを瞬時に察して「ズドドドドドドドーーー!」と渋い重低音を発しながら追随してくるソフィテールデュース!ピッタリ息の合った鋼鉄馬達と共に、私達親子は生命と神秘が宿る伝説の湖に近付いて行きました・・・・。

前を行く車も、擦れ違う車も本当に少ないのに『ライダー&チャリダー(自転車乗り)』の往来だけは何故か多くて途切れない(大笑い)。不思議そうに首を傾げながら、緩やかな湖へと続く連続カーブを「グオォオオオンーー!」「ギューーン!」って、アクセルやブレーキを駆使しながら加減速を繰り返していたら、あっ、また進行方向からバイクが・・・(笑)。「オッ?私と同じZZ−Rの赤じゃん♪イエーイ!」って、左手をハンドル・バーから放して、擦れ違う直前に「ピースサイン!」を送る。すると、あちらのZZ−R乗りも「ピースサイン!」を返してくれた。ふふふ、これが、ツーリングライダー同士の「ご挨拶♪」ってヤツなのさ。普段からバイクに乗る機会が無い方でも、車を運転中の時なんかに、先行して走っていたライダー達が擦れ違い様に行う上記の光景を偶々目にされた方も居るのではないかと思います。全く面識も何も無い者同士だけど、俺達は「バイクを愛するライダーなんだ!」って共通の気持ちが生み出す、昔から廃れる事の無い、心地良い儀式ってところかな。まぁ、儀式って言えば、ちょっと大袈裟に聞こえるけど、気心の知れた相手同士で交わす「ヨッ!」「ハーイ!」みたいなものと思って貰えたら良いね(^-^)。私がライダーになって、初めてオヤジにピースサインを教わってから実際試した時に、身も知らぬ相手から笑顔でサインを返して貰った時は、スッゲー嬉しくて、その日の晩は興奮して眠れなかったもん!(笑)。物凄く単純な事なんだけど、その単純な事が凄く嬉しいのさ。これは車に乗っていたら絶対味わえない行為やね。バイクを操りながら、如何にカッコ良く、タイミング良く、ピースサインを繰り出すか・・・(アホ)。結構、奥の深い部分も有るのよ(笑)。おおっと、説明に没頭している間に、また今度は集団でやってくるライダーを発見!私の左手は「ワキ!ワキ!(指の準備運動音)」しながら、待つ事数秒(笑)・・・。「ピース!ピース!ピース!(以下省略)」大成功!ふぅ、気持ち良かったわぁ(^-^)。でもね、ピースサインって、必ず100%送った相手から返ってくる訳では無いのです。特に地元の関西だと、返ってくる確率は1/3以下ってところかな(辛)。都会に近い所の景勝地等、ライダーが好んで集まる場所でも、この傾向は良く見られます。時には「ギロ」って擦れ違い様、睨み返された事も過去在った(怒)。何か心が冷たいって言うか、親しみが湧かないって言うか、寂しい限りですね。だから、私、日頃の御近所ツーリングでは、ピースサインを余り自分から出す事は無くなりました。バイクに乗り出した当時は、チョー気持ち良い位「成功」を収めていたから必ず行っていたけれど、今は対向車線のライダーがピースサインを出して来た時だけ、礼儀として返している程度ですね。でも、北海道は違います。ええ、ハッキリと断言出来ます!可笑しいです!ここに来ている(住んでいる?)ライダー&チャリダーのテンションは何処か変です!(笑)。先ず、ピースサインが成功する確率は『100%』と言い切って良い位、サインを返さない様な相手を見付ける方が困難でしょう(笑)。ライダー同士に限らず「ライダー&チャリダー」「ライダー&トホダー(歩き旅の人)」って内容でもピースサインを交わしてきたし、時には普段「ノーマーク」な『車』から「ライダーさん!頑張ってー!」って、乗っていた人達全員からマシンガントーク付き(笑)でピースサインを頂き、親子共々「恐かった」じゃなくて驚いた経験も(笑)。でも、そんな体験談で極め付けだったのは、初めて北海道へバイクツーリングに来た2000年。道南の海岸線走破を目指して函館から登別へ向かっていた時の出来事でした。この年は、今年と同じ猛暑だった北海道。私達も上半身はTシャツ一枚と、地元で夏場走るのと変わらない軽装で、照り付ける日差しを受けていたけれど、カラッとした心地良い気候が、それまで体験した事の無い雄大な自然や道路を引き立て、私達親子も「ハイテンション!」で内浦湾を右手に眺めながら豪快にぶっ飛ばしていました。その後、長万部付近に指しかかろうとした時、進行方向から3台一組でくるアメリカンバイクに気付き、親子同士、互いに「ニタァ」って含み笑いを浮かべながらアイコンタクトをして、親子同時に「ピース!」ってカッコ良くサインを決めたつもりが・・・。出した相手の方が、もっと凄かったぁぁぁあああーー!

『パン!パン!パン!』

なっ、何ですとぉーー!手足をバイクのハンドルとペダルから離して、バイクのシート上で「おさるのダンス♪」を披露しやがった!(唖然)。オマエ等は「中国雑技団」かぁー!(大爆笑)。これって作り話では無いですから。共に目撃した、オヤジ様って言う「生き証人」も、ちゃんと居ます(笑)。3人のライダー全てが「おさるのダンス」を披露した訳では無く、他の二人も何かパフォーマンスをやっていた。それほど印象に残らない演技を(笑)。いやぁ、それにしてもバイクの運転が上手い連中だったなぁ。あれで良くバランスを崩して転倒しないもんだと妙に感心しちゃいました。世の中は広いよね、色んなライダーが居るんだもん。地味な自分が寂しくなっちゃうわ(笑)。この他にも、過去、色んな方達と数え切れないほど「一瞬の交流」を繰り返して来た私達。ハーレー乗りのオヤジは別やけど、今年は私、カワサキ乗りとして、カワサキのバイクに乗るライダー同士のみで交わそうと、メーカーが普及に力を入れている「ピースサイン"K"」を実行して行きます。「kawasaki」の頭文字「K」を左手の親指、人差し指、中指で表現するって内容さ。モチロン、擦れ違う相手が先ほど出会ったZZ−Rとか「カワサキ乗り」だけを対象に使う。それ以外の相手は普通のVサインとか、サッと左手を差し上げるだけ・・・・。嗚呼、如何でも良いけどさ、行き交うバイクが多過ぎて左手も疲れちゃったよぅぅううう・・・(T_T)

阿寒湖畔の最西端へと辿り着いた辺りから、更に空模様が可笑しくなって来たように思う。時折、晴れ間も見えるけれど、殆ど曇った間々の状態が増えてきた気がする。これから更に東へ向かうと如何なるのか。また、昨日に続いて雨の衣を纏う事になってしまうのか(辛)。雨は、極端に進行スピードを奪われる事が分かっているだけに、先の事を心配しながら、私達は阿寒湖畔の真ん中、ホテルや集落が集まる所へ移動して行った。ここには過去、一度だけ訪れた経験が在る。それは、ちょっと変わった形をしたアイヌの木彫りを探しての旅で立ち寄ったのさ。北海道のアイヌ部落で最大の規模を誇る『阿寒湖アイヌコタン』にね♪

<〜阿寒湖アイヌコタン再び!〜>

正午ピッタリに阿寒湖アイヌコタン「バイク専用駐車場」にご到着親子して頑張った御蔭で、正午ピッタリに阿寒湖アイヌコタン「バイク専用駐車場」にご到着。いやぁ、久しぶりだなぁー!前に来たのが2001年だったから、3年ぶりって事になるのか・・・。あの頃と、ちっとも変わってないわ(笑)。アイヌの言葉で集落を意味する「コタン」。阿寒湖アイヌコタンには30軒近くの個性的な民芸品店が在り、各店舗で一流の木彫り師による独創的な作品が製作されています。民芸品には木彫りの作品を中心にヒグマやフクロウ、キタキツネ等をモチーフにした小物や美しいアクセサリー、アイヌの伝統楽器『ムックリ』と言った様々な品が揃っていて、ここを訪れる観光客を楽しませてくれています。また、アイヌコタンには郷土料理を食べさせてくれる飲食店や軽食喫茶店、民族衣装を着て記念撮影をさせてくれる御店も数軒在って、ホンマ、ドップリとアイヌ文化に浸る事が出来るから「めっちゃ楽しいでぇ〜♪」(笑)

阿寒湖アイヌコタンの古式舞踊会場「オンネチセ」裏手に在るバイク専用駐車場に駐輪した後、お互い荷物の中から財布とデジカメを持って集落へ入って行く。緩やかな傾斜地に出来た町並みで、最上部中心地に位置するのがオンネチセ。この建物から前を幅20m余り、長さ100mほどの広場を挟んで向かい合わせに民芸店が立ち並んでいます。オヤジとオンネチセ横の通路を歩いていた時、一番手前に在る御店「日川民藝店」を見て、つい立ち止まってしまった。御店の表に置いて在る木彫りのアイヌ人像二体と、木をくり貫いて作った丸太船。更に、その前に置かれた木のベンチ。懐かしそうに眺めていた私に向かってオヤジが言った。

「何や?前に来た時の事を思い出してたんか?」

そうだよって、笑いながら答えた私。さぁ、ここに立ち止まっている余裕は無いし、とにかく今は昼食を取ろうよって、この御店を少し下った所に在る食堂へ移動を開始。煉瓦が敷き詰められた広場の道を歩きながら、私は3年前にアイヌコタンを訪れた時の事を振り返っていった・・・・。

此処を訪れるきっかけとなった出会いが、先の「おさるのダンス目撃事件(笑)」直後に在りました。同じ日、宿を取っていた登別温泉「石水亭」に到着した私達は、宿泊部屋に入ってから、即、温泉へ「ドボン!ドボン!」と親子揃って浸かりに行き、その後レストランで北海道「旬」の味覚を惜しみなく使った夕食バイキングを腹一杯堪能しました♪うーん、美味美味♪序でに味わった地ビールも、めっちゃ美味い〜♪(笑)

レストランの夕食会場を後にした私達は、部屋に戻る前にホテルフロント前の広いリビングフロアに設置して在った「夏の夜店」で射的を楽しみました。ここの射的、ちょっと変わっていまして、台紙で作った手作りの的に「かき氷」「ビール」って書かれていた物が並べられていたんです。丁度、横の店でかき氷と生ビールも売られていたんですが、射的一回(玉5発)の料金と上記の品二つの料金は同じ。さぁ、感の良い皆さんなら御分かりですよね。横で売られている品が『景品』で、しかも、射的の玉の数を考えれば(笑)。これに逸早く(?)気付いた我ら親子が、何もしないで夜店の前を通過すると思いますか?(笑)。親子並んで、たったワンゲームの射的で、両方の品をお互いゲット!しましたよ〜ん♪(笑)。オヤジなんて『ビール2杯分』仕留めたし、夜店の店員を勤めてたホテルの兄ちゃんのビールやかき氷を手渡してくれる時の『苦笑い』が見物だったよー!(^-^)

戦利品(笑)の「食後のデザート♪」を平らげた私達は、その後、同フロア内で行われた「ビンゴゲーム」に参加して見事に「惨敗」する(笑)。先の射的で、今日の勝運を全て使い切っていたみたい。オヤジは殆ど参加賞的内容の携帯テッシュ5袋。私はどの程度の品質レベルか不明の「利尻昆布」一袋を貰った(笑)。一等賞だったPS2と温泉宿泊券には遠く及ばない「貧相」な成績だったけれど、楽しい時間が過ごせて満足一杯で部屋に引き揚げる前、最後に、これまた同じフロアに在る土産物コーナーに立ち寄った私達。これと言った特別な期待も無く足を運んだ此処で、その後の北海道バイクツーリングに大きく影響を与える『物』と出会ってしまったのですー!(^-^)

ご当地物の食材やお菓子と言ったお土産が並べられた店内の更に奥の陳列棚へと進むと、そこにはアイヌの民芸品、木彫りの品が多く揃えられていた。アイヌの伝統的な民族色「藍色」に塗られた木片に複雑な紋様が彫刻された装飾品。エゾシカの角を素材に使った品とか、姫路市に住む私では普段目にする事の無い「北方民族文化」に思わず時間を忘れて魅入ってしまいました。小物から順に見て行って、最後に順番が巡ってきたのが「ヒグマの木彫り」。そう、最後に見た、この木彫りで私達親子の視線を釘付けする『ツワモノ』がご登場したのさ。ここで、エッセイ読者の皆さんに御質問。普通、皆さんが想像するヒグマの木彫りのスタイルって「遡上する鮭を狩って口に咥えた姿」ですよね。昔、オヤジが社員旅行で北海道へ初めて行った時に、当時小学生だった私にお土産として買って来てくれた小さなヒグマの木彫りも上記の格好でした。何点か陳列棚に並んでいた品の中で『一点』だけ、明らかに『ありゃー?』って言うか、『如何しちゃったの?』って言うか、『何を考えてんだよ君は?!』って、思わずツッコミを入れたくなったヤツが鎮座していたのさ(笑)。
咥えタバコを吹かせながら一杯を楽しむ『哀愁のオヤジスタイル』(笑)ヒグマなのに「ドカッ」っと胡座を掻いて座り、目の前に徳利を置いて右手を右足太股に置き、左手に御猪口を乗せ、咥えタバコを吹かせながら一杯を楽しむ『哀愁のオヤジスタイル』(笑)。ねっ、如何よ?絶対有り得ないキャラだよねー!親子共々、笑いのツボに入っちゃって、めっちゃ苦しかったわ(笑)。自宅の玄関先で飾るのに適した大きさだったし、一発で気に入った私達は其の場で即購入しようと思ったけれど、木彫りの値段が結構高かった事が響いて、この時は断腸の思いで諦めました(T_T)。当時の旅の予算では、とても足りなかったのです。その代わり、次の年に北海道へ来た時、何処かアイヌの民芸品を売っている御店に出会う度に、例の木彫りが置いていないか探してみようと親子で決意!モチロン、木彫り購入費用も次回ツーリング予算に計上しているから抜かりは無いさ!(笑)

そうして訪れた次の年、2001年夏の北海道バイクツーリングは「のん兵衛熊を探せ!」が親子の旅の合い言葉と成りました(笑)。そうして、各地を転々と訪ね歩く内に、辿り着いたのが阿寒湖アイヌコタンだったって訳です。アイヌ部落最大の此処へ来れば、同じ物が手に入るかもしれないよって地元の方からご紹介して貰って、釧路湿原を縦断しながら北上してやって来たのです。確かに民芸店が一杯在って、これだけの規模なら、その内の何件かは置いているかも知れないって軽い気持ちで、親子共々捜索開始〜♪最初に入った御店が、先ほど紹介した日川民藝店だったんです。ここの女将さん、とっても明るくてサッパリとした性格のお方でした(^-^)。残念ながら、こちらには例のブツは置いて無かったんですけれど、他に置いてある品や女将さんのキャラが気に入ったので、一通り他の店舗を見て回った後に、再び戻って来て民芸品を選んで買わせて貰う約束をして一旦御店を後にしました。

直ぐに見つかるだろうと踏んでいたけれど、意外に見つからない木彫り。ちょっと近い様な感じの物とかは在ったけれど、登別温泉で出会った「其の物」の姿が見当たらない。其れだけでは無く、全般的に「ヒグマの木彫り」自体が少ない事に気付いたんだ。明らかに「フクロウ」の彫り物が場を占めている。そんな疑問を何店かに尋ねてみたら、皆さん口を揃えた様に「ヒグマの木彫り人気が下がっちゃって、今はフクロウの方が観光客に人気が在るんだよ」って答えてくれました。こ、これはヤバいやんけ!・・・(>_<)

思わぬ展開に焦りを感じながら、ここで一旦捜索を打ち切り『北国の味番屋』って食堂で美味しい『豚丼』の昼食タイムを取る私達。「腹が減っては戦は出来ぬ!」って、昔っから言うじゃない♪(笑)。そう、これは私達親子の意地を掛けた戦いなのよー!(呆)。手早く丼物を胃袋へ流し込んだ私達は、直ぐ様捜索「第二部」を開始。そうして、御店を巡る事「通算10軒目」にして漸く『運命の再会』を果たす瞬間が訪れたのですーー!

『サンラマント』って名前の御店でした。とっても小柄な御主人が出迎えてくれた御店の入り口に近い右手陳列棚に、ええ、あの強烈な印象を私達に植え付けた『容疑者』を発見しました。ヨッシャー、身柄確保やー!誰の手にも渡さないぞぉー!(笑)

ノリは殆ど『ルパンを捕まえた銭形警部』さ♪(笑)。小躍りしたい気持ちを押さえながら、ふと我に返った時、側に居た筈のオヤジが姿を消していた事に気付いた。「アレ?何処へ行ったんだろう?」と思って店舗内を探してみると、店の奥から先ほどの御主人と一緒に現れた。そして、例の木彫りの前に立つ。「あ、そうか!これを買いたいからって伝えに行ってたんや!」と分かって私もオヤジの側に寄る。ここまでは、普通の展開だよね。ただ観光客が買い物をしようとしているってだけのさ。しかし、ここからが違う!関西人の商人魂が炸裂したーー!(笑)

{オヤジ};「(店主に向かって)オイ!此れってなんぼやねん?(幾らなんだ?)」
{店主};「其処に書かれた通り(金額)ですが・・・・(困惑)」

オヤジの問い掛けた「真意」に気付かない店主は怪訝そうな表情を浮かべた。直ぐに意味が分かった私は、笑いを必死で堪えながら事の推移を見守る事にしました・・・・。

「そないなもん、見たら分かるわ!(笑)。ワシが言いたいのは、幾ら表示額から"値引き"してくれるかっちゅう事や!」と、日頃トーンが低くて聞き取り難い声を更に低く、ちょっとドスを効かせた(?)口調で店主に迫るオヤジ(笑)。我が父ながら困った御人や。あーあ、店主のオジサン考え込んじゃったよ(笑)。背後に居る私の存在も含めて、関西の幹部クラスのヤクザが一の子分を連れて、御店の品を何とか安く購入しようと無理難題を吹っかけているようにしか周りの客には見えていないんじゃないかしら(笑)。暫く間を措いて、絞り出す様に店主の彼が口を開きました・・・・。

{店主};「幾ら位(値引き)がご希望ですか・・・・」

「そう切り出して来たか!」と思ったオヤジと私。さぁーて、ここからが値引き勝負に燃える関西人の本領発揮さ。昨年見たヒグマの金額を「覚えているか?」と小声で耳打ちして来たオヤジに、ヒソヒソと耳元で囁き返し、私にだけ見える様に「ニタァ」って笑みを返してから交渉を再会して行く。もう、ホンマにオヤジさんって人は、こうやって気に入った品を買う時は何処でも「コレ」を実行するから、一緒に行動していて何度恥ずかしい目に遭った事か・・・・(笑)。そりゃね、設定額より安く手に入るに越した事は無いけどさ、何か御店の人に失礼な気もするわ。東京の秋葉原や大阪の日本橋で、家電品を安く手に入れたりする場合なら、喜んで私もオヤジの交渉に『参戦』していたでしょうけどね♪(笑)

その後、オヤジの有無を言わせぬ姿勢に店主が「根負け」した結果となり、バイクには積んで帰れませんから、宅配で自宅へ送って貰う事で交渉が終了しました。重量や大きさから言って、送料だけでも阿寒湖からだと結構掛かる筈だと思った私は「全部込みで、幾らに成ったの?」って、支払いを終えたオヤジに店の外へ出た直後に訪ねてみたら「登別温泉で売っていたヒグマの木彫り金額よりも"送料消費税込み"で、ちょいと安くしてやった!」と自慢そうに答えてきた(呆)。「アホか!やり過ぎだって!」と私が言うと「そないな心配は無用や!逆に考えてみろ?ここまでの値引き額は特別としても、実際値引いての販売も可能ってことや。ワシらみたいな客なんて実際は少ないやろ(笑)。まともに店の売り値で買って帰る客が殆どなんやから、偶に「赤字覚悟」の品が出たって、他の品の売上げでカバー出来ている」と断言されてしまった(笑)。まぁ、確かにね。オヤジさんの意見も流石商売人ってだけ在って「一理」あると感じた。でも、それをやられた御店は辛いって(笑)。上機嫌で日川民藝店へ戻って行く父の後ろ姿を眺めながら苦笑を浮かべて付いて行く『小市民』な私でした・・・・(^-^)

『あら、御帰りなさい♪例の木彫りは見付ったの?』

日川民藝店の女将さんに尋ねられて、無事、大役(笑)が果たせた事を伝えた私達。ここで留守番役の母や姉のお土産に木彫りの手鏡をオヤジが買い、私はコチラに来店した当初に目を付けていた「シマフクロウの木彫り」を購入した。無論、ここでもオヤジが値引きを迫ったのは今更言うまでも無い事さ♪(大爆笑)。

買い物を終えて女将さんと束の間の歓談を楽しんだ後、御店を去ろうとした時に、店の入り口にぶら下げてあった『アイヌの民族衣装』に目が行き立ち止まった。そんな私を見て、女将さんが「その衣装、私が作った物なのよ♪」って教えてくれた。以前からアイヌ文化に興味を持っていた私。その北方民族独特の衣装も、一度は生で見てみたかったのです。その場から動かずに「ジー」と衣装を眺めていた私に女将さんが思わぬ提案を持ち掛けて来た!

5分ほどで、親子共々、コテコテな関西人から『即席アイヌ人(笑)』に成りました。『お兄ちゃん達!良ければ、その衣装を着せてあげるよ♪』

マ、マジっすか?!(驚)。行き成りな展開に、思わず親子で顔を見合わせちゃったよ(笑)。色々買ってくれたサービスだって言って下さいました♪こんなチャンス!滅多に無いぜ!断る理由なんて有りません!(笑)。「いや、ワシは・・・」って断り掛けたオヤジを「沈黙(笑)」させて、早速、民族衣装の着付けを御願いしました。5分ほどで、親子共々、コテコテな関西人から『即席アイヌ人(笑)』に成りました。正直な話、衣装を着ても似合わないと思っていたら・・・、鏡の前に立つと「意外にイケてるやん♪」と思った。オヤジもお互い「濃い容姿」をしているから妙に似合っていた。最初は着るのを躊躇った彼も結構ツボに填まった様で、逸早く店の表に出て、持参したカメラで記念撮影の準備に入る(笑)。そうして、親子で仲良く人生最初で最後(?)に成るかも知れない貴重な姿を撮り終えて、女将さんに何度もお礼を行った後に阿寒湖アイヌコタンを去っていったところまでが、ここに初めて訪れた時の御話でした・・・・(^-^)

今回はオヤジさんご希望で、エゾシカの角を使った民芸品を探しに来たのです。前に来た時に、小物の民芸品を中心に扱っている御店で上記の品を一個買っていたオヤジさん。凄くお気に入りだそうで、バイクで走る時には必ず身に付けている品です。大人の人差し指程度と適度な大きさや、首から下げて身に付けるバランスを考えたデザインが絶妙で、同じ物が二つと無い為、手に入れ損ねた私の羨望を浴び続ける事と成った品です(笑)。昼食を三年前に来た時と同じ場所で済ませてから、一軒一軒を見て回る私達。例の木彫りみたいに品薄なんて事は無いから逆に目移りしちゃうー。「アッチに在るヤツも良いな♪」とか「これも捨て難いでぇ♪」とかね(^-^)。ホンマ、色々悩んだけれど、これから先の旅を急がなければならないので、親子共々「コレにしよう!」と意見が一致した品を買って、午後1時過ぎに二度目の訪問も終了と成りました・・・・。

<〜遂に来た!雨と霞の道東ロード!〜>

再び騎乗の人となって、北の大地を駆けて行く私達。駐輪している間に冷えてしまったバイクのエンジンも、数分間の走りで一気に温もりを取り戻してきた。ここまで何とか雨に遭遇しないで済んだけれど、東の曇よりした空、鼠色した分厚い雲を見ていたら、気持ちも次第にブルーに成って行く(笑)。それにね、進行方向からやってくるライダー全てが「雨合羽」を装着していてさ、乗っているバイクも滴り落ちる位に濡れているって如何やねんー!(叫)。昨日に引き続いて『北海道・夏の雨天ツーリング道東編』が間も無く始まるみたいやね(辛)。オヤジ共々、何時雨に遭っても大丈夫な体勢で身を固めて、中標津の開陽台へと目指して行った・・・・。

R241を再び東へ向かう。高低差の在る連続カーブが続く峠道を軽快にパスして、麓に下ったところが弟子屈町だ。先ほどまで居たのが阿寒町。ここは『摩周湖』『屈斜路湖』が在るところで有名。こちらも、3年前に見て回ったコースです。弟子屈町内へ入ってから、最初に道の駅『摩周温泉』へ赴きスタンプをゲットする。良く考えてみたら、今日、初めて「道の駅スタンプラリーブック2004」を手にしたわ(笑)。今朝、帯広を離れてから結構走って来た割には道の駅に出会わなかったなぁ。全道で80駅以上在るって言うのに、偶々、巡り合わないコース選びをしてしまった様ですわ・・・・(T_T)

スタンプラリーに参加した時点から、全駅制覇なんて『神の領域(笑)』と思っていた私ですから、それほど気にしていないですけどね(^-^)。さて、貴重なスタンプを追加出来た後は、ここまで頑張ってくれた愛馬達のお食事となりました。「摩周湖第一展望台」へと続く三叉路に面した「ホクレン摩周SS」で燃料補給。しかし、給油後の楽しみである「ホクレンフラッグ」と「給油スタンプシート」共に、先に大挙して訪れたライダー達に持って行かれて「在庫切れ!」と悲しい知らせがぁぁぁーー!(T_T)。この先の不運を暗示したかの展開に、親子共々凹まされた気分でスタンドを去って行きました。

弟子屈町からルートをR243へ変更して東へ進む。この辺りから、雨こそ降っていない状況だけれど、濡れた路面が続く様になって来た。上空の雲の流れを見ながら走っていたら、どうも私達が過ぎ去って行く雨雲を追う形に成っているみたい。その証拠に、始めは殆ど乾き掛けた路面から、今では車の轍に水溜まりが切れ目無く続いている状態へと変わって来ている。その内、未だ降り続いている雨雲の下に到達するんじゃないかって気がしてきたわ(>_<)。

弟子屈町から標茶町へ入り、「養老牛」って書かれた標識が在った三叉路を左折してから道々885号線へ移った途端、悪い予想が的中しちゃったぞーー!(辛)

雨脚は弱かったけれど霞が掛かって視界は悪いし、日差しも無くなってめちゃくちゃ寒いわ何やらで最悪やー!(叫)。ただ風が吹いてなかった事がイチバンの救いかも知れない。こんな何も遮る物が無い雄大な牧草地広がる酪農地帯で、冷たい雨を帯びた強風にまで晒されたらリタイヤするかも知れない。リタイヤしたくても、何処にも逃げ場なんて本当は無いけどね(笑)。それでも、予防線を張っていた事や前方を走る車が皆無だった事。進む道にカーブが殆ど無い直線路だった事などが手伝って、其れほどペースを落とさずに走って行く事が出来た♪道々885号線から150号線へと道なりに駆けて行き、『開陽台はコチラ』と指示された標識に導かれながら雨との格闘を乗り越えて遂に私達は念願の地に辿り着いたのです♪

<〜初来訪の『開陽台』で『ご当地お宝』連続ゲット!〜>

『開陽台展望台』駐車場一方通行の『開陽台展望台』駐車場へ上がる道を進んで行く。雨も霧雨程度に落ち着き、今にも止みそうな雰囲気になってきた。そうして、意外と細い連絡道路を走りきった先に、大型バスが何台も駐車可能な広いスペースが現れた。そう、やっと目的地にご到着♪時刻は「午後二時半」となっておりました〜♪

北海道を旅するライダーのメッカとして人気が高く、初めて北海道を目指した5年前から訪れてみたかった場所。やっと来れたと思ったのに何さ?この天気の悪さ?(笑)。『地球が丸くみえる』が売りの展望台風景も、こんなに霧が広がっていたら意味無いってー!(叫)。ハァ、ここも消化不良で終わるのか(辛)・・・。否、また来年以降の夏に、天気が良い事を願ってリベンジすれば良いやん♪9月に行われるラリージャパンと違って、此処には例年通りの御盆休みを使えば、こうして足を運んで来れるんやしね♪さぁーて、開陽台まで態々遣って来た『もうひとつの目的』を果たすとするかー!

展望台最上階(3階建)で、イマイチな天候には目を瞑りながら周辺の景色を楽しんだ後、2階に在る売店に立ち寄った。こちらのレジに足を運び、店員のオバサンに向って久しぶりに、あの「パンフレット」を取り出して提示した。「ハーイ♪少々お待ち下さい♪」と言いつつ、足元に置いてあったダンボール箱から緑色の生地に白文字で「開陽台」と書かれたフラッグを取り出して私に手渡し、裏返したパンフレットの「5 開陽台」と書かれて丸枠で囲まれた場所に「04」と書かれた三角形のオレンジ色シールを貼って返却してくれた。ちょいと説明が長かった(笑)けれど、もうお分かりだよね。そう、北海道バイクツーリングの第3イベントと位置付けているレッドバロン主催「ゲットフラッグツーリング2004」のフラッグポイントでも在ったんだよね。イエーイ♪こっちのフラッグも2本目と成ったぜー!

開陽台と銘打った御土産が絶対欲しいと思っていただけに、これは凄く嬉しいアイテムさ(^-^)。オヤジさんも私に続いて何とも言えない笑みを浮かべながら貰っていた(笑)。開陽台での全ての「ミッション(作戦)」を終えて、お茶を飲みながら2階の窓辺で休憩しているオヤジさんから一人離れて、こちらの売店で扱っている土産を物色中に、私の心を釘付けにする品に御対面だぁぁあああーーー!!!

『北海道限定キティ牧場バージョン』やねん♪それは『北海道限定キティ牧場バージョン』やねん♪即ゲット!(笑)

今年の春に行った「四国ツーリング話」でも終盤に登場した全国各地に存在する御当地限定物のハローキティ・シリーズ。実は私、バイクで全国各地を巡る度に、気に入った品をゲットして帰っております(※注記;三十路を過ぎた野郎な私(笑))

あのう、一言だけお断りして措きますが、私は「ヘンタイ」ではありません!(笑)
その証拠に、普通、サンリオショップで売られているキティには、何の興味も湧きません。要は、日本各地の伝統文化、風習や歴史的価値とのアンバランスなコラボレーションが楽しくって、こう言った色物的企画キャラ(笑)だけを好んで買っているってだけなのさ(^-^)。そうは言っても、家族以外に私の部屋は見せられないかもねぇ・・・・。だって、姉の部屋と私の部屋、どちらが姉の部屋か当てて御覧って親戚の叔母達が遊びに来た時に母が尋ねてみたら、全員「私の部屋」を姉の部屋と言ったほど「女性化」していると感じたそうな(大爆笑)。本棚や足元、ベットの棚など、バイク用品やパーツ類と仲良く同居している部屋の雰囲気は正に、誰が如何みても「キティ」好きな女性ライダーの部屋だって?!仕方が無いじゃん!気が付いたら、こうなっていたんやもん!(笑)

まぁ、過去に阿寒湖の土産物屋でゲットした結構大きい「まりもキティ」を、後ろ向きに荷物と一緒に「張り付け状態」で括りつけて走って帰り、出会うライダー達にバカ受けした事も在ったっけ。コレに関して、オヤジは無視って言うか、呆れ返って相手もしてくれない(笑)。ふん!良いさ。私が好きで続けている事やから、開き直ってやるまでさー!(見苦しいゾー!)

貴重な品々(フラッグ&牧場限定キティ)をトップ・パニアケースへ収納。午後3過ぎにツーリングを再会直後に「オォ!」と思える北海道らしい道路と景色に出会えて「オヤジー!停まってくれー!!」と大声で叫んだ私。そう、めっちゃカメラマン心を擽られたんですわ♪「コイツは絵になる」ってね!(笑)

オヤジ自慢の一眼レフデジタルカメラ「ニコンD70」に三脚をセットし、ファインダーを覗きながら構図を決める。親子で納得の行く位置へバイクを置き、お互いに先ほど貰ったフラッグを手に取り、セルフタイマーで数枚写真を撮った。撮り終えた後に、デジカメ背面の液晶画面で撮影画像を確認したら「オー!中々イケる感じやん♪」と思ったね。そう喜んでいたのも束の間、ポツリ、ポツリと大粒の雨が我等親子に降り注いできた。大急ぎで撮影機材を収納して、再びツーリングの準備を始めた私達。ここで、私がオヤジに今後の予定を相談した。午後三時半になろうとしていた時点で、私達は未だ中標津に居た訳で、当初の予定なら知床半島を横断していた位だったと思う。知床半島を巡るのは、仮に天気が良くても遅すぎる時間帯だ。ここから今日の宿を取ってある網走までの最短距離だって「100km」余りあるって事を伝えると「無理は止めて宿(網走)を目指そう」って話に決まった。そうさ、知床は前に行った事もあるんだし、今日みたいな天気で無理して行っても疲れが増すだけで何のメリットも無い。楽しみに来ている旅を「ガマン大会」に変えちゃうなんてナンセンスやもんね!(笑)

スッパリと割り切った後の私達の行動は早かった。「北十九号線」「道々975号線」を経て、R244に出た私達は一路、網走目指して駆けて行く。標津町と斜里町の境界線「根北峠」へと差し掛かった辺りで、今回のツーリング最大の「土砂降り」に遭遇する(T_T)。

「ウガー!チクショー、前が見えへん!」

只でさえ視界が確保し難い状況なのに、先行する車やトラックの背後に付いたら、恐ろしい位に視界が無くなる。ヘルメットのシールド越しでは、ボンヤリとしか前方の景色が見えず、顔が濡れるのを覚悟でシールドを跳ね上げ、スッピンを晒しながら我慢のツーリングを続けた・・・・。

JR知床斜里駅前まで出てきたところで、漸く雨から解放された私達。空模様は相変わらずだけど、路面は完全なドライコンディションとなったので、久々のハイペースツーリングに心地好さを覚えながらR244を快走して行く。そう言えば、この先には『小清水原生花園』が在ったっけ・・・。手前に道の駅も在ったから、そこでスタンプを頂く序でに休憩すっかー!途中の信号で停まった時に、オヤジさんにもその旨を伝えて、午後5時丁度に道の駅『はなやか(葉菜野花)小清水』に到着しました〜♪

原生花園のホンマ入り口(東側)に在るのよねぇ・・・、ここは。夕暮れ時の広大な湿地帯とかって、スッゲー絵になる環境じゃないですか。でも、今日の天候って・・・(笑)。ふぅ、今更考えるだけ野暮っすね。今日の道の駅スタンプも此れで終了。お腹も空いてきたことだし、ここで北海道特有のおやつと行きますか♪先ほどから美味しそうな言葉が書かれた幟がヒラヒラ風に揺れて気に成っていたのよー!

『ソフトクリーム2個下さいー!バニラ味のヤツー!(笑)』

道の駅に隣接する小さなスーパーマーケット入り口で上記のおやつをゲットした私。嗚呼、何度食っても飽きないわ♪この台詞、北海道に居る間に何回言うでしょう?(笑)。口の中に広がる「ミルク風味」に幸せを感じながら、バイクに跨りエンジン始動。
「ブオオォォォオオオンーー!」「ドド!ドド!ドド!」
ふふん!この二重奏も、もう直ぐ今日のフィナーレを迎えまっせー!
弾ける様に二台のバイクは道の駅を離れて、小清水原生花園を左手に見ながら怒涛のラストスパートを敢行する!前を進む車やトラックが、私達より遅い物は容赦なくブチ抜いて行った!(笑)。めっちゃ長くて起伏の少ない直線路がチョー気持ち良いー!

アッと言う間に美しい景勝地を通過した私達は、そのままの勢いでJR網走駅前まで躍り出てきた(笑)。もう、今日の宿は目の前さ♪本日の宿は、JR網走駅前の通りを北へ100m上がった場所に在る『網走ロイヤルホテル』ってところさ♪

こちらも、3年前のツーリングで一度宿泊した事が在ってね。1泊2食付って内容だったけれど、凄く料理が美味しくてボリューム抜群だったし、部屋も綺麗で広いし、大浴場も広くて気持ち良いなど文句無しって感じかな(喜)。次回、道東方面にやって来たら、また同じ宿に泊まろうと決めていました。小樽グランドホテルクラシックと同じ理由に近いよね。到着するや否やホテルの職員に玄関先で親子二台「縦列駐車」するよう指示を受けた。何でも本日は満室で、オマケに車で来られる御客さんでホテル駐車スペースも満杯だから、出来るだけ場所を占めないで欲しいような事を頼まれた。まぁ、仕方が無いでしょう。台車をフロント受付のお姉さんから借り受けて、バイクから降ろした親子分の荷物を宿泊部屋に運び込む。ふぅ、今日も色々在ったけれど、結果オーライって感じかな(^-^)。今日の半分は散々な天気でしたが、私も、そしてオヤジも十分満足の行くバイクツーリングが出来たと思いました♪さぁーて、風呂に入って、冷えて汚れた体をリフレッシュやー!その後は、美味い晩御飯が待っているでぇ〜♪

明日は、いよいよ沼田町へ。キボシカミキリを御届けした久保商店が在る、あの静かな町に戻る日だ。彼とゆっくり語らいながら酒を酌み交わすのも楽しみだし、それ以外に、どんな展開が待ち受けているのか凄く楽しみだなって考えながら、ゆっくり網走ロイヤルホテル大浴場の湯船に身を委ねて疲れを癒す私達でした・・・・(了)

(・・・第七章「〜北海道「カミキリムシ同好会発足?!〜」に続く・・・)